作りが良くてコンパクト!レザーペンケース選びの選択肢に必ず入れるべき【GANZO マエストロ】
皆さんこんばんは。
筆記具業界からは切っても切り離すことができないジャンル「革小物」。
ペンケースやペントレー、メモパッドにレザーバインダーなど、手に馴染むコンパクトなレザーアイテムは上質でセンスの良いモノを選びたいところ。
何も無理をして高いものを買う必要は無いのですが、質と経年変化の面白さを求めた場合、自然と高品質なイタリアンレザーが使われたアイテムを選ぶことになるのではないでしょうか。
私は普段 ボールペンの持ち歩きに「rethink」のペンスリーブを愛用しており、軸が太めの万年筆や比較的生産数の少ないローラーボールを持ち歩く時は、ペンをしっかり守ってくれるフラップ式のイル・ブセットも併用しています。
rethinkは機動力がある一方、ペンの天ビス部分が多少露出するため、ビジネスバッグの中でも確実に傷が付かないポケットに入れるなど気を遣うこともあり、その分、イル・ブセット等の所謂ハードレザーペンケースに分類されるペンケースはバッグ内の位置を気にせず扱えるというメリットがあります。
ただ、イル・ブセットの3本差しは太軸専用と見ており、その理由が大きめの収納ポケットにあります。
細軸~中太軸のペンを入れた場合、クリップで固定しないタイプのイル・ブセットはペンケースの中でカタカタとペンが動きます。イル・ブセットの利用において唯一そこだけが気になっていた私…。
以前から気にはなっていたものの買う機会を逃し続けてきたペンケースが、今回のタイトルにもある「GANZO」のマエストロ。

GANZOのブランドとしての歴史を調べるとルーツはかなり古く、1917年に遡ります。
東京にて革小物類の製造販売業として設立された合名会社味岡順太郎商店は、その後 株式会社味岡商店に社名を変更し、都内唯一の皮革袋物専門製造卸売業として全国の百貨店に拡大していきます。
GANZOブランドとしての立ち上げは1999年。日本屈指の超一等地である表参道から始まった直営店は、大阪心斎橋、六本木ヒルズ、銀座と店舗を拡大しています。

GANZOのペンケースと言えば「マエストロ」。
この縫製のないつるんとしたフォルム、そして透明感のある表面のツヤ。
一般的なタンニン鞣しのレザー製品が柔らかな手触りかつ経年変化を愉しむものであれば、こちらのマエストロは剛性感のあるシェルで筆記具を守りつつ 深みのあるツヤを永続的に愉しむアイテムではないでしょうか。

リアビューも継ぎ目無し。継ぎ目がない理由としては縫製ではなく、革の立体形成(Wet Molding)という形成方法を用いているため。
行程的には、
1.イタリア製ベジタブルタンニンレザーを水で湿らせる
2.木型(型枠)へ強く押し込む
3.そのまま数日間乾燥させる
4.革が形を形成する
となっていて、45日以上の日数をかけて作られているそう。
ベジタブルタンニンレザーは乾燥すると硬くなるという特徴があり、この方法でかなり硬いシェル状の形が生成されます。その剛性感は革というよりもはや木工品といったところ。

表面はピカピカに磨かれていて、ため息が出るほど美しく、そして手触りも滑らか。
表面は通常の銀面(革の表面)ではなく、薄く削られたうえに手作業のよる染料の塗り重ね、そして何度も何度もバフを掛けることによってまるで陶器のような透明感とツヤがもたらされます。
こう見ると手作業により革の表面に表情が出ていることが覗えます。
成形後の自然乾燥、手作業による染色、乾燥、バフ磨きを何度も繰り返すため、仕上がりまでに45日以上の日数がかかるわけですね。

