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筆記具好きにはたまらない要素が散りばめられたペンケース【GANZO シンブライドル ファスナーペンケース】

皆さんは手持ちの愛用筆記具を持ち運ぶ際、自分にとってベストなペンケースに出逢えているでしょうか。
 
今回は筆記具とは切っても切れない間柄となるペンケースについてのお話。
特に中型~大型の万年筆やボールペンを複数本収納し、持ち運ぶためのペンケースについての記事です。
 
この「中型~大型の筆記具を持ち運ぶ」ということろがポイントで、当たり前ではありますが、持ち運びたいペンが大きくなればなるほど、それに比例してペンケースも大きく重くなっていくということ。
 
そうなると手荷物として嵩張ることはもちろん、バッグから取り出した際のサイズ感を含め 仰々しくなりがちです。
 
細軸が好きで、細軸だけをメインに使っている、という場合はあまり問題にはならないかも知れませんが、太軸好きにとってはこれがなかなかに解消しがたい問題…。
 
いかに大好きな太軸万年筆をコンパクトに持ち運ぶか。
これはおそらく筆記具が好きな皆さんの共通認識であり共通の課題なのではないでしょうか。
 
そんな背景もあり、今回は実際に使ってみて「これ、太軸を結構コンパクトに持ち運べるぞ…」と感じたペンケースをレポートしていきたいと思います。
 

 
そのペンケースとは、
GANZOの「シンブライドル ファスナーペンケース」。Xでも使っている人をちらほら見かけますが、なかなかに素晴らしいレザーペンケースです。
 

 

それではGANZOのペンケースがどのように素晴らしいのか、見ていきましょう。

 

 

コンパクトにしてシンプルなデザイン

私がGANZOのシンブライドルを買おうと思った一番のきっかけ。
それはシンプルなデザインとコンパクトなサイズに他なりません。
 
どういうわけか、世にあるペンケースのほとんど(ペンケースに限らず、ブランドの製品はほとんど)は表面にロゴが大きく出たデザインや、あらゆる筆記具に対応するために調整がきかない、または中途半端な規格の製品が多いように感じます。
 
その分、GANZOのシンブライドル ファスナーペンケースはロゴが露出しておらず、あらゆるシーンに馴染むことができる数少ないデザインだと思います。
 
このペンケース、GANZOと趣味の文具箱のコラボモデルなのですが、趣味の文具箱のロゴはおろか、GANZO自体のロゴも表には出さないところに好感が持てます。
 

▲成人男性の片掌に収まるサイズ感
 
シルエットは一般的な2つ折りのラウンドファスナータイプ。
手元にあるのは4本入りのペンケースで、サイズは下記となります。
 
縦:160mm
横:90mm
厚さ:24mm
 
大型の万年筆やボールペンを入れるには ギリギリの縦幅ではないでしょうか。
縦幅だけでなく、横幅、厚みについても中型~大型の万年筆を4本入れるためだけに作られたコンパクトサイズ。
これが良いのです。
 
ラインナップは4本入り以外に、3本入りと5本入りがあり、3本入りは閉じたときの横幅が70mm、5本入りは110mmとなっています。
5本入りと迷いましたが、大型4本収納できて横幅が100mmを切るコンパクトさに惚れて4本入りを購入。
 
表面のレザーはイギリスの「J&E セジュイック社」製の高品質ブライドルレザー。
カラーは写真のものがネイビーで、他に、ブラック、ヘーゼル(ライトブラウン)、ダークブラウンの4色展開。カラー展開もいいとこついてます。
 

 
サイズ感を比較してみます。
左から、GANZOシンブライドル(4本)、土屋鞄トーンオイルヌメロールペンケース(4本+大型ポケット)、ナガサワキップレザーロールペンケース(5本)。
※()内は収納できるペンの数
 
縦幅は、GANZOが160mm、土屋鞄が192mm、ナガサワが148mm。
巻いて携帯するタイプのペンケースは横幅がコントロールできるところが強い反面、中に入れるペンによっては厚みが出てしまうところが難点。
 
