万年筆に最適なプロッター手帳のリフィルを比較検証! 【プロッター バインダー ミニ プエブロ レビュー後編】
今回は前回の続きで、PLOTTERの手帳「プロッター バインダー ミニ プエブロ」の比較編をお届けしていきます。
このプロッターの手帳の素晴らしい点として、オリジナルリフィルの性能の良さが挙げられます。
バインダーミニプエブロを買ったそもそもの目的が“機動力のあるメモ帳”でしたが、じっくり考えて書く場合やサッと殴り書く場合いずれにおいても「書くこと」にストレスを伴ってはいけません。
その点において、プロッターのリフィルはとにかく裏抜けに強く書いていて気持ちが良い、スルスル筆が進む、という印象を受けました。
特に万年筆との相性が良いと感じるのですが、今回の記事ではプロッターのリフィルに各社のインクを使ってみて裏抜け具合いはどうなのか、また、各筆記モード(ボールペン/ローラーボール/ファインライナー)ではどうかも検証していきます。
その前に、再度プロッターの機動性を見るべく、長年愛用しているAcruのアジェンダカバーポケットサイズとの比較から行っていきたいと思います。
それでは始めましょう!
PLOTTERバインダーミニとAcruの手帳を比較(本体サイズ/スケジュール)
それでは私が長年愛用しているAcruのアジェンダカバー(ポケットサイズ)との比較から。
外観比較ですが、プロッターバインダーミニは同じミニ6穴の手帳の一般的なサイズであるAcruアジェンダカバーが大きく見えてしまうほどコンパクト。
プロッターは一枚革でできていて、ベルトやボタンやジッパーの無いシンプルなデザイン。
一枚革のため表紙を縫う必要がなく、表紙にはステッチも見られません。
革質はプロッターがプエブロ、Acruがベジタブルタンニン鞣しのレザー。Acruの方は2014年からの利用ですのでエイジングも進んでいて、表面にはツヤが出てきています。
プエブロの方もこれからどのように変化していくか楽しみです。
続いて厚みを比べてみます。
上がプロッターバインダーミニ、下がAcruアジェンダカバー。
上から見ると使うリフィルのサイズが同じであるということが分かりますね。
しかし、厚みとしてはAcruの2分の1程となっています。
Acruは表紙となる部分に2枚の革(表にブラウン、裏にネイビーのレザー)を使用しているのに対して、プロッターは1枚。まずここが手帳そのものの厚みの大きな差となっています。
加えて、Acruのアジェンダカバーはインデックスやペンホルダーなどの特殊リフィルもレザーでできているため厚みが増しています。(これはAcruの持ち味なんですけどね)
次に気付くのが、使用するリフィル(紙)の厚みの違い。
万年筆で描いたマレーバクにそれぞれのリフィルを重ねて薄さの違いを見てみます。
プロッターのリフィルはマレーバクが透けているのに対して、Acruの方は完全に隠れていることがお分かり頂けるでしょうか。
プロッターのリフィルは非常に薄くできています。
実はそれぞれの手帳に綴じてあるリフィルの枚数はプロッターの方が多いのですが、紙が薄いがために手帳自体も薄くなるわけですね。
そしてリフィルが薄いと言うことは、挟むための金具も小型化できるということ。
プロッターとAcruで金具のサイズも違うことが覗えます。
これも機動性に重きを置いたプロッターの特徴と言えるでしょう。
今度は手帳としての運用から、綴じる方が多いであろうスケジュール(月間ブロック)のオリジナルリフィル比較です。
各手帳の来月(2020年2月)のページを開いてみます。
それぞれの特徴として、
プロッターは、
・平日に書き込めるスペースが大きくとってあり、土日のマスは小さめ
・ページ上部にToDoリスト
・六曜の記載
・バイオリズムガイド
・ムーンフェイズ
Acruは、
・曜日に関係なくバランスよく記入スペースを配置
・ページ下部にメモスペース
・イベントの記載
・ムーンフェイズ
・右下に翌月のミニカレンダー
となっています。
共通する項目はムーンフェイズのみ。
ここにはそれぞれの手帳のコンセプトの違いがハッキリと出ていて面白いです。
プロッターはクリエイティブな日々の活動に向けて、ビジネス寄りにレイアウトされているように感じます。
平日の書き込みスペースの大きさや、冠婚葬祭のスケジューリングに役立つ六曜、上部のToDoリストなどからそれが読み取れます。
一方、Acruの手帳は「日々色のアジェンダカバー※」と言うだけあって、仕事・プライベート関係なく毎日の予定が見やすいようにレイアウトされています。
右下の次月ミニカレンダーも非常に便利。
※レザーを日々色に染めるという意味もあります
どちらが良い悪いというのはなく、個人的には仕事用の書き込みがやスケジュール管理がプロッター、プライベート寄りのスケジュール管理がAcruという運用になりそうです。
いやしかし、写真を撮る身にとってムーンフェイズがどちらにもあるというのは嬉しい限りです。
プロッターリフィル×万年筆インクの裏抜け選手権
さて、ここからはプロッターのリフィルの裏抜けについて検証していきます。
まずは万年筆から。
今回の裏抜け選手権にエントリーする万年筆はこちらの11本。
この中で、
プラチナ・プラチナにはラミーの「ペトロール」
プラチナ出雲空溜にはパイロットの色彩雫「松露」
