ミニマルでコンパクトなペンスリーブ「rethink Lim Pen Sleeve Nebbia」の経年変化を検証
皆さんこんばんは。
学生や新社会人の方は、新生活が始まり半月が経とうとしています。
新生活を共にするとっておきの筆記具やノート、ペンケースはもうお決まりでしょうか。
以前から使っているペンを引き続き使われる方、そして新しいペンを新調された方にもお勧めしたい、気持ちが引き締まる とっておきのペンのためのちょっといいペンケース。
特に、何本ものペンや文房具もまとめて収納する用途の「ペンケース」とは異なり、2~3本のペンのみをコンパクトに持ち運ぶための、所謂 ペンの保護カバー的な用途である「ペンスリーブ」。
2023年の6月に1つめを入手した際、細かな使用感のレポートを上げていますので、下記記事もぜひ一緒にお読み頂けると幸いです。
「中太軸の万年筆とボールペンを3本持ち運ぶための極小ペンケース!【rethink Lim Pen Sleeve Nebbia レビュー】
今回は、ペンスリーブの標準的なレポートではなく「経年変化」に重きを置いた記事となります。
それでは始めましょう。
rethinkのLim Pen Sleeveとは
以前から私が推しているコンパクトな3本差しペンスリーブ。
「rethink」のLim Pen Sleeve Nebbia(リム ペンスリーブ ネビア)。
普段「Nero(ネロ)」を愛用していますが、しばらく品切れ状態が続いていた「Castagno(カスターニョ)」が再販されましたので購入しました。
Lim Pen Sleeveは現在2色展開で、ネロ(ブラック)とカスターニョ(栗色)。革はバダラッシィ・カルロ社のナッパネビアが使われています。
ナッパは、イタリア語で「薄手」を表し、ネビアは「霧」の意味。その名の通り、非常に薄くて柔らかなレザーなのに加え、表面のワックス加工によりまさに霧がかかったような独特の表情を見せているのです。
▲左がカスターニョ(使用前)、右がネロ(2年使用)
そのため、ネロは真っ黒ではなくグレーに近い色合いとなり、カスターニョは焦げ茶やライトブラウンともまたひと味違った色合いに。
この霞がかった独特な色合いが、経年の利用を経て色濃く艶やかに変化していき、まさに長きを共にした相棒へと仕上がっていく。
レザーアイテム好きには堪らないペンスリーブなのです。
このペンスリーブは既に2つ持っているのですが、本当に幾つあっても困らないといいますか、使いたい(携帯したい)ボールペンや万年筆が増えれば増えるほど、私にとっては必要になるペンスリーブと言えます。
それほど使い勝手が良いと感じるのと、作りや経年変化が素晴らしいためずっと使いたくなります。
このペンスリーブの素晴らしい点が、これだけの薄さでありながら 単なる銀面と床面からなる1枚の革でできているのではなく、2枚の性質が違う革を貼り合わせて作られているという点。
外側にあたる面にはナッパネビアの柔らかなレザー、内側には弾力のあるレザーが使われており、その素材の違いが見せるコントラストも美しい。
手触りも裏面(ペンが当たる面)はつるっとした触り心地で、表面はシボとワックス(=霧)が効いたザラッとした触り心地。
この薄さで両銀面という拘りよう。
2年使ったネロは、ペンの形によりフィットした形状に変化しており、全体的にツヤが増しています。
2枚の革が貼り合わさっているとは思えないような薄さと、しっかり磨かれたコバ(断面)。
縫製のほつれもなく、耐久性も申し分なし。
次の項では、rethinkのペンスリーブを2年使ってきて感じた使い勝手の良さをまとめていきます。
rethinkペンスリーブの機能性
ペンスリーブの良さをひとことで言うと「機動力」。
なるべく多くの文房具を持ち運びたいペンケースと違い、2~3本のペンの持ち運びに特化したペンスリーブはコンパクトで軽量。
それでいて 上質なレザーのrethinkは耐久性もあり、経年変化による所有満足感も感じることができるという良いこと尽くしのアイテム。
