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小さな筆記具は良いものだ!カラーストーンが無いモンブランのボエムを手に入れたらまずする事【モンブラン ボエム ドゥエ ラ シトリン ボールペン レビュー】

2024年9月22日

今回は久しぶりに小型筆記具に関するレポート。
 
皆さんは、小さな筆記具はお持ちでしょうか?
万年筆でもボールペンでも、老舗の筆記具メーカーであれば新旧含めると一つはラインナップされている小型筆記具。
 
小さな筆記具を持つとなぜか心が躍ります。小さなボディが醸し出す凝縮感。必要なときにサッとバッグやポケットから出して颯爽と使う。
そういったケースはまだまだ身の回りにあります。
 
例えば、いつも携帯するお気に入りの手帳に合わせて小さめの筆記具を持ち歩いたり、ゴルフでスコアを書いたり、外出先のホテルで署名をするときや、とあるファミレスでメニュー番号を紙に書くとき等、出先で筆記具が必要なときというのは 今でもそこそこあったりします。
(とあるファミレスの注文カード、ここはあえて備え付けのペンではなく自前のお気に入りを使いたいところです)
 
今はスマホがありますので、必ずしも出先で筆記具が必要な機会は減ってきてはいるものの、昔は昔で出先でコンパクトな筆記具がいる、というケースは今以上にたくさんあったのではないかと思うのです。
 
私が持っている小型の筆記具で真っ先に思い浮かぶのがカヴェコのスポーツシリーズ。
1930年代に発売された小型のカヴェコスポーツは、その携帯性と機能性から1972年のミュンヘンオリンピックの公式ペンとして採用された経緯があります。
その頃から、筆記具はコンパクトに持ち運べて機能的であることが美徳とされていたのかもしれません。
 
一方、モンブランのボエムのように、筆記具を携帯すること=アクセサリーを身につけることを同義とした筆記具もラインナップされていました。
ボエムは2000年に入ってから発売された女性を美しく飾るというコンセプトのラインナップで、現在は廃番となっています。「Boheme」の語源でもある、自由に生きるための自己表現的な意味合いもありますので、ここはあえて筆記具に性別を押しつけることなく取り扱いたいところ。
 
カヴェコやモンブランの例にもあるように、筆記具を携帯する=コンパクトで機能的であることを前提に、ファッショナブルであることも携帯したくなる一つの要素ではないかと思います。
 

 
今回の記事はそんなモンブランのボエム(ボールペン)について。
先にも書いたとおり 廃番となっているモデルにはなりますが、中古市場でもたまに見かけることがあり、気になっている方も多いのではないでしょうか。
 
ボエムの中でも、樹脂と金属の組み合わせである「ボエム ドゥエ」から、イエローゴールドトリム×ストライプのプレシャスレジンにクリップにシトリン(黄水晶)が配されたモデル「ラ シトリン」をレポートしていきます。
 
当ブログにおいても以前にボエム(万年筆)のレポートを書いていますが、万年筆はペン先を軸内に収納する独特な機構を持っていたりと、小さな軸の中に詰め込まれたギミックは一見の価値ありで、モンブランファンならずとも狙って損はない万年筆。
 

 
ボエムの万年筆やボールペンはクリップにカラーストーンが配置されていますが、これが外れているモノもよく見かけます。(発売初期のものはカラーストーンが無いモデルもあり)
 
私が入手した個体も、レジンや金属部分は綺麗なものの どういう経緯でそうなったか分かりませんがクリップのストーンが欠損してしまっていました。
 
そのようなボエムを入手した時、まずやってみたい事が「宝石を着ける」というリペア。
ボエムに着くストーンの仕様が天然石か人工石かは分かりませんが、どうせなら天然石を着けたいですね。
 
ボエムは廃番ということもあり、モンブランに修理に出すとなると本国送りは容易に想像がつきます。
となると修理代は跳ね上がり(もしかすると修理不能の可能性も…)、別の高級筆記具が買えてしまうような出費となりかねません。
 
ということで、なるべく出費は控えつつクリップにシトリンを復活させたい!という願望のもと、ネットでシトリンのルース(アクセサリーに加工される前の宝石)を探すこととなります。
 

 
その前にしておかねばならないことは、宝石のサイズや形を確認する事。
手元には万年筆のボエムがあるため、それをもとに採寸してみます。
 
万年筆とボールペンではクリップの作りが違っており、万年筆はクリップリングがあり、ボールペンにはありません。ストーンが嵌まるベースの形についても確認する必要がありそうです。
 

 
手元にあるボエムのブルーにはクリップにサファイアが使われており、石のカットもどこか一般的ではない独特な形状をしています。おそらくモンブランのボエム用として特別にカットされたものでしょう。
ネットでボエムドゥエに嵌まっているシトリンの形も確認しましたが、おそらくこのサファイアと同じカットと思われます。
 
