カヴェコ ペンシル スペシャル 【シャーペンの名作の使い方と、とある比較】
みなさん、順調に手書きを楽しんでいますか?
私は万年筆に出会い、普段生活で手書きする機会を増やしてから、改めて日本語の美しさと文字の「とめ・はね・はらい」を意識するようになりました。
万年筆の柔らかなペン先で書く日本語は、この「とめ・はね・はらい」が書きやすく、書いた字が普段よりうまくなったように思うんですよね。
それからというもの、ボールペンでも鉛筆でもシャープペンシルでも、日本語を書くときは「とめ・はね・はらい」を意識して書くようになったのです。
仕事中は殴り書きのような文字になることが多いですが、自分の書いた字が他の人に少しでも読みやすいようにと頭の片隅に置きながら字を書くようにしています。
大袈裟に言うと、万年筆はそうした仕事に対する心の変化をもたらした筆記具と言えるのかも知れません。
それにともなって文字の太さも、万年筆で太めの字を書いているからか、学生の頃とは違って太めのボールペンリフィルやペンシル芯を選ぶようになりました。
やはり太い字の方が「とめ・はね・はらい」が目立って、綺麗な字が書けたように感じるんです。
今回記事にするシャープペンシルも、もともとは0.3mmや0.5mmの字幅が好きだった自分が、万年筆の影響で0.7mm以上の太字を使うように変わっていった筆記具のひとつです。
そもそも日本語(特に漢字)は細字であればあるほど書きやすい文字ですが、書きやすさではなく日本語の美しさを表現するという部分に関して、太字の方が適していると感じます。
今回レポートする筆記具はシャープペンシルの名作とされるカヴェコの「ペンシルスペシャル 0.7mm」。
そう、今更ですがカヴェコの「ペンシルスペシャル」。
【ペンシルスペシャルの外観】
メーカーのカヴェコについて ものすごく簡単に書くと、1883年にドイツで創業、1976年に廃業しています。
その後1995年に同じくドイツのグットバレット社によって復活(復刻)されました。万年筆だとクラシック スポーツというコンパクトなモデルが有名です。
シャープペンシルだとペンシルスペシャルが知られていて、まるで八角形の鉛筆のようにシンプルで軽く書きやすいのが特徴です。
それではまずお洒落なパッケージから順に見ていきましょう!
カヴェコの万年筆が描かれた、洒落たデザインの缶ペンケース。小学生の時に使っていたカンペンを思い出しますね。デザインもなかなかノスタルジーで、このままペンケースとして使うこともできそうです。
開くとペンシルスペシャル登場。ペンは斜めに入っています。初見はかなり重厚感のあるペンシル。
取り出してみると見た目とは裏腹に驚くほど軽いです。
この軽いか重いかという部分においては、個人によってかなり差があるようでして…。
軽いという人もいれば、ずっしりしているという人もいる。
おそらくですが、万年筆やボールペンを普段使っている人からすると「軽い」で、学生さんのように普段から鉛筆やシャープペンシルを使っている人からすると「ずっしり」となるのかと。
軸の素材はアルミで、キャップの部分が樹脂、口金が真鍮となっており、異なる素材が絶妙なペンのバランスを作っています。
口金の形状は初期のパイプ一体型モデルですが、現行品は銀色のガイドパイプパーツに変更になっており強度が増しているそうです。
口金の素材が真鍮というのが一つのポイントではないかと思うのです。
リアに向けてアルミ&樹脂という軽い素材のため軽くなりすぎてしまうところを、口金部分の真鍮素材のおかげでうまくペン全体のバランスが取れているように感じます。
異素材に加え、表面処理も考えられています。
軸のアルミ部分は半光沢のラッカー塗装でスベスベ。口金部分はマットな処理でザラザラした手触り。
キャップは樹脂のため滑りにくく、芯出しの際は丸い形状と相まって非常にまろやかなノック感です。
軸の形状は八角形で持ちやすさとデザインを両立させています。
この軸の表面処理でもし丸軸だったなら、かなり滑って持ちにくかったことでしょう。
かといって鉛筆のような六角形にすれば、カランダッシュの存在に埋もれていたかもしれません。
軸には「Kaweco Special 0.7 Germany」の文字。
この半光沢処理とシルバーの文字のコントラストが絶妙です。
キャップは樹脂で、時計のリューズのような形をしています。
カヴェコといえばこのアールデコ調のキャップデザインですね。ロゴは金属です。
このキャップの丸み・大きさもノックのしやすさと深く関わっていて、親指のどの位置でも安定したノック感が得られるよう考えられています。