ビジネスバッグや通学鞄に縦向きの内ポケットがある場合、ペンスリーブを滑り込ませておくことで、鞄を開けてからのペンの取り出しがしやすいのもこのペンスリーブを使うメリットでもあります。
コンパクトと言っても、ペン全体が包まれているロールペンケースやジップタイプのペンケースではこうはいきません。
ペンスリーブやペンシースは上部が空いており、ペンの取り出しが容易。
このrethinkのLim Pen Sleeveもペンスリーブを閉じる役割の一本は簡単に上から抜き取れるため、とても利便性が高いです。
上部が空いている=使いたいペンが一目瞭然ということ。
また、下側が空いてるため、ペンスリーブを手で持って使う場合は他のポケットに収まったペンも下から指で押し出して使うことが可能。
展開して立てておけばペンスタンドのような役割もでき、寝かせればペントレーのような使い方もできる。
これの素材がナイロンだったとすると このように立てて使う使い方はできないのですが、素材としても高密度なレザーであるがゆえ可能となる使い方と言っていいでしょう。
手の中に収まるサイズかつ、ペンが取り出しやすい構造。
まるでペンのジャケットとも言うべき厚ぼったくないレザー、重量はほとんどペンの重さということを踏まえて、ペン3本を携帯するにあたりこれ以上シンプルで機動力のあるペンスリーブは他にないのではないでしょうか。
注意点として、ペンスリーブを閉じる役割のペンは頭の部分が少し露出しますので、鞄に入れて持ち運ぶ際はなるべく他のアイテムとの混同は避けるほうがいいかもしれません。
ネロ(ナッパネビア、キップレザー)の経年変化について
続いて、使い始めて2年になるナッパネビアのネロと、1年になるキップレザー(廃番モデル)のネロ。
この2つの経年変化を見ていきます。
やはりレザー製品は経年変化が楽しみの一つでもあります。色の変化と共に 触り心地や風合いが増し、手に馴染んでいく。このレザーならではの特徴が好きな方は多いのではないでしょうか。
ナッパネビアとキップレザーという異なる素材では、変化にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
まずは携帯時にレザーが織り込まれる部分のアタリについて。
内側にポケットが二つあるLim Pen Sleeveにそれぞれペンを収納するとペンの丸みに反ってポケットに膨らみが生じます。
この膨らみを「アタリ」と呼んでいるのですが、この部分は鞄に入れてもポケットに入れても他の素材との摩擦が一番生じる部分。
ナッパネビアはシボ感のある素材のため、この部分のシボが磨かれツヤが出てきます。
内側は、クリップを挟み込む事によってできる傷と凹み。
私はクリップを左に倒して挟むため、ポケットの左側にクリップ痕が集中しています。
また、内側の風合いが異なる天冠部分が当たるレザーにも天冠の形に応じた凹みが出ています。
こうしたペンを出し入れする部分と、ペンスリーブを開閉する部分のレザーはいち早く馴染んでいき、その分、レザーの柔らかさも増していきます。
ペンを入れた状態のキップレザー(左)と、ナッパネビア(右)。
キップレザーの触り心地はナッパネビアよりも硬く、つるっとした触り心地。
柔らかさにも違いがあり、ナッパネビアの方が柔らかく よりペンに馴染んでいくように感じます。
キップレザーはナッパネビアのように染みこんだワックスによるブルームが発生していないため、感じられる経年変化は少なく、操作感も硬め。
キップレザーは今はもう廃番となっていますので、rethinkのペンスリーブを買う場合はナッパネビア一択となります。
キップレザーだから というわけではないですが、おそらく内側のレザーと外側(表面)のレザーのカラーは製造時の個体差(バリエーション)があると思われます。
手元のキップレザーはブラック(表)×ブラウン(裏)となっていますが、裏面がレッドやネイビー等他の色があっても格好良いかも。
革が馴染み、よりコンパクトに収まっているナッパネビアのネロ。
右の使いたてのカスターニョと比べると表面のツヤや、エッジの部分が丸く馴染んでいることが分かります。
こうなってくるとさらに使い勝手は上がり、手放せない存在に…。
