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セーラーとモンブラン東西太軸万年筆比較!【セーラー プロフェッショナルギアKOPとモンブラン マイスターシュテュック#149 比較】

2024年11月3日

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皆さんこんにちは。
最近は諸事情により在宅で仕事をされている方も多いのではないでしょうか。そんなとき、どのようにして仕事のモチベーションを上げていますか?
 
私は自宅で書き物をする時はどっしりとした太めの万年筆を使うことが多いです。お気に入りの椅子に腰掛けて、書斎でゆっくりと考えながらペンを走らせるのは仕事と言えど楽しいものです。逆に職場で仕事をする時はなるべくコンパクトな筆記システム(例えばカヴェコスポーツやモンブランの#144サイズ、モーツァルトなど)を使うことが多くなります。そしていくつかの万年筆をローテーションすれば様々なインクを満遍なく使うことができてまた楽しいのです。
 

 
そんな万年筆運用をしているのですが、今回はどっしりと書くタイプの万年筆にお仲間が加わりましたのでレポートしていきたいと思います。
この万年筆は私の国産万年筆の“あがり”かも知れません。
 
「セーラー プロフェッショナルギア 銀 KOPモデル」
とにかくもの凄い存在感の万年筆。
国産でこのサイズの万年筆はプラチナの出雲空溜以来なのですが、何でしょう、ニブの大きさが違うだけでこうも存在感に差が出るものかと。まさにモンブランマイスターシュテュック#149と同クラスの大きなニブは非常に所有満足感が高く、しかも書き味も秀逸。
この辺りについては比較を交えながらじっくりと見ていくとして、「西がモンブランなら東はセーラー」と言えるほどの国産大型万年筆をじっくりと見ていきましょう!
 

 

 

 

プロフェッショナギアKOPモデルのデザインを分析

KOP”とはキングオブペン(THE KING OF PEN)のこと。
 

 
キングと名の付いたセーラー万年筆はもう一本あり、それがキングプロフィット。サイズで言うとプロフェッショナルギアKOPよりもキングプロフィットの方が大きいのですが、あえてプロフェッショナルギアの方を選んだ理由は、シルバー×ブラックという一番ビジネスライクなカラーリングがあること。
 
それに両側が丸いデザインはマイスターシュテュック#149で事足りていたため、変化球として選んだプロフェッショナルギアシリーズでもあります。
 

 
プロフェッショナルギアKOPとプロフィット21銀を並べてみました。左から、KOP、プロフィット21、プロフィットスタンダード。
そういえば手元にあるセーラーの万年筆は全てブラックボディにシルバートリムばかりですね。
 
プロフィット21銀とサイズを見比べると実は全長は同じくらい。デザインで一際目をひくのが大きなキャップリングと、両端が平たくカットされた締まりの良いシルエットではないでしょうか。
 

 
セーラーの万年筆としては珍しい、ローレットのデザインされた大きなキャップリング。これが樽型の胴軸と非常に良くマッチしているではありませんか。
 

 
キャップリングの中央には「SAILOR JAPAN FOUNDED 1911」のお馴染みの刻印。
刻印の内容自体はプロフィットもプロフェッショナルギアも一緒ですが、KOPは刻印のサイズが大きく、太いキャップリングとのバランスも良いです。
 

 
モンブランのマイスターシュテュックはクリップのサイズ(長さ)がモーツァルトを除いて全て同じでしたが、プロフィットは本体のサイズに合わせてクリップのサイズも大きくなります。
 
クリップのデザインはプロフィット21と同じ(先ほどの写真一番左のスタンダードは旧型のクリップ)で、そのままサイズアップしています。
 

 
クリップは結構厚みがあって滲み出す剛性感。セーラー万年筆というとこのシルバーとブラックのコントラストが美しい。
仏壇カラーだとパイロットのイメージがあり、黒銀だとセーラーといったところでしょうか。
 

 
天冠には錨(イカリ)のレリーフ。
プロフェッショナルギアのモデルによっては透明な樹脂でコーティングされているものもありますが、KOPは彫られているのみで透明樹脂コーティングはありません。これはこれで樹脂の擦れが気にならなくていいかも。
 

 
そして細かなデザインの拘りが見られる部分ですが、クリップリングと尻軸のトリムには凸段がつけられており高級感を演出しています。
これは日本メーカーのお家芸とも言えましょうか、パイロットカスタム74の時もそうでリングが凹凸のあるデザインとなっています。モンブランには見られないデザインです。
 
