金属軸×アクロインキの書き心地!パイロット グランセ ボールペン レビュー
最近、日本製のボールペンをレビューすることが多くなっています。
中でもパイロット製のボールペンは種類が多い上、随所に拘りが見られる誠実なデザインで仕事にもプライベートにも使えるものが多いと感じます。
パイロット製のボールペンを購入する際は、個人的に「グリップ感が良い」「所有満足感が満たされる」という理由から胴軸にレジンが使用してあるクラシックな趣のものばかりを選んできましたが、前々から気になっていたボールペンを入手しましたのでレビューしていきます。
それは日本製では珍しく総金属製で、デザインも良い意味で日本離れしている中細軸のボールペン。
「パイロット グランセ」
総金属製でいうとスターリングシルバーの「カスタム 切子」や「グランセNC」もありますが、それらよりもクラシカルなデザインかつコスパが高いのが「グランセ」のロジウムコーティング×マーブル塗装。
今回はグランセ ボールペンのデザインや特徴を比較を交えながらレビューしていきます。
グランセのスペックとディティール
まずはパイロット グランセ ボールペンのデザインを見ていきます。
ご覧の通り日本の筆記具(パイロットの筆記具)には珍しいどこかヨーロピアンなデザインのグランセ。
胴軸はストライプのロジウムコーティング、キャップ部分がマーブル塗装となっています。
金属の輝きを持続持続させるため最近はコーティングフィニッシュのボールペンが増えています。
軸径は10.3mm、全長135mmの中細軸ボールペンです。
キャップリングのクリップ側には「GRANCE」。
ストライプの胴軸とのコンビネーションも美しく、ロゴ上下のラインもバランスが良いです。
裏側には「PILOT JAPAN」の刻印。
こちらはカスタムシリーズにもお馴染みの刻印で日本品質の証ですね。
キャップはマーブル塗装。透明感のあるマーブル塗装は見る角度によって表情を変えます。
マーブルレジンのような深みは無いですが、メタリックな輝きは金属軸ともマッチしています。
口金部分にはダブルリングがデザインされていて高級感があります。
胴軸のストライプからデザインの変化をもたらすダブルリングはクラシックな雰囲気も醸し出しています。
リフィルはアクロインキの「BRFN-30」。
もはや説明不要の書きやすさを誇る油性インクですね。
リフィルの繰り出しは回転繰り出し式。
このサイズながらカスタム74やヘリテイジ91と同じ仕組みの金属製回転繰り出しユニットなのが素晴らしい。
キャップを反時計回りに回して外し リフィル交換を行うのですが、この回し具合いがカスタム74やカスタムヘリテイジ91と同様にねっとりとしていて精密感たっぷり。
胴軸は最後までしっかりと回して固定してください。
中細軸ですがズッシリとした重みを感じるボールペン。手元にあるグリーンのマーブルは廃番となっていますが、現在のラインナップはブラック&グレー、ブラック&レッド、ブラック&ブルーの3色展開。
どれも落ち着いた色合いで使う人の年代を選びません。
カスタムシリーズとのデザイン上の共通点
グランセにはフラッグシップであるカスタム74シリーズやカスタムヘリテイジのデザインが使われています。
まず目をひくのが細身ながらも立体的に加工されたクリップとその先端の玉ではないでしょうか。
カスタム74御用達の玉クリップはレジン製のクラシカルなカスタム74に付いていればレトロチックなパイロットの伝統を感じる事ができますが、グランセの玉クリップはシルバーカラーのため非常にライトで重々しさを感じません。
横から見てみると平たいカスタム74のクリップを両側から摘まんだような、立体的な形をしていることが分かります。
クリップ先端の玉の大きさはカスタム74よりも小さく造られています。ゴールドの玉クリップに抵抗を感じる方でも、グランセのシルバーの細い玉クリップは平気という方も多いようです。
グランセというボールペン全体を見た時に、カスタム74ほど玉クリップが目立たないのもその要因かも知れません。
胴軸のストライプ加工が良い意味でグランセ全体のデザインをまとめていると言って良いでしょう。
そして、グランセにはカスタムシリーズから受け継いでいるデザインがもう一つあります。
それは天ビスの形状とデザイン。
同じくカスタムシリーズのカスタムヘリテイジ91の天ビスと並べてみるとこの通り。
ただの平たい加工ではなく頂点に段差の付いたデザインはカスタムヘリテイジ91そのもの。
また、天ビスの素材も金属でロジウムコートのためカスタムヘリテイジ91とは大きく印象が異なり、キャップリングと併せて上品にまとめられています。
カスタムシリーズの持つ重厚さとは対局の、若々しく洗練されたデザインを持つパイロットグランセ。
人前で使うと「良いボールペンを使っているね」と言われることもしばしば。
次の項ではデザインとアクロインキの関係について考えていきます。
アクロインキで活性化する軸の握りやすさ
私がこのグランセを手にする前に気になっていたのが、胴軸の金属素材+立体的なストライプが「滑りやすい」のではないかという点。
一般的な“ストライプ柄”とは違い“立体的な溝のあるストライプ処理”は握った指の触れる面積が狭いため滑りやすい傾向にあります。
実際に使ってみた印象は、予想以上に「滑らない」ということ。
※個人的な感覚含む
と言ってもロジウムコートされた金属軸ですので、レジン製の胴軸を持つカスタムシリーズに比べると指への接触面の狭さと手脂もしくは冬場の乾燥で多少滑りやすいことは確か。
しかし、このボールペンの(と言うよりはパイロットの)凄いところが、「アクロインキ」リフィルにより最適化される筆記感なのです!