そして、私が一番感心しているのがこのサイズ感。
rethinkよりもコンパクトなのです。(rethinkとはまた取り回しの面で異なりますけど…)
手中にすっぽりと収まるほどのサイズに、滑らかなレザーの触り心地。これは至福です。
見た目が重厚ですのでどっしりしたペンケースに思われがちですが、ペンを入れない状態で約35gと驚くほど軽く、30g超えのボールペンを3本入れても150g以下という軽さ。
カラーラインナップはこのワインの他に、ブラック、ネイビー、チョコ。
以前はライトブラウン系のカラーもありましたが廃番となっています。
また、上級モデルとしてガルーシャ(エイ革)やリザード等のエキゾチックレザーもあります。

前面の刻印には「This product is chic and made the best quality.It will bring you eternal pleasure.」(この製品は洗練されたデザインで、最高品質で作られています。あなたに永続的な喜びをもたらしてくれるでしょう。)
つまり、クオリティの高い製品のため長く愛用できますというメッセージですね。
私は、このGANZOマエストロには前期型、中期型、後期型があると考えています。
・前期型はこの文字の刻印は無く、ロゴとGANZOのみ。フラップ裏が磨かれた床面(日本製?)
・中期型は当記事のバージョンで、この前面の刻印とフラップ裏が磨かれた床面(日本製?)
・後期型(現行品)は前面の刻印は同じで、フラップ裏がナチュラル革の銀面になり、「made in Thailand(タイ製)」の刻印が入る
初期型、中期型はおそらく日本製で、後期型(現行品)はタイ製。現行品はタイ製となる代わりに、フラップ裏も革が銀面となって高級感が増しています。
ちなみにエキゾチックレザーは、フラップ裏にGANZOのロゴ刻印が入ります。

フラップを展開してお気に入りのボールペンとご対面。
適正なサイズのペンを収納している場合 フラップの差し込みはカッチリ決まります。逆に中に収納するペンには制限があり、ファーバーカステルの伯爵シリーズやパーカーのデュオフォールド、、クロスのタウンゼント、ヤード・オ・レッドのようなクリップから上が長い(または天ビスを操作してペン先を繰り出す機構の)ペンはポケットに収納できてもフラップが閉まりませんのでご注意を。

ペンケースがコンパクトなだけに、全ての中太軸のペンが収納できるかというとそうではありません。
収納できるボールペンをざっくり列挙すると、ビスコンティ(軸径が太すぎると入らず)やカランダッシュ(バリアス、エクリドール、レマンは○)、モンブラン マイスターシュテュック(#164以下のサイズで○、#161は×、ミッドサイズは×、ドネーションペンは○)、ペリカン スーベレーン(K800、K600、K400は○、自然の美観シリーズも○)、パーカーはデュオフォールド以外のモデル。
写真のペンは、左からビスコンティ ホモサピエンス、ビスコンティ マンハッタンマグマ、カランダッシュ バリアスです。物理的にもこのビスコンティの2本のボールペンの軸径(最大軸径13mm~14mmくらい)がマエストロに差せる限界かと。
持っているペンの結果全てを記載するのは難しいため、収納可能か検証希望のペンがあればXのリプライでお知らせ頂ければと思います。(検証は私が持っているペンに限りますが…)

コバの仕上げは塗り仕上げのため、可動部は経年使用により剥がれてきたりします。
まあ、この仕上げのペンケースや財布にはあるあるの状態ですが、見た目で気になる方は要注意です。
私的には「味が出てきて開閉しやすくなった」と考えるため全く気になりません。

マエストロはビスコンティのボールペンとも相性が良い気がします。
ペンケース収納状態でビスコンティのポンテベッキオ橋(クリップ)を横から拝めることはあまりないのですが、この通りチラ見せが可能。
これもクリップホルダーが付いていることで成せる業。

手元のマエストロは3本差しと一本差し。
一本差しの方は太軸万年筆用で、私はモンブランのマイスターシュテュック#149を入れています。
こう比べても3本差しの小ささが際立ちます。太軸万年筆用ペンケース約2本分の幅に3本の細~中太軸のペンが収まりますので、いかにマエストロの3本差しがコンパクトかがわかります。

