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ポスタルコのボールペン「チャンネルポイントペン」を使ってみて率直に感じたこと

2024年9月29日

皆さんこんばんは。
 
今回は一般的な筆記具ブランドと言うよりは、総合ものづくりブランドと言いますか、レザー製品やウェアなど幅広いプロダクトを展開する「POSTALCO(ポスタルコ)」のボールペンをレポートしていきます。
 
ポスタルコというと、以前こちらのサイトでも三菱鉛筆とコラボしたボールペン「LAYERED(レイヤード)」をレビューしたことがあり、ブランド名は少し知っているというくらいでした。
 
最近、Twitterでもポスタルコのステーショナリー(主にペンケース)を使う方が増えてきたこともあり、改めてサイトを覗いてみると面白そうなボールペンも出されているではありませんか。
 
しかし、あまり周りで使っている人を見かけたことがないため、値段はそこそこしますが 思い切って買ってみよう、ということで購入に至ります。
 
それほどデザインと機構が特徴的、と言いましょうか、ある意味ポスタルコらしい製品となっているのです。
 
ということで、今回レポートするのは ポスタルコの「チャンネルポイントペン ドット」。
 

 
なぜ、チャンネル(水路)の名が付いているのかというと、脳内にある散りばめられた思考を、このペン(チャンネルポイントペン)を通して可視化する。
 
ペンは脳から紙にアイデアを流す水路、という意味合いが込められているのだそう。
 
なるほど、ペンは思考をまとめるためのツールであり、そのためのシンプルなデザインであり可視化するためのスイッチ(ノック)なのだと。
まさに筆記具の原点ともなる考え方を体現しているペンだと言えます。
 
これは凝った装飾に走りがちな筆記具高級ブランドにこそ、立ち返ってもらいたい部分でもありますね。
 
それでは他の何にも似ない、ミニマルなボールペン「チャンネルポイントペン」を見ていきましょう。
 

 

 

 

パッケージ開封~ペンのデザインとスペック

早速サイトでポチって届いたわけですが、パッケージはいかにもポスタルコらしい布地でしっかりとした作りのもの。
 

 
同梱されている注意書や説明書も、紙の質感から拘りがみられ必見なのですが、あまり何から何まで当サイトに載せてもネタバレになってしまうので控えます。
 
モスグリーンのポーチ付き。
 

 
正面から見ると、ドットが三つ並んだ大きめのクリップと、グリップ部に並んだ三角のドットでおおよそ筆記具とは気付きにくいような雰囲気を醸し出すデザイン。
 
ノック式のボールペンとしてノック機構を兼ねるクリップと、私の購入動機にもなったグリップ部分については、後ほど詳しく見ていくとして、まずはスペックを確認しておきましょう。
 
全長(携帯時):148mm
全長(筆記時):148mm
重量:28g
胴軸径:10mm
 
素材は、クリップパーツが真鍮製、ボディがアルミ製の総金属製ボールペンとなります。
 
アルミ削り出しのためボディ表面には無数の小傷が見られます。
それが逆に、高級感(チープにならない質感)と道具としての無骨さを演出しているようにも感じます。
 
全長は単色ボールペンとしては長めの148mmということで、なんとなく金属質で共通したプロダクトを感じるペンで比較してみます。
 

 
左から、レイヤード、チャンネルポイントペン、LAMY2000、サクラクラフトラボ001。
 
LAMY2000よりも10mmも長いボディ。
個人的にはあと10mm短くても良かったのではないかと思いますが、それは一般的に日本人の手に馴染むというサイズということであり、ワールドワイドなペンだと考えるとこれくらいの長さに落ち着くのかも知れません。
 

 
ボディの側面には「POSTALCO」のロゴが美しく打ち込まれています。
背面には「JAPAN」の刻印とビス。
 
注意書にも書かれていますが、ビスは取り外さないように。
メーカーがメンテをするときのものだそうです。
 

 
上から見るとボディ半分は四角いということが分かります。
しかし、軸の半ばにかけて丸軸へと変化する仕様。こういったところにもポスタルコのデザインの面白さがあるとみて良いでしょう。
 