カヴェコクラシックスポーツグリーンにはエルバンのエンパイアグリーン
カヴェコBRASSスポーツにはモンブランのトフィーブラウン
を入れています。
その他の万年筆は各メーカーの純正インクが入っています。
書いてみました。シンプルにメーカー名と色のみ記載。
表と裏がこちら。
この11色の中では、パイロットのブルーブラック(カートリッジインク使用)とクロスのブルーブラックに滲みが見られます。
裏側もこの2色については裏抜けが。
不思議なことに同じパイロットのインクでもブルーブラックは滲んでいますが、色彩雫の方は滲みが見られません。同じメーカーでも調合や水分が多い少ないでプロッターとの相性の良し悪しも変わってくるようです。
例えば、ペリカンなら通常のインクとエーデルシュタインとで裏抜け具合は変わってくるかもしれません。
結果として、今回試した11色中2色の裏抜けが確認できましたが、それ以外のインクについては滲み裏抜けとも皆無で良好と言えます。
各筆記モード(ボールペン/ローラーボール/ファインライナー)での使い勝手
続いて、各筆記モードでの使用感と裏抜けについてです。
※ペンシルについては検証する程でもないので割愛します(紙が薄いので下敷はひいた方が良いです!)。
まずはボールペンから。
検証に使うのはこの12本。
この中ではモンブランのモーツァルトボールペンのみ、純正リフィルではなく三菱のジェットストリームを入れています。
一通り書いてみました。
万年筆と同じく、インクのメーカーとカラーのみ記載。
パイロットのアクロインキと三菱ジェットストリームのみ低粘度油性インクでそれ以外は純油性インクです。
表と裏を見てみます。
さすが油性ボールペンというだけあって、裏抜けはほぼなし。
ただ、ボールペンの唯一の課題と言える筆記中の“ダマ”については裏抜けするようです。
パイロットのアクロインキと三菱ジェットストリームとペリカンでできた“ダマ”の部分に裏抜けが見られますが結果は良好。
どの紙とも相性が良いのがボールペン。さすがビジネスの友です。
それでは同じボールペンカテゴリーの中の水性インクを使うローラーボールとファインライナーはどうでしょう。
検証に使うローラーボールはこの6本。一番右のスターウォーカーのみファインライナーです。
いずれもメーカー純正のインクを使います。
書いてみるとこのようになります。
どの水性インクも線がクッキリとしていますが、よく見ると滲みが見られます。
ローラーボールで書いた文字の表と裏がこちら。
表面ではクロスとカヴェコの滲みが少ないように見えますね。
しかし裏側ではどのメーカーのインクも裏抜けが見られ、水性インクの粘度の低さがネックとなっていることが分かります。
この中ではモンブランとアウロラとカヴェコの裏抜けが少なく、ファーバーカステルとクロスは抜け多めです。
ファインライナーは今回試した筆記具の中では一番裏抜けが酷く、次のページが見にくくなります。
インクの性質上、ファインライナーが裏抜けしない紙はおそらくコピー用紙くらいではないかと。
今回の検証の結果をまとめると、
プロッターのリフィルへの各筆記モードの書き込み相性は、
万年筆=◎ ※一部のインクのみ裏抜け
ボールペン=◎
ローラーボール=○ ※メーカーによって裏抜け具合が異なる
ファインライナー=△
ペンシル=◎ ※検証割愛、下敷要
となり、それぞれ一部の例外はあるものの、インクの粘度が低めのファインライナー以外は良好な結果が得られました。
プロッターのリフィルは様々な筆記モードで快適に使える性能の高いリフィルだと言えます。
リフィルの裏表紙を使ったテクニック
最後にプロッターリフィルの裏表紙をプチ技をご紹介します。
各リフィルの裏表紙には黒い台紙が付いていて、リフィル単体でもノートの役割を果たせるようになっているのですが、この黒い台紙がかなりしっかりとした造りをしています。
薄めのプラスチックのような厚みと強度を持つのこ黒い台紙。
今回はこれを利用して「スケール下敷」のような「黒いノーマル下敷」を作っていきます。
スケール下敷と黒い台紙を並べてみました。
リフィルの裏表紙だけあってサイズはスケール下敷と同じ。右上のインデックス調の出っ張りはありませんが、下敷感満載の黒い台紙です。
そのまま下敷として使えなくもないのですが、取り外しが容易にできるようにリング穴付近を三角にカットしていきます。
スケール下敷を参考にこのようにハサミで三角に切り抜いていきます。
完成したら敷きたいページのリングにプチプチと下敷をつけるだけ。
台紙に強度があるからこそできる芸当です。
今回は下敷きとして活用しましたが、例えば注釈用の付箋やマスキングテープを貼る台紙にしたりと工夫次第で色々使えそうです。
さて、今回も色々書いていたら長い記事になってしまいました…(汗)
プロッターとAcruどちらの手帳も外観・中身ともに素晴らしいものです。
運用コンセプトは違うものの、共通しているのはコンパクトなサイズで毎日持ち歩きながらエイジングが楽しめるというところ。
この記事が読んで頂いている皆様の2020年の手帳選びの手助けになればと思います。
それでは今回はこの辺で。
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