書き味の軽いアクロインキが搭載されることで自然と軸を握る指から力が抜け、結果的に滑りの抑制に至っているというのがグランセの書き心地。
グランセの軸径と、ペン先に向かって一直線ではない少し丸みを帯びた胴軸のフォルム、アクロインキの書き心地、この3点を踏まえた上でデザインされている立体ストライプなのだと分かります。
筆圧が高めの方には少し使いづらく感じるかも知れませんが、胴軸のグリップポイントを少し上目に設定して握れば対策できそうです。
ちなみに同じ立体的なストライプを持つモンブランノブレスに比べても断然滑りません。
▲左がパイロットグランセ、右がモンブランノブレス
ノブレスも現行のモンブランリフィル(太字)にすれば指先の無駄な力を抜いて書くことができます。
※ノブレスはヴィンテージのためもともと入っているインクが硬化して書き心地に影響しているものが多い。
まあこのレポートは追々やっていくとして…、とにかく、パイロットグランセは胴軸の加工による滑りやすさをアクロインキの性能で相殺している、なかなかに“深い”ボールペンだということです。
他のボールペンとの比較
最後は恒例、他のボールペンとの比較です。
まずは、カスタムヘリテイジ91 ボールペンとの比較から行っていきましょう。
2本を並べるとカスタムヘリテイジ91の太さ・長さが目立ちますが、重量については30gとどちらも同じ。
素材は違えどペンの重心も真ん中にあります。
この辺はさすがパイロット製といったところ。
グリップ感は素材や太さの影響が諸に出ていて180°異なります。
おすすめのグリップポイントは2本とも共通していて、ペン先に向けて細くなる手前の胴軸部分が一番しっくりくるかと。
特にグランセは万年筆を扱うように優しくグリップすることで快適な筆記感が得られるように感じます。
ちょっと玄人好みの筆記感かも知れません。
金属軸のボールペンを並べてみました。
左から、クロスセンチュリーⅡ、モンブランノブレス、パイロットグランセ、パーカー75シズレ、パーカーソネットシズレ。
センチュリーⅡ、グランセ、ソネットシズレが回転繰り出し式。
ノブレスとパーカー75がノック式です。
サイズ感は画像をご参考に。
筆記感はそれぞれ違いますが、軸の太さや全長はパーカーソネットと同等でしょうか。グリップポイントの軸径もグランセとソネットは似ています。
油性インク+シズレパターンの書き心地も最高ですが、グランセのストライプ+アクロインキの書き心地も面白いです。
デザインを見ると面白いのですが、口金と胴軸をつなぐ部分のデザインがよく似ていますね。
異なる素材や表面加工のつなぎにリング(ソネットは溝)がデザイン上良い仕事をしていることが覗えます。
今回はパイロット グランセ ボールペンをレビューしました。
高性能なインク+ミニマルなデザインになっていく現代のボールペン。
そんな中でクラシカルなデザイン+アクロインキの書きやすさで異彩を放つパイロットグランセ。
大量生産使い捨ての筆記具は加水分解による軸の劣化など耐久性に難がありますが、金属軸にそのような心配はありません。
装飾に拘ったデザイン文房具ではありますが、こういった文房具には所有する喜びと手に馴染んでずっと使える相棒と化していく楽しみがあります。
パイロットグランセを使う意味はまさにそこにあるのではないでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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