筆記具平置きとなるジップペンケース型は、中に入れるペンのサイズに左右されず大きさが均一であるところがアドバンテージとなります。
 

 
コンパクトでお馴染みのガレンレザーラウンドジップペンケースと。
縦幅は同じで160mm。ただしこのコンパクトなペンケース2つは用途が全く異なり、ガレンレザーの方は細軸~中太軸までのボールペンや万年筆の収納がメイン。
モンブラン#149のような太軸の万年筆は管轄外です。
 

 
ファスナー動作の滑らかさも日本製品ならでは。
引き手もティアドロップ形のレザーでできており、操作感も良好。
服やその他の製品もそうですが、ファスナー開閉の際に引っかかりがあるとテンションが下がります。「これから書くぞ」という気分を上げてくれる大きめで安定感のあるファスナースライダーです。
 
ブライドルレザーの硬質で安心感のある外殻と流れるようなファスナー操作。
GANZOのシンブライドル4本入りは、コンパクトでも高級感溢れるファスナー型ペンケースです。
 
次の項ではペンケースの中を見ていきましょう。
 

 

必要最小限の収納スペース

それではファスナーを開き、内部の確認です。
 

 
外殻の硬質でシックなブライドルレザーと対をなす、鮮やかなヌメ革の内装。
私がネイビーを選んだ理由はこの内装とのカラーコンビネーションを愉しむため。
 
ヌメ革は、イタリアはバダラッシィ・カルロ社のミネルバボックス(が使われていると思われます)。
内側の素材のため、見る見る経年変化が進むかというとそうではなさそうですが、ミネルバボックスだけに経年変化は十分に期待できそう。
 

 
ここで注目したいのが、ペンの収納方法。
だいたいのラウンドジップ型ペンケースは袋型の収納スペースがあり、そこにすっぽりとペンを差し込む仕組み。
一方、GANZOのシンブライドルは収納している万年筆(ボールペン)がほぼ丸出しなのです。
 
これの何が良いかというと、ペンケースを開く度にペンのデザインを十二分に愉しめること。
視覚的な愉しみもありつつ、クリップと天冠のみが露出しているペンケースに比べ、使いたいペンを一目で選びやすいというメリットがあります。
 
このペンケースの正式名称は「THIN BRIDLE(シンブライドル)ファスナー付き4本入りペンケース」であり、「4本差し」とは言わないところ。
ペンケース企画陣の拘りを感じます。
 
ペン一本一本に対して壁で遮られた個室があるのに加え、レザー製のバンドがあるお陰でしっかりとペンをホールドすることができる。このミチッとした凝縮感と言いますか、コンパクトに収まっている感がなんともいえません。
 

 
また、ペン収納室の尻軸側にはこれまたレザー製の受け皿があり、尻軸がファスナーのエレメントと干渉することを防ぎます。
この受け皿も、ファスナーの開閉に干渉しないよう寸分狂いないサイズでデザインされているところもお見事。
 
逆に上部(天冠側)にエレメント干渉防止用ベロの設計はありませんので、ベルトで固定できないペンを収納する際は少し注意が必要かも知れません。
基本、この手のペンケースを持ち運ぶ際は尻軸側が下にくるようにバッグに収納する方が無難です。
 

 
内装のポケット(アオリ)にGANZOのロゴ。
ヌメ革に複雑な模様の焼き印はグッとくるモノがあります。ロマンがありますね。
 
なんとなくイル・ブセットのシームレスペンケースのような GANZOのマエストロというペンケースを見るからに、最初はGANZOが海外メーカーだとばかり思っていましたが、GANZOはれっきとした日本のブランド。
「made in Japan」の文字が誇らしげです。
 

 
ペンケースの蓋となる右側には、メモ帳などを挟めるポケット(アオリ)を装備。
この部分はマチがあるポケットではないので、薄いメモ帳や紙を挟むのみの性能と思ってよいかと。
 