それでは次にモンブランマイスターシュテュック#149との比較を行っていきます。
 

 

モンブラン#149との比較

ビッグサイズの万年筆と言えばマイスターシュテュック#149と言っていいほど有名なモンブラン#149
 
今回レビューしているプロフェッショナルギアKOPは#149に匹敵するサイズを持ち合わせているため、ここではあまり記事にされないセーラーのKOPモデルとモンブラン#149との比較をしていきます。
 

 
まず外観ですが、天冠と尻軸が丸い分#149の方が若干長身となっていて、重量はプロギアKOP35g、#14990年代以降モデル)が34gとほぼ同じスペック。
同じセーラーでもキングプロフィットだと#149よりも全長が大きくなります。
極太軸の握り心地は、親指と人差し指の間にどっしりと横たわり安定感があります。
 

 
プロギアKOPとモンブラン#149の胴軸を比べると首軸自体は#149の方が太いのですが、首軸のネジ切りから胴軸にかけてはプロギアKOPの方が太くなり、樽型の胴軸形状と相まって手に吸い付くような感触を得られます。
プロギアKOPの握り心地はモンブラン#149よりもデルタのドルチェビータミディアムに似ているように感じました。(ドルチェビータは極太軸寸胴)
 

 
ついでに手元にある極太軸を並べてみます。
左から、デルタドルチェビータミディアム、セーラープロギアKOP、モンブランマイスターシュテュック#149。この3本は握り心地が特に近いと感じます。
プロギアKOPのサイズはドルチェビータミディアムとモンブラン#149の間くらい。
 

 
ニブのサイズ比較。
プロギアKOPとモンブラン#149のニブサイズは数ある万年筆の中でも最大級。
あと、私は持っていないのですがパイロットのカスタムウルシも30号の特大ニブを備えていますね。
 
比較として一番右はニブが大型で軸がミドルサイズのパーカーデュオフォールドセンテニアルを置いています。
プロギアKOP、モンブラン#149の次に大きなニブサイズとしてドルチェビータや、デュオフォールドセンテニアル、そしてここには写ってないですがビスコンティのマキシサイズ万年筆もあります。
 

 
セーラーとモンブランの各サイズ万年筆を比較。
左半分がモンブラン(左から#145、#146、#149)、右半分がセーラー(右からスタンダード、プロフィット21、プロギアKOP)です。
 
絵面的にはプロギアKOPではなくキングプロフィットが最適なのかも知れませんが、サイズ比較差等は十分感じて頂けるかと。
 

 
手持ちで最大級の万年筆であるプラチナ出雲と並べるとかなりコンパクトに見えてしまいます。
出雲デカすぎですね(笑)
 

 

セーラー万年筆最大級のペン先とインク吸入機構

さて、ここからはペン先についてです。
プロギアKOPはキングプロフィットと並んでセーラー万年筆最大のペン先を有しています。
 

 
プロギアはバイカラーニブではなく、装飾によりシルバー一色。これがなかなか渋いのです。
刻印は上から「1911」「錨ロゴ」「21K 875」「Sailor JAPAN」。
刻印の並びはモンブランとほぼ同じで情報量が多いです。
 
ニブをプロフィット21と見比べてみます。
 

 
手元のプロフィット21はバイカラー。
まずサイズの違いが顕著で、スリムに見えるプロフィット21のニブに対してプロギアKOPは横にも広くなっています。
飾り帯の刻印はプロフィット21の方が複雑に見えますね。プロギアKOPは飾り帯が太いため金モデルのバイカラー仕様は映えるかもしれません。
 
裏を向けてペン芯の比較です。
 

 
左に向かうほど大型に。ペン芯の構造は同じように見えますが、見た目は微妙に違うことが分かります。
 
セーラーのペン芯は同じ国内産のパイロット・プラチナに比べてフィンが多く分厚いペン芯です。
書き味について詳しくは後述するのですが、独特な“しなり”はニブだけでなくペン芯も大きく影響していそうです。
 
続いてインク吸入機構。
 

 
こちらはカートリッジ/コンバーター両様式。やはりインク吸入量の少なさは気になります。
マイスターシュテュックやスーベレーンが吸入式で大容量のインクを保持できるのに対して少々心許ない感じは否めません。
個人的にはレアロで培った吸入機構を乗せて欲しかったところでもあります。
 
