ペリカンの美学!ペリカンスーベレーンK420とK605他 銀軸ボールペンを比較する
皆さんこんにちは。
最近、ペリカンスーベレーンK605は非常に使いやすいという記事を書きました。
あの記事以来、スーツの胸ポケットにはペリカンK605とハイライターインクを入れたペリカンM205duo、内ポケットにはモンブランマイスターシュテュックソリテールドゥエの#1641と#1441、そしてトフィーブラウンを入れたボルドーのモンブラン#144という機動力の高い5本がレギュラーで稼働しています。
室内仕事ということもあり、エコじゃないなーと思いながらも未だにジャケットを着用して仕事しているのですが、やはりポケットが多いことはメリットがありますね。
いや、本当はジャケット脱ぎたいんですけどね。ペンがいっぱい挿せるからつい脱ぐことが躊躇われるのです。多少暑くてもいいかと。
さて、そんなことよりも胸ポケットのペリカンK600はたまに違うボールペンと交代するのですが、そのボールペンが今回の記事ネタです。
そのボールペンとは、同じペリカンスーベレーンの派生モデルであるK420。
いつも持ち歩くボールペン専用ロールペンケースの中に常に入っていて、何だか使うのがもったいないような気がしてここぞという時や気分を変えたい時のみに登場するボールペン。
スターリングシルバー製のキャップは、華やかなストライプのスーベレーンシリーズからは想像も付かないほど静かで端正、そしてシックな出で立ちをしています。
それでは今回はペリカンスーベレーンK420を様々な観点から比較レビューしていきたいと思います。
ペリカンスーベレーンK420の魅力とは
冒頭でも少し触れた通り、K420はスターリングシルバーのキャップを持つスーベレーンシリーズ。
K605もブラックとシルバーのコントラストが美しいボールペンでしたが、K420はさらに気品をまとったような何とも所有欲を満たす一本となっています。
世の中にあるボールペンというと決して言い過ぎではなく星の数ほどあるわけですが、その中でビジネス向きで若い世代から中年世代まで幅広く使える嫌みのないボールペンはというと、やはりブラック×シルバーやネイビー×シルバーのボールペンとなってきます。
その中でもキャップがシルバー、胴軸がブラックという組み合わせは特に人気が高いのではないでしょうか。
K420のキャップはスターリングシルバー製。「Ag 925」の刻印が見られます。
キャップリングには「PELIKAN SOUVERÄN GERMANY」の刻印。通常の縦縞スーベレーンでいうところのストライプ部分は細い幅のストライプ模様が刻まれていてとてもエレガントです。樹脂のキャップも良いですが、オール金属のズッシリとしたキャップもまた良し。
胴軸部分は通常のスーベレーンと同じく樹脂製のためグリップは良好。芯繰り出しは回転式で適度な重み。
胴軸に組み込まれたスプリングが強力なのか、操作感はちょうどアウロラ(軽い)とモンブラン(ねっとり)の間くらい。回しきるとカチッと芯先がロックされるので安心感があります。
リフィルは「パーカータイプ」のため同じ規格の各メーカーリフィルが使えます。ペリカン純正のリフィルは油性で、お馴染みのねっとりした書き心地のためサラサラな書き心地が好きな方はSTデュポンのイージーフローやジェットストリームを装填しましょう。
私は欧州のねっとり油性派です。
ペリカンスーベレーンのK420とK605を比較する
続いてベーシックモデルであるK605との比較です。私がK420を手に入れるまで謎だったのがそのサイズですが、実際に比べてみるとK420はK605(K600)と同サイズであることが分かります。
左がK420、右がK605。トリムも同じシルバー系のため兄弟モデルのようです。
やはりシルバーのペリカンクリップはペン全体がキリッと引き締まる感じがしますね。
一方、キャップリングの刻印は全く同じではなく、細かく見ると文字の間隔や刻印の深さに違いがあります。
K420は文字間が狭く刻印も深め。スターリングシルバーの素材と相まって細めのストライプや文字間隔からくる情報量がペン全体の密度感を高めているように感じます。
二本の天ビスの仕様も異なっており左側のK420の天ビスは樹脂に銀のペリカンプリント(ペリカンのクチバシが歪んでるのも味ですかねー)。右のK605は金属天ビスにペリカンのレーザー刻印となっています。
K420の天ビスには賛否両論ありますが、私はクラシカルな趣のペリカンプリント樹脂製天ビスは嫌いではないですよ。
それぞれリフィルを取り出してみて気付いたことは胴軸のパーツがまったく同じであること。
すなわちK420とK605(K600)の胴軸は互換性があります。ということは、万がいちK420の胴軸や回転繰り出しユニットが故障・破損したとしてもK600系の胴軸が代用できるというわけです。
次に筆記バランスに関わる重量について。
