ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
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ペリカンスーベレーンM800(緑縞)は春に使いたい万年筆!

2024年9月22日

さて、4月に入って新年度となり新しい元号も発表されました。
今月で去りゆく平成は皆さんにとってどのような思い出のある元号となったでしょうか。平成の元号が発表されたときも、その文字から見える新しさや新世代への期待など様々な想いが毛筆で書かれた「平成」という二文字に乗せられていたと記憶しています。
文字には力があります。今後ますます生活はデジタルへシフトしていくことが明白ですが、またその一方でアナログの持つ力強さや人間味、モノを扱う楽しさは忘れないでいたいものです。
 
元号は変われど、当ブログは相変わらずの比較を続けていきたいと思います。来月から新元号「令和」になり、どのような文房具・筆記具・そしてガジェットが出てくるのか、楽しみで仕方ありません!
 

 
今回は年度またぎで「春に使いたい万年筆」をお届けしていきます。
前回の「春に使いたい~」記事と同じく、美しいグリーンの軸をフィーチャーしていきましょう。
 
このブログでしばしば比較の対象として登場していたものの、まだ記事にしていない定番中の定番万年筆。ペリカンのスーベレーンM800についての比較レビューです。
どちらかというとまだスーベレーンを持っていない方向けの記事ですが、すでに持っている方も再度スーベレーンの魅力を再確認する意味でも、どうぞお付き合いください。
 

 

 

 

ペリカンと言えばスーベレーン

まずはペリカンといったらスーベレーンと返ってくるほど、ペリカンのフラッグシップ的な万年筆がスーベレーンシリーズです。
万年筆に出逢いはじめの頃はペリカンのスーベレーンやモンブランのマイスターシュテュックに憧れて…という方は少なくないのではないでしょうか。限定モデルなどを合わせると相当な数のモデルが存在するスーベレーンですが、ここでは一番ポピュラーかつ名モデルであるグリーンストライプのM800を見ていきます。
 
スーベレーンM800はというとここ数年連続でペン・オブ・ザ・イヤーに鎮座するなど、その人気は衰えを知りません。実際に使ってみて感じることは、軸の太さ・重量バランス・インクフローの良さの3点が非常に優れているということです。
 

▲左がM800、右がM400。サイズは違えどニブのデザインは同じ。
 
インクフローについてはM800が飛び抜けて良いというわけでは無く、同じく所有するM400のインクフローを見ても同じように素晴らしいということ。これはスーベレーン自体の品質の良さ、個体による品質のバラツキが少ないということの証明とも言えます。
今のところインクフローの悪いスーベレーンに出合ったというのを聞いたことがありません。それに加え、M800の場合は丁度良い握りやすさの太軸と重量バランスが合わさって、まさに唯一無二の使い易さを実現しているのです。
 

▲赤枠の部分で確認できるピストンユニットの違い。
 
スーベレーンの良い部分の一つにピストン吸入機構があります。昨今の万年筆は大体がカートリッジ/コンバーター式ですが、ペリカンのスーベレーンはインク瓶からインクを吸い上げる吸入式を採用しています。
これはスーベレーンに限らずクラシックシリーズのM200M120等の廉価モデルにも例外なく採用されており、まさに万年筆の楽しさは尻軸を回してインク瓶からインクを吸い上げる行為だ!と教えてくれているかのよう。
そういった万年筆の楽しさをあらゆるモデルで体験できるのも、ペリカンの魅力ではないでしょうか。
 
そして特筆すべき点は、M800のピストンユニットが金属製だという事。
これのお陰で重量が増し、キャップを外した状態でもベストなバランスで筆記できるようになっています。軸が軽すぎるとつい指に力が入り、書く文字が走りがちになってしまいますが、軸に適度な重要があることで万年筆が紙を押し落ち着いた文字運びができるようになります。
ちなみにM600以下のサイズのピストンユニットは樹脂製となっているためM800と比べて10g以上軽量となっています。
 

 

やはり美しいストライプ軸

スーベレーンといったらストライプ。
初めて見たときは派手かな、とも思えるこのストライプですが、目に馴染んでくると派手かもという感覚はすっかりと無くなり、その美しさに魅了されてしまうのです。マーブルレジンの美しさとはまた違った、ペリカンスーベレーン特有の美しさ。一本一本のストライプは見る角度によって表情を変えるものもあればメタリックに輝くものもあり、2つと同じ軸はない自分の軸だけの特別感というものを感じさせてくれます。
 
ストライプではベーシックな緑縞・青縞・赤縞・ホワイトトートイスの他に黒軸や、特別生産品等の特殊カラーのストライプや金属ストライプのものなど様々な種類が出ています。普段使いにピッタリなのはベーシックなカラーのストライプ軸や黒軸ではないでしょうか。
 