次の項では特徴的なノック機構について見ていきます。
 

 

クリップはノック機構でありデザインの要

クリップは軸の頭からU字になる形で出ており、私たちが見慣れたノックボタンがあって、ボディがあって、クリップがある、という固定的なデザインの概念が見直されていることに気付きます。
 

 
クリップ=ノック機構という、パーツ点数が少ないのは逆にペン自体の剛性感を上げることに繋がります。
 
チャンネルポイントペンについても、このような珍しい機構を持つにも関わらず、ボディとクリップの間にガタつきなどなく、要であるクリップ周りは精度高く組まれていることが感じられるのです。
 

 
クリップを押し込むことでペン先を繰り出すノック機構ですが、ノックの仕方は様々。
真上からクリックすると「カチッ」という大きめの音と共にクリップが沈み、ペン先が繰り出されます。
 
一方で、斜めからクリックするとまろやかなノック音でペン先を繰り出すことが可能。
 
ノック音を立てていいとき、良くないとき、それぞれに合わせて親指一つでコントロールできるのが面白い。
 

 
ペン先を戻すときは、クリップを正面から押すことで素早く戻せます。
または、ノック時と全く逆の操作をすることで音を抑えつつの芯戻しも可能。
 

 
クリップ内部にあるポイントを切り替えることで、芯を固定する位置を決めるという機構となっています。
しっかりとポイントが噛むようになっているため、書いているときにペン先が引っ込むようなこともありません。
 
まるで荒木エフマシンの「メカシー」のようなオリジナリティーのあるノック機構。
金属削り出し(メカシーはジュラルミン)という部分でも、同じようなコンセプトを感じるボールペンとなっています。
 
次の項では、もう一つの注目ポイントであるグリップ部について見ていきます。
 

 

特徴的なストロベリーグリップ

さて改めて、私が手にしたのはチャンネルポイントペンの「ドット」。
 

 
現在のラインナップは、こちらの「ドット」と、クリップのデザインが格子模様でグリップ部にサイドラインが刻まれた「グリッド」があります。
 
今までの私であれば、間違いなく「グリッド」を選んだことでしょう。
 
しかし、今回「ドット」を選んだ理由としては、初めて見るグリップ「ストロベリーグリップ」を試してみたいというところが大きいです。
 

 
今まで見たことがない、まるでイチゴのようなグリップのパターン。
 
しかし、実際手に取ってみて率直に感じたことは、思っていたのと少し違う ということ。
 
見る角度によっては深く見えますが、ポスタルコのサイトで見たような三角の深い溝という感じではなく、V字の打ち込みが入っているという感じ。
 

 
大根をすりおろせる程の深い溝と指への引っかかりを期待していたのですが、打ち込みは浅めです。
これによってグリップ感がよくなっているかというと、微妙なところ。
 
最終的にグリップ向上のための機能というよりは、デザインになってしまっているところが惜しいと感じます。
 

 
ボディ全体がアルミ削り出しのままで磨かれていないため、グリップ時にツルツルと滑ることはないのですが、金属軸であることを忘れるような劇的なグリップ感を想像していたために少しギャップが大きかったです。
 
グリップ部の軸径は10mmですが、個人的にはもう少し太くても良かったかなと思います。
 
この結果を踏まえてですが、私がお勧めするチャンネルポイントペンの購入モデルについて。
 
「グリッド」はグリップ部が横溝のためシルバー、ブラック共に良好なグリップ感が得られると考えます。
 
そして、ドットを買うのであればブラックのラインナップを選ぶ方が良いかも知れません。
マットブラックの塗装は少なからずグリップ感の向上に一役買っていそうです。
 
それでも、私のようにストロベリーグリップのデザイン的な魅力を120%感じたい!という方にはシルバーを選ぶべきでしょう。
ブラックはグリップが期待できる反面、ストロベリーグリップの見た目のインパクトを消してしまっている気がするのです。
 
ということで、シルバーを買って後悔はしていないものの、もう少し深くストロベリーグリップのドットを打って欲しかったというのが私の率直な感想となります。
 

 

