芸術の秋にジャケットに忍ばせるモンブランのドネーションペン【サー・ゲオルグ・ショルティ】【レナード・バーンスタイン】ボールペン レビュー
暑かった夏から気温が一変し、一気に秋めいてきましたね。(というか、秋を飛ばして冬っぽい)
秋と言えば「芸術の秋」と昔から言いますが、皆さんは芸術と聞いて何を連想するでしょう?
私は小さな頃から絵を描くことが大好きでしたので、秋は涼しくなってきてペンや筆を握る機会がさらに増える、嬉しい季節だったりします。
社会人になるとなかなか自分のための時間が取れず、昔に比べて絵を描く機会も減りましたが、忙しいときでも楽しめる芸術として「音楽」があるかと思います。
(私の場合はもちろん聴く方ですが…)
私もしかり、最近はクラシックにハマる毎日…。
小学生の時にやたらと校内でかかっていて退屈だったクラシック音楽も、大人になった今、とても心地良い音楽として日常的に聴くようになりました。
クラシック音楽に触れていくと、自然と(?)その類いのペンにも興味が出るというもの。
また、その音楽家をモデルとした筆記具のデザインがシンプル且つ洗練されており、私の好みにピタリとハマるのです。
今回はそのクラシック音楽にまつわるボールペンの記事。
モンブランから発売されているドネーションペンから、2005年の特別生産品「サー・ゲオルグ・ショルティ」のレポートをメインに、1996年に発売された初代ドネーションペン【レナード・バーンスタイン】も合わせて見ていきたいと思います。
ドネーションペンについては今まで二回ほど記事にしていますので、ドネーションペンとは何かについては過去二回の記事をお読み頂きたいのですが、何がそんなに良いのかというと、日常使用はもちろんのこと 特にフォーマルなシーンで活躍するペンだということ。
礼服やスーツの内ポケットに忍ばせて、サッと取り出して使うのが◎。
そんなときにも安っぽくなく、それでいて主張しすぎず。
素晴らしいペンなのです!(主観も入ってます)
それでは、ドネーションペンの比較を交えながら、モンブラン ボールペンの【サー・ゲオルグ・ショルティ】、そして【レナード・バーンスタイン】を見ていきましょう。
年代ごとのドネーションペンの比較と特徴
ジャケットの内ポケットに忍ばせるボールペンとして、モンブランのドネーションペン。
それが良い理由としては、何というか、高級ボールペンでありながら「嫌らしさがない」ところではないでしょうか。
楽器をモチーフにしたクリップは、高級感がありつつ さり気ないお洒落を演出できる部分だと感じています。
誰もが見たことがある楽器や音楽に関する一部分は知的なイメージを与え、また、クリップだけ見てもユーモアのあるペンとも取れる部分です。
左から、レナード・バーンスタイン、ユーディ・メニューイン、ヘルベルト・フォン・カラヤン、サー・ゲオルグ・ショルティ、ヨハネス・ブラームス。(ブラームス以外はボールペン)
この並びを見てピンと来た方は、なかなかにマニアックな方とお見受けします。
そうですこの並び、左から発売年代順に並んでいるのです。
それぞれの発売年代は、
・レナード・バーンスタイン(1996年)
特徴:ト音記号のクリップ、楽譜(マリア)刻印のキャップリング
ブラックレジン×ゴールドトリム
・ユーディ・メニューイン(2000年)
特徴:バイオリンのネック型クリップ、メニューインのサインのキャップリング
ブラックレジン×ゴールドトリム
・ヘルベルト・フォン・カラヤン(2003年)
特徴:タクト型のクリップ、ピアノ鍵盤のキャップリング
ブラックレジン×シルバートリム
・サー・ゲオルグ・ショルティ(2005年)
特徴:ピアノ鍵盤型クリップ、五線譜のキャップリング
ブラックレジン(ショルティのサイン)×シルバートリム
・ヨハネス・ブラームス(2012年)※万年筆
特徴:音叉型のクリップ、ブラームスのサインのキャップリング
ペン先は14金にロジウムプレートで鳩のマーク、インク窓はブルー
となっています。
写真のドネーションペンがラインナップの全てではなく、参考として抜けている年代のドネーションペンの発売年と特徴は以下(2022年現在)の通り。
・ヨハン・セバスチャン・バッハ(2001年)
特徴:ト音記号のクリップ、朱色のキャップにバッハのサインとシリアルナンバー
胴軸はブラックレジン×ゴールドトリム
・アルトゥーロ・トスカニーニ(2007年)
特徴:チェロの弦型のクリップ、キャップリングにトスカニーニのサイン
ブラックレジン×シルバートリム
・ジョン・レノン(2010年)
特徴:ギターのネック型クリップ、キャップリングにジョンのサイン(似顔絵)
ブラックレジン×シルバートリム
・ヨハン・シュトラウス(2017年)
特徴:バイオリンの弓型クリップ、キャップリングにヨハン・シュトラウスのサイン
ブラックレジン×ローズゴールドトリム(プラチナトリムもあり?)