さて、ここからはGANZO マエストロとイル・ブセットを比較していきます。
この2つのペンケース、どちらも3本差し且つペンケースを成形する製法としては同じですが細部の作りは異なっているため、私は入れたいペンによって使い分けています。
まず縦の長さは同じで150mm。
横幅には違いがあり、マエストロが50mm、イル・ブセットが65mm。
ペン先側の厚みは、マエストロが約15mm、イル・ブセットが約20mm。
イル・ブセットは前面にはロゴはなく、背面の下部に刻印されています。
(イル・ブセットについて詳しくは単独の記事をご参考に)

フラップを開きます。
大きな違いがこのクリップホルダーの有無。マエストロはクリップホルダーにクリップを挟み、ペンケースに対してペンを前向きに収納するのが一般的です。一方、イル・ブセットはクリップを収納ポケットの四隅に向けて収納するスタイル。
ペンがペンケースの中で固定されるかされないかの違いとなり、固定されていない場合、収納ポケットに対してペンが小さいとカタカタ動きます。すなわちペンはペンケースの内壁と触れる機会が増えるため、ポケット内の仕上げにも工夫が必要となります。
クリップホルダーは、クリップの性能(バネ付きかそうでないか、クリップのテンション等)によって凹みや傷が付きますが、傷や凹みが付くことでクリップが馴染みペンが取り出しやすくなるため この部分の傷や凹みはネガティブな観点ではなく「ペンケースを育てる」という観点で捉えるとよいでしょう。

ポケットの比較。
マエストロはラウンド型、イル・ブセットはスクエア型となっており、ペン収納ポケット内にも違いがあります。
マエストロはクリップを使ってペンケース内にペンを固定するため、ペンが触れる部分(背面側とサイド)の内壁はスウェード仕上げとなっています。それ以外の部分はフラップの内側と同じ床面磨き上げによる仕上げ。
一方、イル・ブセットはクリップホルダーがない構造のためか、ペンが収納されるポケットの内壁全ての面にベロアが張られており、中でペンが動いても傷が付かない構造となっています。
それぞれの使用方法の違いによる構造の違いが見られ、非常に興味深い。
ポケット自体の大きさ(対応するペンの太さ)にも違いがあるため、万年筆や太軸のボールペンはイル・ブセット、中太軸や細軸のボールペンや万年筆はマエストロ、といった具合いに使い分ける形がベストだと考えます。

ペンの入れ口はどちらも斜めにカットされており、ペンの取り出しやすさ、視認性の確保に一役買っています。
先ほどもこのフラップ横のコバの剥がれについて言及しましたが、使い始めは硬いため、むしろ剥がれてからがこのペンケースの本番と言ってもいいでしょう。

さて、今回はGANZOのレザーペンケース「マエストロ 3本差し」をレポートしました。
やはり3本差しのレザーペンケースはビジネスアイテムの中でも特に取り回しがし易いと感じます。
すべての中太軸までのボールペンが差せるわけではありませんが、私のブログの読者様でも人気の高いモンブランのマイスターシュテュック#164や、カランダッシュのエクリドール、ペリカンのK800までのスーベレーンは問題なく差せますので、コンパクトなレザーの3本差しペンケースが欲しい方には打って付けのペンケースだと思います。
一方、クリップから上(ノックキャップや回転繰り出し機構)が長い筆記具はフラップが閉まらないため、実店舗で確認可能な地域にお住まいの方は買う前に試されることをお勧めします。
そして、本編ではサクッと紹介しましたが、ペンケースとしてのバリエーションが多いのも良いかと思います
廃番カラーを含めた豊富なカラーラインナップや希少なエキゾチックレザーのモデル、新旧モデルでの仕様や刻印の違いなど、筆記具そのもののバリエーションにも近い愉しみ要素があります。
個人的にはもっと早く使っていれば良かったと感じるペンケース。
ラウンドフォルムで滑らかなレザーの触り心地とペンをしっかりと保護する屈強な作り、それにお気に入りのペンを入れて持ち運べる喜び。
中太軸のボールペンユーザーでコンパクトなレザーペンケースをお探しの方は、ぜひ選択肢に入れてほしいペンケースとなります。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。












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