キャップを外せば中には小さな消しゴム、さらに消しゴムを外せば芯を入れる穴が出てきます。
このあたりは普通のシャープペンシルと同じですね。このシャーペンに付いてる消しゴムの本来の役割というのは字を消すという事ではなく、ある意味精神安定剤のようなものなのかも。
ペンは口金を回せばこのように分解することもできます。
そこにあるのは口金一体型のペンシルユニットと胴軸、キャップのみというシンプルな構造です。
【ペンシルスペシャルの筆記感】
ペンシルスペシャルには4種類の字幅に対応した軸が用意されています。
0.5mm、0.7mm、0.9mm、2.0mmの4種類。
0.5mmがおそらく日本で一番普及している字幅ですので太字寄りのラインナップです。
私は先の理由もあり太字寄りの0.7mmをチョイスしました。0.9mmは以前にもレポートしたマイスターシュテュック ル・グランがメインで、それ以上の太字はファーバーカステルのエモーションペンシル(1.4㎜)、または1.18mm芯を使うヴィンテージペンシルで事足りるからです。
筆記感ですが、ペンのどこを持って筆記するかで書きやすさが変わってくると感じます。
私は万年筆を使い出してから軸の上の方を持つように持ち方が変わったのですが、その持ち方でペンシルスペシャルを握ると滑って書きにくく感じました。アルミ軸に半光沢塗装によるスベスベ感触の影響かと思われます。
人によってペンの持ち方は様々ですが、大体の方は中指で筆記をコントロールしているのではないでしょうか。かくいう私もそうなのですが、中指が軸(アルミのスベスベ部分)にあるとなんだか滑って心許ないのです。
そこで中指を口金部分に乗せ、人差し指と親指で軸をつまむ、という持ち方にするとグリップ感が増し、安心して書くことができました。
または、ペンを支える三本の指すべてを口金部分にあてて握るといいかと思います。ただこの持ち方は指に余分な力が入るので、長時間筆記すると親指の付け根が痛くなってきます。
せっかくなので芯の太さに由来する文字の太さを比較しましょう。
上から、ペンシルスペシャル0.7mm、エモーションペンシル1.4mm、マイスターシュテュック0.5mm、マイスターシュテュック0.9mm
同じ文字を書いてみました。こう比べると違いが一目瞭然ですね。
私は濃い線が好きなのでBもしくは2Bの芯を入れています。
鉛筆をメインで使っていた小学生の時は、日本語の「とめ・はね・はらい」ということを意識することなく書いていましたが、こうして意識して書いてみると黒鉛の芯で書く文字も濃淡が出てメリハリのある文字になることが分かります。
【おまけ~ある筆記具との比較~】
この軸の太さ・重さが何か他の筆記具と似ているなーと思い、探していたら…、
ありました!
ファーバーカステル9000番記念缶の中にある、使い道の難しい極太軸の鉛筆!これと軸の太さが似ています。
分かりやすいようにペンシルスペシャルのキャップを外した状態で比べてみると、この通り。
ペンシルスペシャルは八角形、9000番は六角形ですが軸径はピッタリ。
二本並べてみても同じ事がうかがえます。
鉛筆の削ってある部分から芯の先までの長さと、ペンシルスペシャルの口金の長さも同じです。
この超極太鉛筆を実際に使っている人はほとんどいないと思われますが、大きさ・太さの参考になればと思います。
久しぶりに仕事でシャープペン帰りするビジネスマンに、また、勉強用の筆記具を鉛筆からシャーペンにアップグレードさせる中学生の方にもとっつきやすいシャープペンシルではないでしょうか。
普通の鉛筆よりも若干太めの軸に、口金の素材によるペンの筆記バランス。
まさに日常の筆記習慣を通じて「シャープペンシルの名作」を感じることができるかと思います。
以上、今回はカヴェコのペンシルスペシャルのレポートでした。
ではまた。
ディスカッション
コメント一覧
それは旧型!羨ましい
春夏秋冬朝昼晩ってあの某はな●っぱを意識していますか?wそうでなくてもちょっとしたところに面白要素を入れているとこにセンスを感じます!
これからも頑張っていきましょ〜!
文房具大好きコケケさん
コメントありがとうございます。
春夏秋冬…とまで書いたら勝手に指が朝昼晩。
もしかすると仰る通り、無意識のうちに某は●かっぱにフレーズとメロディを刷り込まれているのかもしれません…。
街中の筆記具コーナーの試筆で「春夏秋冬」などと書いてあったら「朝昼晩」と付け加えておいてください。
たまに記事中の試筆でも変なことを書いてしまうかもしれませんが、大目に見ていただければ幸いです。