ペンのアタリの部分からシボが消え、全体的なブルームも落ち着いたナッパネビアのネロ。
2年後のカスターニョがどのような表情になっているのか、今から楽しみです。
カスターニョの色合いと経年変化
今回新たに手にしたカラーのカスターニョ(栗色)は、ネロと比べて明るい色となりますが、どのような色の変化がもたらされるのか。
稼働はLim Pen Sleeveに比べると多くはないですが、2022年に購入した2本差しのDuo Pen Sheathと経年変化の比較をしてきたいと思います。
まずは使用前のカスターニョの色合いを目に焼き付けておきます。
表面はシボとネビア(霧)が特徴的な、マットな質感。
革が薄いといっても未使用の状態では、まだ硬さがあり色合いも無垢な状態。
写真では伝わらないのですが鞣されたレザーの香りがとても芳醇で、この香りを嗅ぐだけでも質の高いレザーが使われていることが分かります。
ロゴは表面に一点のみとシンプル。
ネロに比べて文字がはっきりしていますが、ロゴはペイントではなく型押しのため、本体のシボの部分は経年変化によりこの文字の色に近づいていくもと思われます。
内側は、内装のヌメ革とのコントラストが愉しめるデザイン。
ペンを通していない状態だとここまで薄さが際立つ作りとなっています。
現在で2年使っているネロもそうですが、内側は手が触れることが少ないためこのワックスがかった霞んだ色合いが残っていきます。
逆に クリップを差す部分はクリップ後が残り、それがまた味わい深い経年変化となるのです。
3年目となる2本差し(右)と、未使用の状態の3本差し(左)。
そこまで頻繁に持ち出さない2本差しも、購入時は左の3本差しと同じ色合いでした。
やはり、ペンが差し込まれた部分はペンの形にアタリがつき、色濃くツヤが出ています。
どちらも約150mmというコンパクトさで、バッグに入れても、ジャケットのポケットに忍ばせても苦になりません。
2本差しはペンを入れた状態でも15mm以下の厚み、3本差しは25mm以下の厚みです。
ペンスリーブにペンを3本差した状態。一番幅がある部分でも55mm以下というコンパクト設計。
Lim Pen Sleeveにペンを3本差した時のこのフォルムが、何ともいえず格好良い。
デスクに置くときは開いた状態で平置き。
下側は穴が空いているため、指でペンを押し出してサッと取り出せます。
コンパクトに携帯し、開いて颯爽と取り出す。
機動力の高さがペンスリーブの売りでもあります。
ナッパネビアのようなワックスが染みこんだタンニン鞣しのレザーは、爪で傷が付いても揉み込むことで容易に目立たなくすることができるのもポイント高し。
rethinkでは、これはカスターニョに限らずネロも同様です。
カスターニョ(栗)とモンブラン。
栗の渋皮カラーのペンスリーブにはモンブランのペンがよく似合います。
(モンブラン違いですが…)
モンブランのペンでも、ノブレス等の細軸よりもマイスターシュテュック系の中太軸ボールペンがよく馴染むペンケースです。
さて、今回はrethinkのペンケースでは3回目の記事となる「Lim Pen Sleeve Nebbia」のカスターニョを中心にレポートしました。
栗の渋皮のような淡いブラウンのカスターニョ。
チャコールグレーのネロとはまた違った経年変化を見せてくれそうです。皆さんはどちらがお好みでしょうか?
選りすぐりの3本を機能的に収める、rethinkのペンスリーブをお勧めする理由をまとめると、
・中太軸のペン3本をもっともコンパクトに携帯できる
・ペンを上から引き出せるため、使い勝手が良い
・じっくりと経年変化を愉しめる
の3点に行き着きます。
ボールペンや万年筆を3本だけコンパクトに携帯したい方、使い勝手のいいペンスリーブをお探しの方はぜひチェックして頂きたいです。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次回は久しぶりに万年筆をレポートしたいと思います。
こちらもお楽しみに。
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