しかし、「このペン先にこのボディサイズで実売5万円を切る価格」という非常にコスパの高い万年筆。わがままを言ってはいけません。
両様式のメリットとしては取り扱いやメンテナンスのし易さと言えましょう。
また、インクが早くなくなるということは早いスパンでインクの色換えを楽しめるということでもあるので、これはこれでいいのかも知れません。
 

 
首軸と一体となったカートリッジ/コンバーター接続部はかなり大きめに造られていて、しっかりインク窓も設けてあります。
インク窓と言っても「気持ち見える」程度ではありますが、こうした配慮は嬉しいですね。
 

 
この極太軸の握りやすさときたら他の追随を許しません。ペン先が大きく軸が太いことのメリットはペンポイントまでの距離を調節しやすく、かつ疲れにくいということ。力を程良く抜いた軽い握り心地でペンを走らせることが非常に気持ちいい万年筆です。
 
次項ではその書き味に迫っていきたいと思います。
 

 

プロギアKOPの書き味をモンブラン#149と比較

早速、セーラープロギアKOPの書き味とモンブランマイスターシュテュック#149の書き味を比べてみます。
 

 
インクはプロギアKOPがペリカンのエーデルシュタイン タンザナイト、#149がモンブランのミッドナイトブルー。
そして紙はロディアの5mm方眼を使用しています。
 
まず驚いたのが、当たり前かも知れませんがこの2本は書き味が全く異なること。
前々からセーラー万年筆の書き味には関心していたのですが、大きなペン先になっても売りである「柔らかいタッチ」が全く損なわれていないのです。
言わば、セーラー万年筆の書き味が好きな方は間違いなくハマる書き心地。そして、海外製万年筆をメインに使っている方も違いをハッキリと感じられる書き味。
 
色々書き比べてきた上で、国産万年筆3社の書き味の感想をひと言で言うと、パイロットは柔らかめ、プラチナは硬め、そしてセーラーはその中間でコシのある独特なタッチが楽しめる万年筆です。
まるで筆で書いているかのように筆圧に敏感に反応してくれるペン先。
モンブラン#149とニブの形状(横壁の幅やシルエット)は似ているものの、書き味が全く違うのは非常に面白いです。
 

 
切割りの長さはモンブラン#149の方が長いため、一見#149の方が柔らかいのかと思うのですが
これが21金の成せる業なのか、プロギアKOPの書き味はクセになります。
※ニブの拡大写真の#14990年代、書き比べの#1497080年代のものです
 

 
書いた文字を拡大してみてさらに驚きました。
左がプロギアKOP、右がモンブラン#149で書いた文字です。
プロギアKOPの方は紙面との摩擦が少なく感じ、非常に滑らかな書き心地。文字をよく見て頂くと分かるのですが、線のエッジに凹凸が少なくなめらかに書けています。
(特に「花」を見比べて頂くと分かりやすいかも)
 

 
複雑な文字を書いた比較がこちら。同じく左がプロギアKOP、右がモンブラン#149
 
自分で言うのも何ですが、プロギアKOPで書いた場合非常にタッチが柔らかいため伸び伸びした字が書けています。(檸檬の「檬」や葡萄の「葡」などが分かりやすいかも知れません!)
書く道具によって文字の出来も変わってくるのだと言うことがよく分かります。
 

 
プロギアKOPやモンブラン#149のような大型万年筆は個人的にキャップをポストせずに書くのですが、キャップをポストして使う方のために比較写真も載せておきます。
 
キャップをポストすると、とてもズッシリと存在感のある見た目となります。
こう見ると確かにプロギアKOPの方が太さがあるように感じますね。
 

 
ついでにスタンダードなサイズの万年筆との比較写真。
セーラー側はプロギアKOPとプロフィットスタンダード、モンブラン側は#149と#145(ショパン)です。
軸径やペン先を見るとその差が際立って面白い!
 

 

さて、今回はついに手にした「セーラー プロフェッショナルギア 銀 KOPモデル」をモンブランマイスターシュテュック#149と比較してきました。
所有満足感がべらぼうに高いのは同じですが、とにかく書き味の違いが面白い2本です。
 
プロギアKOPは日本メーカーの技術力の高さをひしひしと感じる一本。
セーラー好きはもちろんのこと、海外製万年筆をメインに使われている方にも一度は使って頂きたい万年筆です。(ホントに騙されたと思って使って頂きたい…!)
 
それでは長くなりましたが、今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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