まるでワインラックのような上質な「曲げ木」のペンケース【STORIO 万年筆ケース 一本差し ハードケース レビュー】
皆さんこんばんは。
今回は珍しい木製のペンケースについて書いていこうと思います。
万年筆を保管または持ち歩く際、どのようなペンケースをお使いでしょうか。
使ってみたい万年筆を入手する度、同じように増えていくペンケース。私も様々なタイプのペンケースを使ってきましたが、今回は少し特殊かもしれません。
私は普段、良き相棒(筆記具)のケースには、しなやかで保護力のある そして経年変化が愉しめるベジタブルタンニンレザー製を使っているのですが、それよりもさらに強固に筆記具を守ってくれる「木製のペンケース」も好んで利用しています。
以前、一本用の木製ペンケースとして工房楔のコンプロットを記事にしました。それとほぼ同時期に購入して使っているもうひとつの木製ペンケース。
STORIOの1本差し 万年筆ケース。
金具を使った開閉式のコンプロットとは対象的に、金具を使わずに曲げ木とレザーのみを使用して作られたスライド式のペンケース。
ひと目ではおおよそペンケースであると判断しにくい外観。杢目の美しさ、加工精度の高さはセンスの良い家具やキッチンアイテムのようでもあります。
使われる木材は新潟県産のカエデ。
カエデ(メープル)は硬くて丈夫なため、主に床などの建築材や椅子にテーブル、楽器など広くつかわれており、滑らかで美しい杢目や絹のような触り心地が特徴。
カラーは写真のナチュラルの他にブラックがレギュラーカラーとなっており、数量限定のカラーも発売される場合もあり。ブラックは、ケース部分と引き出しの部分のカラー配置がナチュラルの逆となっています。
裏面には「STORIO」「MADE IN JAPAN」の刻印。
天然木が使われているため、杢目は当然ながらひとつひとつ異なった表情。
U字に曲げられたボディの横幅は23mmと非常にコンパクト。
使われる木材はたった1.5mmほどの厚み。硬質なカエデ材でなければならない理由が分かります。
太軸の万年筆も難なく収納でき、かつ強度を担保しなければならないことを考えると、相当な試行錯誤があったのではないかと思います。
そのため非常にコンパクトで掌への収まりも良く、かつ使われている素材が木材とレザーのみのため 非常に軽い(なんと35g!)というのがポイント。
筆記具を持ち歩くためのツールであるペンケースにおいて、軽さというのはこの上ないアドバンテージとなります。
ジップ式のペンケースは、ジップをスライドさせ蓋を開くという動作が発生します。
一本差しのペンシースは、ペンを差し込むだけという手軽さがありますが、ペンの一部が露出するため外部からの驚異に晒される危険もあります。
STORIOは、裏面のライン部分を軽く抑えて引き出すのみ。
ペンケースを使う際の所作まで美しい。
そして頑強な木材で囲われているため、ペンが外部からの圧迫に晒される心配もありません。
表面が滑らかなカエデの特徴もあり、非常に軽くスライドできます。
中の万年筆は直接木材に触れることなく、レザー製のインナーに優しく守られているため、中のペンに傷がつくこともなし。
中に入れている万年筆は、オマスのKRUG。全長144mmの大型の万年筆です。
全長150mmまでの万年筆を収納する事ができるため、モンブランのマイスターシュテュック#149も入ります。
私の手持ちの他の大型万年筆を試したところ、収納可否は以下の結果となります。
【収納可能】
・ペリカンM800
・パーカー デュオフォールド センテニアル
・セーラー プロギア KOP
・ビスコンティ ファンゴッホ マキシ
・デルタ ドルチェビータ ミディアム(クリップのローラーが若干干渉)
※全長約155mm以内の万年筆は大抵いけます。ただし、クリップが大きく出っ張るモデルは要注意。
【収納不可能】
・プラチナ 出雲
・デルタ スクリーニョ
・オマス アルテイタリアーナ パラゴン
・スティピュラ アメリゴヴェスプッチ(ペン先首軸内に収納されるタイプの万年筆)
これらは全長はピッタリですが、クリップがつっかえて閉まらず。
クリップを含めた軸径が21mm以上の軸は収納が難しいと考えます。他に、全長が155mmを超える万年筆はスペック上収納不可となります。
引き出しは110mmスライドさせたところでカチッと小気味よく固定され、万年筆の取り出しもスムーズ。
オマスのKRUGは軸径の最大幅が16mm。そう考えると、各方面に大きく出っ張りがない大抵の万年筆は収納可能だと判断できます。
ワイン樽材から作られたオマスの特別な万年筆をワインラックのような上品なペンケースに収納する。
ピッタリな組み合わせではないかと満足しています。
インナーのレザーは写真の通り波形にデザインされているため、引き出した際 万年筆のキャップの一部を確認できます。
シボ感のある柔らかなレザー。
ここも筆記具好きにはグッとくる部分ではないでしょうか。
インナーの内側。
天冠が当たる部分も柔らかな床面が敷かれているため安心感があります。
硬質なシェルとのこのギャップですよ。
最大の110mmまで引き出した状態で裏を向けると、引き出しを外すためのスイッチが現れます。
グレーの丸印の箇所を押さえつつ さらに引き出すことでトレーが外せる仕組み。
分解できる理由は主にメンテナンス用だと思われますが、このSTORIOを複数持っている場合は色を組み替えてオリジナルカラーとして使うのも有りではないでしょうか。
シェルの内側にはトレー側のレールとなる溝。
私が木材でペンケースを作ろうと考えたとして、このようなスライド式という発想は出てこないでしょう。
まさに仕組みと素材の妙。
万年筆を収納する時も、気持ちよくスライドしカチッと固定されます。
この操作感が実に新鮮で、音も心地良いのです。
ペンケースとしては革新的な構造とデザインですが、曲げ木技術の誕生は19世紀にまで遡ります。
木材を高温の蒸気などで蒸して柔らかくした後、金型等で曲げ、乾燥させて形作る技術は、家具デザイナーのミヒャエル・トーネットによって発明されました。
今でも家具(主に椅子)でよく使われる技術ですが、これだけ薄い木材を精密に加工しペンケースで使うという例はSTORIOが初めてではないかと思います。
▲コンプロットと並べてみました
STORIOは木材を使った1本差しのハードペンケースでは異例のコンパクトさ。
コンプロットは重厚感に堅牢性とそれぞれの良さがあります。
木材を使ったペンケース自体珍しいですが、コンセプトの違いで全く違ったペンケースとなっているところが実に興味深い。
さて、今回は曲げ木で作られた「STORIO 万年筆ケース 一本差し」についてレポートしました。
職人の技術が詰まった美しい万年筆ケース。
デザインだけではない、堅牢性とともに使うときの所作の美しさにも惚れるペンケースです。
1本差しの他に、2本差しと3本差しも展開されているため、気になった方は是非サイトをチェックして頂きたい。そして、STORIOのサイトには万年筆ケース以外にも曲げ木を使った魅力的なアイテムがラインナップされているため、他のデスクアイテムと合わせて使うのも良いかと思います。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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