右のボールペンの方も石が嵌まっていたクリップ先端の作りは同じに見えますが、石が接着されていたのかぴったり嵌まっていたのかは分かりづらいです。
 

 
横から見比べると、左の万年筆の方は石が噛むようにセットされているのが分かりますが、右のボールペンの方は石が引っかかるような溝が無いようにも見えます。
これは少し加工が必要かも知れません。
 
石のサイズを測ったところ、縦が5mm~6mm、横幅が3mm程度だということが分かりました。
さて、このサイズのシトリンを探してみましょう。
 

 
意外とアッサリ見つかりました。
アルバという会社が販売しているシトリン天然石のルース。
今はアクセサリーを自作する方も増えているということで、こういった天然石のルースが簡単に見つかるのは有り難いことです。
 
サイズは、5×3mmのものと6×4mmのものがありましたが、クリップの横幅から石が大きくはみ出ると不格好ですので、5×3mmのルースをチョイス。縦幅は万一足りなくてもクリップを多少加工することで嵌まるかな、という考えです。
 

 
ふむ。モンブランオリジナルと同じカットではないですが、マッチしそうな雰囲気。
こちらはオクタゴンカットと呼ばれ、石の四隅が斜めにカットされているというもの。
これでクリップ先のベースにもしっかりとした引っかかりが作れそうです。
 
個人的にシトリンというとあまり馴染みが無い宝石でしたが、鉄イオンを含んだ水晶で、紫水晶のアメジストと同じようなものだそう。
11月の誕生石でもあるようで、「繁栄」「成功」「希望」「富」「社交性」といった石言葉となっています。
ビジネスで使うのに嬉しい文字が並んでいますね!笑
 

 
さて、シトリンの取り付け作業に入ります。
シトリンのルースは6個入りで2,000円ほど。天然石をカットしている商品のため、各粒ナノミリ単位での誤差はあるはずです。
 
クリップ先端を少しずつ内側に曲げて調節しながら一粒ずつ嵌めていき、ピッタリ嵌まる石を探します。
道具は身近にあるもので、胴軸を保護するためのマスキングテープと時計のベルト調整に使う小型のハンマー、あとは写真にはないですが、微調整用のペンチです。
 

 
クリップ先は本当に少しずつ調整していきます。
ハンマーで叩いてはシトリンを嵌め…の繰り返し。
 
作業すること約1時間、シトリン嵌め完了!
 

 
パチッと噛み合った時は感動です。
オクタゴンファセットカットのシトリン、なかなか良い感じではないでしょうか。
横幅もピッタリです。
 

 
クリップ先の溝にピッタリと嵌まっているため、接着剤の補助も必要無さそう。
出費は送料入れて約3,000円程、工賃は自分でやってるので無料です。
 

 
今一度、万年筆と並べてみます。
カラーストーンのサイズ感も合っているのではないでしょうか。
 

 
さて、クリップが直ったところで、ボエム ドゥエのボールペンを詳しく見ていきたと思います。
スペックについては、
 
全長(携帯時):110mm
全長(筆記時):113mm
重量:28g
 
ボエムはモンブランの中でもコンパクトなラインナップで、ペン先やトップに金属素材が使われたドゥエは、小さいながら重量感もそこそこあり、軽すぎてペン先が走りすぎるといったこともありません。
 

 
グリップ部分の軸径は11mm~12mmとなり、同じモンブランのマイスターシュテュック#164よりも太い軸となります。
ストライプの溝が刻まれた胴軸のプレシャスレジンは握り心地も良好。
重心は真ん中よりもペン先寄りで、どちらかというと低重心。
 
男性の手には少し短いため、個人的には長時間の筆記はしんどいと感じましたが、ボエムのコンセプトであるアクセサリーのように携帯し、必要なときにサクッと取り出し、サッと書く。
この機動力の高さですよ。
 

 
ペン先の拡大。
口金は通常モデルが樹脂製、ドゥエは金属製となります。
 
万年筆と同じく、ペン先側のリングに「MONTBLANC ◆ BOHEME」の刻印。
通常、ラ シトリンのペン先はクリップや天冠と同じローズゴールドですが、こちらのボエムはプラチナのものが着いています。
 
おそらく私の手元に来るまでの間、いつかのタイミングでリペアか修理されたものではないかと思われます。
個人としてはプラチナトリムが大好きですので、嬉しい変更点。
また、イエローゴールドトリム自体が濃い色ではないため、ペン先がプラチナでも違和感は無く 逆に個性があって気に入っています。
 