書き味について~気になった部分まとめ

それでは最後に書き味について。
 
こちらも少し気になる点がありますので、屈託のない感じたことをそのまま書いていこうと思います。
 
まずリフィルについてですが、当ブログでもしばしば登場する三菱uniのジェットストリーム芯「SXR-38」のシリーズが使えます。
 
この仕様は大きくて、ジェットストリームリフィルが苦手な人とまず会ったことが無いというか、万人受けするリフィルをチョイスしている点が素晴らしい。
 

 
デフォルトでジェットストリームの代名詞でもある0.38mmのリフィルが装填されています。
個人的に、軸が重めなチャンネルポイントペンには太めの字幅が合うように思うので、0.5mmに付け替えようかと考えています。
 

 
ペン先も若干の隙間はあるように見えますが、筆記時のガタつきやブレは無く、ジェットストリームの軽やかな書き味を体験できます。
 

 

ここからは気になったことを2点ほど。
 

 
まず、筆記時の重量バランスについてですが、クリップが真鍮製、胴軸がアルミ製ということで、どうしてもクリップがあるリア側に重心を持っていかれるような感覚を覚えます。
 
ポスタルコのサイトに掲載されている利用イメージでも、クリップを内側(手のある方)にして筆記しているシーンがあります。
 
確かに、クリップを外側にして書くよりもこの方が筆記は安定するように感じます。
 
重心はクリップの先(分割線の上)に位置しているため、全長をあと10mm程短くするか、ペン先の内部に真鍮パーツを設置する方が筆記バランスとしては安定するのではないかと思います。
 
気になったことのもう一点は、本体のネジ切り。
 

 
この分離させたところの形状はとても気に入っているのですが、何回か操作をするうちにネジの部分にアルミの粉が出ます。
 
一度接続部を入念に洗浄しましたが、それでもしばらく使うとネジを捻っている最中にザラザラとした感触を覚え、軸を分離させた際にアルミの粉が出る。
ネジが削られていないか、少し心配になります。
 
もし軸の開閉に伴いネジが徐々に削られているとすれば、いずれガタつきが生じてくる可能性もあります。
 
ハンドメイドの良さを感じる一方、このあたりの加工精度は改善の余地があるのでは、と思います。
 

 
とは言っても、そうそう頻繁にリフィルを換えることは無いので気にすることではないのかも知れません。
 
細かな線はお手の物で、手帳に小さめの字を書いたり、イラストの細部についても難なく書き込めます。
言わば、ジェットストリームとの相性はすこぶる良いということ。
 

 
仕事用の手帳(PLOTTER A5)に合わせても様になるデザインで、ビジネス向きのペンでもあります。
 
PLOTTERのシンプルなバインダーのデザインに非常によくマッチしていると思います。
(ポスタルコのスナップパッドにはもっとマッチするのでしょう…、ううむ、欲しくなってきますね…)
 

 

さて、今回はポスタルコの油性ボールペン「チャンネルポイントペン(ドット)」をレポートしました。
 
デザインはこの上なく格好良く、ほぼ誰とも被ることがないペン。
特に「ストロベリーグリップ」にポスタルコのアイデンティティーを感じます。
 
クリップと一体型のノック機構も面白く、考えをまとめる間など、意味もなくクリップを上下させてみたり…と、なかなか中毒性のあるペンではないかと思います。
 
一方で、筆記具として見ると重量バランスなど気になる点が無いわけではありません。
決して書きにくい訳ではありませんが、更に書きやすくなる要素はあったのではと思ってしまいます。
 
これは私が様々な高級ボールペンを使ってきて感じたことですが、やはり重量のバランスというのは重要で、老舗の筆記具ブランドが優れている点は、その絶対的なポイントを抑えてあるからだと改めて感じるのです。
 
個人的な見解を書いてきましたが、最終的に重要なのは自分の手に合うかどうかということ。
 
チャンネルポイントペンについては、多少の改善要望点もデザインがそれを相殺するほどに、持ちたい・使いたいと感じる仕上がりではないかと思います。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂き ありがとうございました。

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