私は内装にクリップの出っ張りによる傷や凹みが付くのを防止する意味も含め、PLOTTERのリフィルについている黒い台紙をメモと一緒に挟んでいます。
これから使ってみようと思っている方はご参考に。
 

 
ミネルバボックスのようなヌメ革に、固い素材が押しつけられた場合どのようになるのかが ペン室を見ると分かります。
 
ペン一本一本がミチッとペン室に収まるためにつく、キャップや胴軸の痕。これはヌメ革の味として残っていきます。蓋につくクリップの痕についても対策していない場合は同様に、クリップ先の痕が蓋の内側につくと考えて良いでしょう。
 

 
入れられるペンについてですが、細軸はNGとなり、中太軸~太軸(オーバーサイズ含む)となります。
私が普段入れているペンはこの4本。イタリア軸で統一しています。
 
左から、アウロラ マーレ・ティレニア(130mm)、デルタ ドルチェビータ ミディアム(137mm)、マーレン コンティネンティ(138mm)、オマス アルテイタリアーナ パラゴン(150mm)。
※()内は携帯時の全長
 
軸径は一番細いマーレンがキャップ部分で15mm。一番太いデルタのキャップで17mmです。
サイズでいうとオマスのパラゴンが携帯時全長150mmのオーバーサイズとなりますので、だいたいの太軸万年筆は収納可能ということになります。
 
こういった内装がフルレザーのペンケースの宿命として、中に入れる筆記具の素材がシルバー925の場合は硫化が進み、真鍮製の場合は緑青の発生があると思われます。
※緑青は特にレザー素材への付着が心配なため真鍮素材のペンは入れない方が良いかも…
 

 
試しに、モンブラン マイスターシュテュックの各サイズを入れてみました。
左から、#144、#145、#146、#149。
 
一番細い#144とその横の#145についてはペン室の中でペンが固定されず、持ち運び中はどうしても動いてしまうため、モンブランの万年筆やボールペンを入れるなら、#146と#149、ボールペンなら#161、ペンシルなら#167が良いかと思います。
 

 
その他の万年筆では、ペリカンのM800、パーカーのデュオフォールド センテニアル、セーラーのキングプロフィットやプロギアKOP、プラチナの出雲、パイロットのカスタム漆といった大型の万年筆がピッタリ。
 
何より、ペンケースを開く度に眺められるペンの全貌。
これこそがこのGANZOシンブライドルペンケースを使う意味でもあります。
 

 

個人的に感じる改良点

今のところ、太軸を持ち歩く上でこの上ない満足感を提供してくれているGANZOのシンブライドル。
私にとってベストワンなペンケースかというと、不満がないわけではありません。
この項では、GANZOシンブライドルの個人的に感じる惜しい点を挙げていきたいと思います。
 
ここが改善されるレザーペンケースが作られた場合、それは私にとって完璧なペンケースとなるのですが、そこに目を瞑れる人にとっては逆にこれがベストなペンケースになり得るかと。
 

 
まず1点目は、天冠側のファスナーエレメント対策がない点。
これは見たままなのですが、入れるのが中太軸のペンでも胴軸側が細い場合、やはり持ち運びの再ペンが中で動くことが予想されます。
 
そんなときの保険として、上部にもファスナーエレメント対策は必要かと考えます。
ただ、このペンケースにおいてペラペラした「ベロ」のようなタイプのエレメント対策は向いていないと思っていて、設置するのであれば蓋側の上部に細いレザーの出っ張りを設置するのが好ましいのではないかと思います。
 
5層くらいの積み革による「壁」を蓋側の上部に縫製することで、閉じた際にしっかりとペン側上部を保護しつつ、開いているときはペンを出す邪魔にもならない。
私がペンケースを自作するとしたらそのような仕様にするかと思います。
 
ただその場合、オーバーサイズの万年筆など一部の筆記具が入らない等の成約も出てきそうではありますが…。
 

 
2点目として、これは私が右利きだからかも知れませんが、ペンケースを持った状態でペンが出しにくい点。
逆に、左利きの方には この上なく使いやすいペンケースなのではないかと思います。
 
右利きがペンケースからペンを出す場合、左手で開いたペンケースを支え、利き腕である右手でペン(キャップや天冠)をつまんで出す、というのが自然な動きです。
 
そのため、ペンケースを開いた際、右側にペンの収納スペース、左側に蓋が来る方が右利きには扱いやすいのです。(そう思うのは私だけでしょうか?)
 

 
しかし これ(左側にペン室)も、ものは考えようと言うこともできます。
右手で蓋を支え、左手でペンを引き抜くことで万年筆のキャップを左手でつまむことになり、その場合、右手で胴軸を捻ってキャップを外し、そのまま(右手で)書き始めることができる。
 
そもそもペンケースを手に持ったままペンを取り出すという設計ではなく、ペンケースを置いた状態でペンを取り出し、筆記するというコンセプトで作られているのかも知れません。
 
開いて置いた状態で左手でペンを抜き、そのまま右手で胴軸を回しキャップを取る、筆記を開始する。
今までペンケースからペンを取り出す行為は右手で行っていたこともあり、違和感があるのかもしれません。
ううむ、取り出しやすさやこのペンケースを扱うスタイルについては、慣れも含めてさらに使いやすい方法を模索していく必要がありそうです。(あくまで個人的に)
 
以上2点が、こうだったらいいのにな…という私の願望でした。
自分にとっての至高のペンケースを求めて、まだまだペンケース沼の探索は続きそうです。
 

 

おまけ「デスク上でのスタイル」

さて、最後はおまけとして、GANZOのシンブライドルをデスク上で さらに使いやすく愉しむための小技を紹介してきたいと思います。
 

 
ラウンドジップ型のペンケースを使われている方あるあるなのですが「蓋をペンや芯ケースで支える」といったケースをよく見かけます。
これはGANZOのシンブライドルに限らず Sotのラウンドファスナーでもそうなのですが、蓋の自重でペンケースが半開きになるというもの。
 
使っているペンを持ち替えたい場合やペンを眺めたい(筆ショを撮る等含む)場合、蓋がすっきり空いていた方が使いやすく見栄えもよいのは確か。
 
そんなときは、ファスナーのスライダーをヒンジ内に収納する方法がお勧めです。
Sotの時もそうなのですが、内装とファスナーが密着していない構造の場合これが可能で、スライダーをヒンジ内部に収納することで蓋を自立させることができます。
 
やり方は簡単。
 

 
まずは、蓋を90度以上に開き、ヒンジ部分に隙間を作ります。
そこにスライダーを滑らせていくわけです。
人差し指でサクッと簡単に押し込めるところがポイント。
 

 
あまり引き手を奥まで入れてしまうと、スライダーが取り出せなくなるため注意が必要。
このくらい残しておく方がベストです。
 

 
既にこのペンケースを持っているという方はお試し下さい。
意外としっかり保持されます。
(既にやっているよ、という方もいらっしゃると思いますが…)
 
以上、GANZOシンブライドルファスナーペンケースの小技でした。
※アレンジの使用方法ですので、あくまで自己責任でお願いします
 
さて、今回は非常に満足度の高いペンケース「GANZO THIN BRIDLE(シンブライドル)ファスナー付き4本入りペンケース」のレポートでした。
 
表と裏で異なるレザーを使用した贅沢なペンケース。
レザーペンケースの面白さである経年変化と、開いたとき(ペンを使うとき)に美しいペンが一望できる最高の仕様。
 
コンパクトに太軸数本を持ち運びたい、という方にとって選択肢に入りうる 必見のペンケースであることに間違いありません。
 
それでは今回はこの辺で。
また次回のペンケース沼でお会いしましょう。

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