それぞれの重さが、
K420・・・30g
K605・・・24g
その差が約6g。
キャップだけで重さを計るとK420が15gでK605が9gでした。
どちらも胴軸だけの重さ(リフィル含む)は15gとなります。
K420はキャップと胴軸がちょうど同じ重さですね。このキャップと胴軸の重さからも分かるようにK420はかなりリアヘビーなボールペンだということ。
重心を調べてみるとK605に比べてK420の方がさらにキャップ寄りの重心であることが分かります。
これは実際の筆記感の違いとしても顕著に表れていて、K420はK605に比べペン先のコントロールに力が必要です。
ペリカンのボールペンはペン先の金属部分が小さく、かつ胴軸内の回転繰り出しユニット自体に重さがあるためどうしてもキャップ側に重心が来るようになっています。
リフィルに入っているインクの粘度が高いか低いかによってもかなり筆記感が変わってくるボールペンではないかと。ちなみに低粘度インクが苦手な私がイージーフローを入れてK420で書いてみたところ文字が暴れて仕方なかったです(笑)。
スターリングシルバー製ボールペンのキャップデザインを比較する
それでは同じスターリングシルバー製のキャップを持つボールペン3本を比較していきます。
比較に使うのはモンブランマイスターシュテュック#1641とクロスタウンゼントスターリングシルバー。いずれもキャップにはストライプ模様が彫られています。
3本並べると長さはそれぞれですがK420が一番コンパクト。よくよく考えるとモンブランもペリカンも天ビスが樹脂製ですね。こういう所の共通点も気がつくと面白いものがあります。
タウンゼントは欧米人に合わせてか長めに造られているようですが、まあ タウンゼントについては後々別記事として取りあげていきたいと思います。
キャップのストライプ部分を比較すると、それぞれのメーカーの個性が出ていることが分かります。
キャップに施されたストライプの幅は、この3本でいうとモンブラン→クロス→ペリカンの順に細くなっています。
もしこれがそれぞれ違った幅のストライプだとしたら、きっと違和感しかないでしょう。モンブランであればゴールドのキャップリング幅に合わせたストライプの幅、ペリカンはかなり細めですがこれが太い幅だったとしたらこの上品で繊細な感じは出せなかったでしょう。
クロスはクロスで、キャップのストライプ幅と胴軸のストライプの幅を変えることでデザイン上のメリハリを出しています。
このように、分析してみればそれぞれのボールペンのデザインに合ったストライプの幅が選ばれていることが分かってきます。
ペリカンK420とモンブラン#1641のキャップを拡大してみます。
K420の細いストライプとキャップリングの細い方、「GERMANY」刻印のフォントの大きさ太さが絶妙にマッチしています。右側のモンブランもしかり。
何気ないデザインですがこうしたデザインの練り具合いが流石は老舗の筆記具メーカーだなと感心します。
ついでにペン先の芯を出した状態を比較してみましょう。
左からモンブラン#1641、ペリカンK420、ペリカンK605、クロスタウンゼント。各社のリフィルの先のデザインによって書きやすさにも違いがあります。
ペリカンは胴軸からペン先にかけてのラインが一直線でリフィルも先細気味に造ってあるため視認性が良いです。モンブランとクロスは口金部分が大きいため筆記中はリフィルが口金に少し隠れる形となり、人によっては書きづらいと感じるかも知れません。(これは慣れですが…)
ペリカンボールペンの口金部分の小ささは筆記時の見やすさに関係しているのではと考えています。また、ペンの先端ま樹脂があるということは、ペンを短く持つ人にとっても持ちやすいというメリットもありそうです。
ペリカンK420まとめ
さて、今回はペリカンの中では比較的希少な部類に入るK420を見てきました。
ベースモデルはK600シリーズとなり、キャップをスターリングシルバーに変えるだけで上品さと所有満足感を大幅に上げているボールペンと言えます。
ペリカンと言えば美しい樹脂のストライプ軸ですが、K420はとても静かな印象のスターリングシルバーのストライプ。このキャップの細いストライプはK420だけの特別なデザインで、ペリカンクリップを際立たせる効果もありそうです。
筆記感はリアヘビーで入れるインクによって使用感が大きく変わる暴れ馬のようなボールペンかも知れません。しかしそれを引いたとしても余りある所有満足感のため、ついつい手が伸びるボールペンなのです。
異色ペリカン好きの方や、K600にもう少し重さが欲しい!という方にはぜひ入手していただきたいモデルです。
今回も長い記事になりましたが最後までお読み頂きありがとうございました。
それではまた。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません