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クリストフルのブラゾンGMは、言わばセーラー万年筆の隠れ銀軸ボールペン【Christofle BLASON GM レビュー】

皆さんこんばんは。
 
皆さんが普段使っているボールペンのメーカーは何でしょうか?
ボールペンに絞ると、国内で人気があるのはやはり日本のメーカーで、三菱のジェットストリーム、ゼブラのサラサ、パイロットのフリクションは、常にボイスノート(Webアンケート調査)で上位をキープ、「OKB48選抜総選挙」でも上位と利用者が多いことが覗えます。
 
昨今の主要モデルでは、ゼブラのブレンやぺんてるのエナージェルもその名をよく耳にしますね。
そう思うと、私がこのブログサイトで取り上げている筆記具達は、ペンを使うユーザーのほんの一握りの方だけが使っている、と言えるのかも知れません。
 
当ブログで取り上げる筆記具メーカーとして、国内ではパイロット、セーラー万年筆、プラチナ万年筆など、万年筆を製造しているメーカーがメインとなり、海外でも同じくモンブランやパーカー、ペリカン、カランダッシュなど文房具メーカーではなく筆記具メーカーがほとんどです。
 
そう、この世にあるほとんどの筆記具は、文房具メーカーのものか筆記具(専門)メーカーのものなのですが、今回取り上げるボールペンは、主にカトラリーメーカーとして名を馳せているブランドのもの。
筆記具利用者全体からみると、本当に一握りのユーザーのみが愛用している(であろう)ボールペン。
 

 
クリストフルのブラゾンGM「Christofle BLASON GM」をレポートしていきたいと思います。
 

 

クリストフルというと、1830年創業のヨーロッパを代表するフランスのカトラリーメーカー。カトラリー専門と言うよりはシルバーウェアメーカーと言う方が正しいのかもしれません。
 
筆記具としてはマイナーなモデルのため頭上に「??」が浮かんでいる方も多いかと思いますが、実はこのボールペン、日本の筆記具メーカー「セーラー万年筆(SAILOR)」と共同開発したペンなのです。
 
発売は2011年の12月。
ブラゾンのラインナップはボールペンのみで、男性用のGM(太軸)と女性用のPM(細軸)が発売されていました。
 

 
なかなか中古市場にも出てこないのですが、最近ひょっこり出品されていたものを落札。
銀軸好きを自称するにあたって、使ってみなくては…という具合です。
 
カトラリーメーカーでボールペンを出している(出した)メーカーというと、他にはデンマークのジョージ・ジェンセンくらいしか知らないのですが、純銀のカトラリーやシルバーウェア(リングやペンダント等)を取り扱っているメーカーだからこそなのか、筆記具にも当たり前のようにシルバー925を使用しているという…まさにシルバー925がお家芸のような位置付け。
 

 
デザインはとてもシンプルで、シルエットの優美さや使いやすさに拘って作られていることが覗えます。
 
金属製の筆記具の中でも、特有の握り心地を誇るシルバー925素材のボールペン。少し黄みがかった、温かみのある風合い。
カトラリーもそうですが、手に持って使うものですので触り心地が良いと俄然 使いたいという気持ちも大きくなります。
 

 
胴軸とキャップの境界には「Christofle 925」の刻印。
そのすぐ上のキャップリングはシルバープレートで、経年使用により地金(真鍮)が部分的に見えています。
 
純銀のボールペンというと、イギリスはヤード・オ・レッドの純銀筆記具が浮かびますが、国内メーカーが絡んだ銀軸ボールペンはヤードのペンのように総銀軸素材ではなく、トリム(口金やクリップやキャップリング等)が異素材(真鍮にプラチナプレートやクロームプレート、シルバープレートなど)であることがスタンダード。
このブラゾンにおいても、シルバー925が使われているのは胴軸とキャップのみ。
天ビスとクリップ、キャップリング、口金はシルバープレートとなっています。
 
まあ、これはパイロットでもカスタム切子やシルバーンがそうであったように、セーラーに限ったことではありませんが…。
 

 
セーラーらしさも含まれたクリップの形状。
しっかりと厚みのあるクリップは適度なしなりがあり、厚手の衣類の生地にも容易に挟めます。
クリップ先の三角の止めも美しい。
 
このキャップの部分は 入手時は傷だらけでしたが、耐水ペーパーとクロスで丁寧に磨きました。
シルバー925の部分はそれでいいのですが、シルバープレート部分はやり過ぎると地金が見えるのでほどほどに。
 

 
どことなくプロフェッショナルギアを思わせる、クリップ根元から天ビスにかけてのデザイン。
クリップリングを持たないデザインは、クリストフルのミニマルなデザインと一致したのか、メカニック的にそうなったのか…。
 
このボールペンは、デザインをクリストフルが担当し、メカニックをセーラーが担当しているということですが、この辺りのデザインはセーラーも絡んでいそうな気がして仕方ありません。
 

 
天ビスにはクリストフルのロゴが刻印されています。
モデル名の「BLASON(ブラゾン)」とはフランス語で「紋章」の意味。シンプルなデザインの中に際立つクリストフルの紋章は実に目立って格好良い。
 