 
回転繰り出し機構を兼ねた天冠部分。
クリップとは非一体型のリングには、シリアルナンバーとGERMANYの刻印。
 
面白いのが回転繰り出し動作において、モンブランのロゴ部分は稼働せず、真ん中のリング部分のみが回転してペン先を繰り出すということ。
万年筆もそうですが、こういった洒落たギミックが面白い。
 

 
上から見たときのフォルムの美しさは必見。
胴軸のストライプがとてもエレガントです。モンブランが誇るレジンと金属のバランスの良さ、ドゥエ好きの私には堪りません。
 
ボエムのボールペンを使って感動した点。
流線型の美しいフォルムはもちろんですが、対応リフィルが4C芯ではなく、モンブランの通常サイズリフィルであること。
 
実用という点において、4C芯と通常サイズのリフィルでは やはりインクの持ちに差がでてきます。
本当に長持ちするんです、モンブランの純正リフィル。
 

 
リフィルを横に並べると、この小さなボディいっぱいにリフィルが格納されていることが分かります。
デザインだけではない「機能性」という部分もしっかりとクリアしていることに頭が下がります。
 

 
モンブランのリフィルだけに書き味は申し分なし。
粘度のバランスが良いです。しっかり油性、でもダマにならない。
 

 
最後は他の筆記具と比較していきましょう。
 

 
まずは、同じようなフォルムをしたファーバーカステルのエモーションと。
ボエムのボールペンを入手する前のサイズのイメージが、このエモーションでした。
 
実際に並べてみると結構違います。
エモーションが124mmですので14mmほどボエムの方が短く、100mm~110mmサイズの筆記具ということで、イメージ的にはカヴェコのスポーツやモンテグラッパのミクラと同じ部類となります。
 

 
モンブランのドゥエシリーズで並べてみました。
左から、スターウォーカー ブループラネット ドゥエ、ボエム ドゥエ、マイスターシュテュック ソリテールドゥエ。
 
ドゥエはレジンとメタルの割合が約半分となり、重すぎず軽すぎずのちょうど良い重量感と、レジンと金属のバイカラーが楽しめるモデル。
 
モンブランを使われている方は、一度ドゥエを使ってみることをお勧めします。
重量感とデザインのバランスが良く、筆記具としての完成度と満足感が高いからです。
 

 
続いて、100mm前後のボールペンを並べてみました。
左から、カヴェコ ルックス、ボエム ドゥエ、マイスターシュテュック モーツァルト、ペリカン K300。
 
ペン先を出した状態で一番小さいのは、モンブランのマイスターシュテュック モーツァルト。
一番驚くべき事は、ボエム以外の3本は4C芯対応で、芯が格納されている部分は胴軸の半分くらいまでとなっており、キャップの部分はほぼ回転繰り出し機構です。
 
そう考えても、ボエムは胴軸全体に容量の大きなリフィルを格納することで、ミニペンにありがちな「4C芯利用によるインクの持ちの悪さ」という欠点をカバーしているのです。
これは本当に凄い。
 

 
最後は、ミニペンを持ち歩くためのペンケースと共に。
私が愛用しているのは、カヴェコの3本挿しショートサイズ用レザーペンケース。
 
もともとはカヴェコスポーツシリーズを携帯するためのペンケースですが、同じくらいのサイズの筆記具であれば、万年筆・ボールペン・メカニカルペンシルを問わずに収納することができます。
 
ペンは左から、モンブラン ボエムドゥエ(BP)、モンテグラッパ ミクラ(BP)、セーラー プロフィットミニ(FP)、カヴェコ ARTスポーツ(FP)、モンブラン ボエム(FP)。
 
カヴェコの3本挿しペンケースにしっくり収めるには、これくらいの軸径の筆記具が一番。
先ほどのモンブラン モーツァルトやペリカンK300、カランダッシュのエクリドールXSももちろん入りますが、それらはショートに加えて細軸のため、少しガバつきます。
 

 
さて、今回はモンブランのボールペン「ボエム ドゥエ ラ シトリン」をレポートしました。
 
流石はモンブランという高級感のある素材やフォルムに、小型のペンには搭載が難しかった大容量の純正リフィル対応とした名品。廃番なのが惜しまれます。
小さなペンが最も必要とされていた時代の「コンパクトであること、機能的であること」を現代に蘇らせるとこのようなペンになるというお手本とも言うべきボールペン。
 
またまた廃番モデルのレポートとなりましたが、機能的でコンパクト、そして美しいペンがお好きな方は探してみてはいかがでしょう。
その際、カラーストーンを失った個体に出逢ったら、ぜひ当記事を参考に天然石を嵌め込んでみて下さい。
一層愛着が湧くこと、間違いありません。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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