・ジョージ・ガーシュウィン(2019年)
特徴:クラリネット型のクリップ、キャップリングにブルックリン橋
ブラックレジン×シルバートリム
・フレデリック・ショパン(2022年)
特徴:ピアノハンマー型クリップ、キャップリングに「ノクターン 変ロ短調 Op.09 No.1」楽譜
ブラックレジン×シルバートリム
現在において11モデルのラインナップ。
うーむ、手元にないドネーションペンも魅力的なものが多い…。
それぞれのドネーションペンには音楽家にちなんだモチーフが散りばめられていて面白いです。
手元にある5本を並べたとき、あることに気がつきます。
ボールペンで言うところ…にはなりますが、2003年発売のカラヤンから2005年発売のショルティのボールペンに移る際、ペンの全長がサイズアップされています。
(一番右のブラームスは万年筆のため除外)
1996年のバーンスタインに始まり2003年のカラヤンまでは、ボールペンの全長は138mm。
2005年のショルティ以降のボールペンは全長が141mm。
138mmのサイズは一般的なマイスターシュテュッククラシック#164と同じ。
一方、141mmの全長はミッドサイズ(クラシックとル・グランの中間)のマイスターシュテュックと同じで、存在感がアップしています。
ということで、マイスターシュテュッククラシックP164とカラヤン、ショルティの3本を並べてみました。
確かに、#164サイズとカラヤンのサイズは同じとなっていて、ショルティはキャップの全長が長くなっています。
リフィルを取り出してみます。
ボールペンとしての構造は、同じ回転繰り出し式。
胴軸の長さが同じであることから、全長の違いはキャップの長さの違いということになります。
ペンを繰り出す仕組みとしては同じですが、2005年以降のドネーションペン内部のパーツは ミッドサイズのものが使われていそうです。
さて、手元にあるドネーションペンの各年代の比較と特徴に戻りましょう。
続いてはホワイトスターの比較です。
これも5本まで揃えてみての気付いた点として、ホワイトスターのカラーにご注目。
並びは先ほどと同じですが、1996年の初代ドネーションペンのバーンスタインはホワイト、その後2000年~2003年のモデルであるメニューインとカラヤンはアイボリーとなっています。
(2001年バッハのホワイトスターのカラーは未確認)
その後(2005年~)は純白のホワイトスターに戻っていると考えられます。
また、筆記モードがボールペンか万年筆かで違いがある、という可能性も考えられますね。
皆さんの手元にあるドネーションペンはいかがでしょうか?