シルバープレートやシルバー925の刻印は、素材が硫化することでこのようにスミ入れしたようにはっきりと刻印が浮かび上がります。私がシルバー925(またはシルバープレート)の筆記具を好んで使う理由の一つでもあったりします。
 

 


 
芯の繰り出しは、キャップを回転させてペン先を出す「回転繰り出し機構」。
セーラーがメカニックを担当しているだけあって、操作感はプロフィットのボールペンのようなねっとりとした手応えのある回転動作。
ペン先繰り出し後もコクッとペン先がロックされ、良好な使い心地。
 
ついでにスペックは、
全長(携帯時):146mm
重量:38g
グリップ部の軸径:10mm
 
と、銀軸ならではのズッシリとした手応えと質感を愉しめるボールペンとなっています。
 

 
リフィルの交換はプロフィット系と同じで、キャップをまっすぐ上に引き抜いて行います。
回転繰り出し機構を備えるボールペンのリフィル交換方法は、キャップを回転させて外すか、このように上に引き抜いて外すかの2択。
 
セーラー慣れしている方にはお馴染みの手順です。
 

 
胴軸から出ている黒いツマミを捻ると、リフィルアダプターに接続された4C規格のリフィルが交換できます。
インクの容量はそれほど多くないものの、様々なメーカーが出す4C芯を使えるのがこのシステムの強み。
 
毎度の事ながら、ゼブラの4C芯は少し軸径が太いため使用できません…。
 

 
セーラーのボールペンはどれもこのような機構を持つ というわけではなく、プロフィット21のような大型のボールペンは金属製タンクの大容量インクリフィル「18-0500系」で、プロフィットは4C芯「18-0103」が適合となります。
 
プロフィット系の中でも、手元にあるボールペンではプロフィットマイカルタが同じ繰り出し機構を備えていました。
 

 
キャップを固定するためのギザが付いた嵌め込み口もマイカルタと同じですが、軸径の違いから完全に同じではなく、黒い樹脂部分が異なるようです。
 
この、いかにもセーラーなキャップ固定機構が好きなんです。
 

 
異母兄弟のボールペンを並べてみました。
左から、プロフィット21、クリストフル ブラゾンGM、プロフィットマイカルタ。
 
女性用のブラゾンPMよりも太いブラゾンGMですが、プロフィット21やマイカルタと並べてみるとまだスリムに映ります。
この中では、左のプロフィット21がキャップを捻って外すタイプの回転繰り出し機構です。
 

 


 
ところで、このリフィルアダプター付きのリフィルの全貌、何か見覚えはないでしょうか?
リフィルアダプターを含めたリフィルのシルエット。
あのリフィルに似ています。
 

 
ということで、(マイカルタに続き)今回も、CROSSのリフィルがクリストフルのブラゾンで使えるかを検証してみます。
協力して頂く右のボールペンは、これまた銀軸のCROSS タウンゼント スターリングシルバー。
CROSS純正リフィルと比べて、リフィルの長さは同じです。
 

 
結果は…、NG!
マイカルタに続き、クリストフルもCROSSのリフィルは入りませんでした。
クリストフルのボールペンなのでいけるかと思いましたが…残念。
 
発売メーカーは違えど、メカニックがセーラーということで口金内部を含めた設計がセーラー。
リフィルをよく見ると、リフィルの径自体がCROSSの方が太いため、内部でつっかえるようです。
このCROSSのリフィルが使えないことを含め、これはもうセーラーのボールペンと言っていいのではないでしょうか。
 

 
最後に和洋折衷、他メーカーの銀軸ボールペンと並べてみます。
左から、モンブラン マイスターシュテュック シルバーファーバーギョーシェ、クリストフル ブラゾンGM、CROSS タウンゼント スターリングシルバー、パイロット カスタム切子 碁盤。
 
左の2本は軸径も似ていて、握った感じも近いかと思います。(リフィルが違うので筆記感は違いますが)
CROSSのシルバー925軸は、縦にストライプ模様が入っているためグリップ感良好。
カスタム切子は、碁盤(柄)に限らず太軸のため、掌に圧迫感を感じるほど筆記時も存在感があります。
 
それぞれのメーカーの味がある銀軸筆記具。
素材は同じでもデザインや筆記感で愉しめる、何本あっても困りませんね。
 

 

さて、今回はクリストフルの銀軸ボールペン「ブラゾンGM」をレポートしました。
カトラリーメーカー発のセーラーコラボボールペン。中身がセーラーだけに筆記具としての完成度も高いと感じます。
 
セーラーから発売されている(または発売された)銀軸のボールペンは、プロフィットのシルバー925のみと記憶しており、そう考えるとこのクリストフルのブラゾンは、メーカーはクリストフルではあるものの、中身がセーラーということで、実質セーラーの銀軸ボールペンとも言えるのではないかと。
 
なかなか見かけないモデルになりますので、もしどこかで見かけたらジェネリックプロフィット シルバー925ボールペンとして入手するものありではないでしょうか。
 
同じカトラリーメーカーのジョージ・ジェンセンから出ている銀軸ボールペンや万年筆も気になるところ。
他人とはちょっと違った拘りのボールペンとしても注目です。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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