 
手元にあるM800M400、そしてボールペンK300のストライプ軸を拡大してみると、同じ色のストライプであってもストライプの表情が違うことが分かります。
万年筆の場合はいずれも吸入式のためストライプのクリア部分から中のインク残量が確認できたりとデザインだけでなく利便性も兼ねているのです。
 

 

スーベレーンシリーズで軸のサイズ比較

スーベレーンの面白いところはそのサイズバリエーションにあります。
モデル名であるM○○の数字はサイズを表していて数字が大きくなるほどサイズも大きくなります。手元にあるのはM800M400、そしてボールペンのK300の三本。
スーベレーンで最大のサイズがM1000となり、その次がM800→M600→M400→M300の順にサイズダウンしていきます。
 

 
スーベレーンのレギュラーモデルにおいてスペック表を作ってみました。
各サイズでラインナップされているカラーが違うこと、トリムもゴールドとシルバーがあることなどバリエーションは様々。
例えば、M800のサイズが好きだけどゴールドトリムが苦手という方ならM805を選ぶなど、気に入った仕様を細かく選ぶことができるのもペリカン スーベレーンの良い点ではないでしょうか。
 

 
実際に800400300(BP)のサイズで並べてみると大きさの違いは歴然。
800は自宅や職場のデスクでじっくりと書くのに使い、400は携帯用、300は手帳用など、サイズに合わせて自分で使い方にあった軸をチョイスできます。
 

 
ちなみにキャップ天冠のペリカンビスですが、現行がトリムに合わせたカラーとなっていて、旧型が黒に金のペリカン天ビスです。私はどちらかというと旧型の方がペリカンが引き立っていて好みなのですが皆さんはいかがでしょう。
 

 

他の万年筆と大きさや書き味を比較

最後に他の万年筆とのサイズ比較です。
ペリカンと同じくドイツ製でその完成された軸バランスやデザインで名高いモンブランマイスターシュテュックと、M800にサイズの近い国産万年筆3種とで比較していきます。

 

 
左から、モンブランマイスターシュテュック149、ペリカンスーベレーンM800、マイスターシュテュック146、パイロットカスタム74、プラチナセンチュリー#3776、セーラープロフィットST
セーラーが小さめですがプロフィット21がサイズ的にはM800と同じくらいになるのかも知れません。
 
どれも全長こそほぼ同じですが、重さが70年代の149と同じくらいあってけっこうズッシリしています。この中ではモンブランとペリカンが吸入式、パイロット・プラチナ・セーラーがコンバーター/カートリッジ式。吸入式はピストン機構の影響でリアに若干重みを感るため、私はキャップを尻軸につけずに筆記するスタイルで書いています。
逆に国産万年筆3本は胴軸が軽いためキャップをつけて書く方がしっくりきますね。ようは自分が一番書きやすいと思う重さ(20g前後)にしたいだけなのですが…。
 

 
それぞれ字幅は違いますが、ペリカンやモンブランはFでもインクフローが良いため結構太字になります。
まさにペン先から溢れ出るインク!カスタム74SMと比べてもM800Fの方やモンブランのFの方が太いことがお分かり頂けるでしょうか。
 
149については以前ペン先を調整して頂いたこともあり、もとの字幅が何だったのか分からなくなりましたがこの中ではかなり太めの字を吐き出します。
そして対局にあるのがプラチナのUEF。これはめちゃくちゃ細いです。手帳にもいけますし罫線の細いノートへの筆記もお手の物。インクの粒子が小さくキリッとした字に仕上がるセーラー極黒との相性がいいかと思います。
 
日本語を書くのであれば間違いなく日本製万年筆が書きやすいのですが、太めの字が書けるドイツ製万年筆でも慣れれば「とめはねはらい」を自在に操ることができそうです。
残念ながら私が書くとマジックで書いたようなボッテリとした字になってしまっていますが…() 練習あるのみです。
 

 
さて、今回は春らしい色合いの万年筆としてペリカンスーベレーンM800をフィーチャーしました。
とにかく軸のバランスが最高ですので一度は使って頂きたい。個人的にはインクフローの良いスーベレーンであればEFくらいの字幅が日本語も書きやすいのでお勧めです。
 
自宅でゆっくりペンを走らせるとき、ペンケースに入れて出先でどっしりとした感触と滑らかな書き心地を愉しめる、誰にでもお勧めできる間違いのない万年筆。
この春から緑軸の美しい万年筆を使い始めてみてはいかがでしょう。
それではまた。

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