もう一つの比較としては、ペン先のパーツ。
初代(1996年)バーンスタインと次モデル(2000年)メニューインのみ、ペン先には「-MONTBLANC- PHILHARMONIA OF THE NATIONS」の刻印が入り、その後のモデルには入りません。
また、トリムのカラーについても、最初の3作品のみゴールドトリム。
3作目のバッハにはこの文字と飾り刻印は無く、#164と同じペン先パーツとなっています。
4作目のカラヤン以降は基本、シルバートリムになっていて飾り刻印のみで文字は無し。
シンプルな印象に変わっています。
2003年のカラヤン以前の#164ベースのコンパクトなモデルはゴールドトリムのみであり、2005年のショルティ以降のモデルはサイズアップしてシルバートリムが基本になっている、ということが今回の比較で分かりました。
うーむ、ドネーションペン一つとっても奥が深いモンブランのボールペン、たまりませんな。
ボールペン サー・ゲオルグ・ショルティのディティール
それでは、ドネーションペンのラインナップから手元に新しく増えたショルティのボールペンについて、詳しく見てきましょう。
2003年までの厳かなモデルとは一変して、お洒落さもミックスされた感のある2005年以降のドネーションペン。
私がフォーマルな場に持ち出す理由がそこにあります。
と言うのも、2005年以降のドネーションペンは若干大きくなったサイズもそうですが、華やかさがプラスされた気がしています。
改めてボールペン4本を並べてみると、2005年(ショルティモデル)からデザインの変化があるように思いませんか?
カラヤンまではクラシック路線、ショルティからはキャップリングのプラチナコーティングの影響もあるでしょうが、よりドレッシーな印象となっています。
モンブランの企業としての動きとして、2006年に創業100周年を迎えるにあたり何か動きがあったのかも知れません。(2004年にCEOがルッツ・ベートゲ氏に代わっていることも関係しているのか)
クリップのデザインですが、ピアノの鍵盤がモチーフとなっています。
ゲオルグ・ショルティといえば有名なオーケストラ指揮者ですが、元々ピアニストだったこともあるでしょう。モチーフとしてピアノ鍵盤はモノトーンで非常にシンプルな素材と言えますね。
横から見るとクリップの根元はモンブランのボールペンでは珍しい90°のシルエット、クリップ先もピアノの鍵盤と合わせてか直線的なラインが使われています。
クリップ自体(白鍵)は金属素材、黒鍵部分は樹脂製となっています。
クリップの裏にはお馴染みの「GERMANY Pix®」の刻印。
そういえば、(刻印が一切無いと思っていた)カラヤンのボールペンのクリップ裏にも「Pix®」の刻印を見つけてツイートしましたが、おそらく、2000年のメニューインからはクリップ裏に「Pix®」の刻印があることでしょう。
(バッハはト音記号クリップなのでついて無いかも…)
キャップリングは一見 五線譜に見えますが、実は「ピアノの弦」のデザイン。ピアノは打弦楽器。鍵盤を指で叩くとその力がハンマーに伝わり、そのハンマーが打った弦が振動して音を出します。
通常、キャップリングには厚めのリングが配置されることが多いですが、繊細なピアノ弦がうまくデザインとして落とし込まれていて感服します。
キャップの五線譜から胴軸に移るなめらかなラインも格好良い。
密かにお気に入りの部分です。
そして、モンブランのドネーションペン「サー・ゲオルグ・ショルティ」の一番のポイントがここにあると言っていいでしょう!
ペン先を繰り出すことで表面に現れる赤く輝くショルティ卿のサイン!
これ、格好良すぎます。
個人的に震えたポイントです。
ペンを握って筆記する時に見えるショルティのサイン。
しかも、クリップ(ボールペンの中央線)に対して真正面でなく左寄りに位置しているところがデザイン的に素晴らしい点!
胴軸側にサイン刻印があるというのはモンブランのラインナップを見ても貴重ではないかと。
キャップ、クリップ、胴軸を含んだペン全体でショルティ卿を表現しているところが良いですね。
ボールペン レナード・バーンスタインのディティール
続いて、入手してからまだレポートできていなかった初代ドネーションペンこと「レナード・バーンスタイン」モデルの特徴も見てきましょう。
左がバーンスタイン、右がカラヤン。
初期のドネーションペンの特徴と言えば、前述した通り豪華さをイメージさせるゴールドトリムではないでしょうか。
ト音記号のクリップはまさに音楽そのものを表現していると言えます。
小学生の時、これをいかにうまく書けるか友人と競っていたように記憶しています 笑。
1996年のバーンスタイン、2001年のバッハ、2003年のカラヤンは、クリップのベースは同じで三角クリップにモチーフが取り付けられたデザイン。
バーンスタインとバッハは同じト音記号のクリップです。
クリップの裏には「GERMANY」の刻印のみ。
Gの左に見えるのはト音記号をつけるためのダボ穴。カラヤンと同じ位置(クリップ付け根の裏)にPix®刻印があるか確認しましたがありませんでした。
クリップのト音記号。
バーンスタインと言えば、キャップリングの刻印曲(マリア)にもあるようにウエストサイドストーリーという印象ですが、個人的にはキャンディードの方が好きですね。
キャップリングのマリアの楽譜と歌詞。
キャップリングに楽譜が刻まれているのは、今のところこのバーンスタインとバッハ、そして今年2022年に発売されたフレデリック・ショパンのみです。
豪華なコンビカラーとモチーフの初期ドネーションペン、2003年モデル以降は姿を消すゴールドトリムの重厚な美しさも良いものですね。
モンブラン特別生産品の傾向と持つ喜びについて
最後はドネーションペンを含む、モンブランの特別生産品を持つ喜びについて。
特別生産品と言えど、そのほとんどのベースはマイスターシュテュックやスターウォーカーであることは間違いないです。
それでいても、モンブランの特別生産品には特別生産品としてモチーフの背景があり、ストーリーがあります。
その特別な一本は、間違いなく相棒となり、強いては一生モノのペンとなるに違いありません。
特別生産品にも幾つか種類があり、今回の記事であるドネーションペンの他に、作家シリーズやミレニアム(○○周年)モデル、ヘリテイジモデルに、パトロンシリーズなど。
(パトロンは高価すぎて買えませんが…汗)
その中で一番手が出しやすいと言っていいのがドネーションペンではないかと思っています。
手が出しやすいと言っても、筆記具というジャンルとして見ると目が飛び出る価格ですが、入手のし易さ、所有満足感、書きやすさの三拍子が揃ったお得なモデルだと思うのです。
▲特別生産品は数あれど、お勧めはやっぱりドネーションペン。
音楽(またその音楽家)がモチーフというデザインコンセプトの妥当性、サイズ感、傑作である#164の筆記感に一番近く、かつブラッシュアップされている適度な重み。
私がジャケットの内ポケットに忍ばせ、ドネーションペン専用のペンケースを用意する理由がそこにあります。
とにかく書きやすく、そして多くのシーンにマッチするデザインであること。
すでにマイスターシュテュックを愛用されている方に、特にお勧めしたいワンランク上のモデルです。
▲マイスターシュテュックの派生モデルである特別生産品。
ドネーションペンの次によく当ブログで取り上げる作家シリーズ(写真のオレンジ枠側)は、よりコレクション色の強いモデルとなります。
装飾はその分豪華になりますが、どちらかというとデザインやコンセプト重視となっているモデルもあります。
ボールペンとしては、キャップを回転させてペン先を繰り出す機構の他に、ペン先を回転させるモノなど操作のバリエーションも様々。
マイスターシュテュックの操作感をそのままに、重量やサイズをアップデートさせたドネーションペン(写真のブルー枠側)は特別生産品でありながら、最も#164に近いモデルとして位置づけられており ユーザーがグレードアップしやすいモデルではないかと考えます。
ドネーションペンの中でもコンパクトかつ重厚でクラシックな1本を選ぶ場合は、初期のドネーションペンを。
シルバートリムでドレッシーかつお洒落な1本を選ぶ場合は2005年のショルティ以降のドネーションペンをお勧めします。
そして、来年2023年以降に発売されていくモデルも楽しみでなりません。
秋の夜長に暖かいコーヒーや紅茶と共に、クラシック音楽を聴きながら勉強や趣味で物書きという、大人な時間の楽しみ方のお供に。
そして、着こなしたスーツのお供にドネーションペンを選んでみてはいかがでしょう。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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