筆記欲をそそるスペーシーなデザインの筆記具!【LAMY2000 プレミエステンレス ペンシル と LAMY226 ボールペン レビュー】
皆さんこんばんは。
今回は、私がどうしても気になっていた筆記具のレポート。
それもペンシルとボールペンの2本立てです。
「気になっている」というのは、「興味がある」に置き換えられます。
握る前から、いやいや これ100%滑るでしょ…というのがありありと分かるデザインと表面処理。
しかし、造っているのは筆記具の海外大手メーカーである「LAMY」。
デザインだけ見ると滑りやすいが、きっと何かあるはず…。
と思うと、興味がふつふつと湧いてきませんか?
それは何かというと、LAMY2000のペンシルとLAMY226ボールペン。
以前もLAMY2000ペンシルは新旧比較で一度やりましたが、今回は通常モデルではなく最上位モデルの「プレミエステンレス」です。
LAMY2000自体がLAMYというメーカーを象徴する、言わばアイコン的な存在なのですが、LAMY2000にも下記のグレードがあります。
・樹脂+ステンレスにヘアライン加工のLAMY2000(通常モデル)
・希少木材+ステンレスのLAMY2000(タクサスとブラックウッド)
・オールステンレス無垢材のLAMY2000(プレミエステンレス)
・その他、LAMY2000セラミコンやアニバーサリー等の限定モデル
LAMYのフラッグシップモデルと言うだけあってバリエーション豊か。
その中でもオールステンレスにヘアライン加工のプレミエステンレスは、デザインが最も未来的で総金属のため重さもかなりのもの。
実際の使用感がどうなのかをみていきます。
そして、2本目は過去のモデルである「LAMY 226」ボールペン。
こちらもアルミ軸にヘアライン加工が施されており、未来的な外観。
西ドイツ製から1980年代のモデルと思われます。
LAMYと言えば、優れたデザインもさることながら、搭載されたギミックも見所のひとつ。
例えば、ダイアログ3のボールペンはペン先を繰り出すことでクリップが軸に収納されたり、コンパクトなLAMYピコはノックをする事で全長が増し、筆記に最適な長さになる等。
ただペン先を出して書くだけではない面白さがあります。
このLAMY226においても、意外と知られていないギミックが見られ、LAMYの機能的な遊び心が覗える一本となっています。
どちらの製品にも言えることが、デザインが素晴らしいということ。
モンブランやその他メーカーにもヘアライン加工の軸はありますが、LAMYほど未来的で洗練されたデザインのものは見当たりません。
さて、前置きが長くなりましたが、まずはLAMY2000プレミエステンレスの使用レポート、そして後半はLAMY226について見ていこうと思います。
LAMY2000プレミエステンレスのデザイン
それではまず、LAMY2000プレミエステンレスのデザインから。
宇宙から届いたような流線型のシルエット。
オールステンレスの軸は細かなヘアライン加工となっており、鈍い輝きは存在感抜群。
航空機や宇宙船のような先進的な建造物を彷彿とさせます。
若干、ペプシマンを思い出してしまうような質感でもありますね。
(コレ分かる人いるんか…)
クリップからノックボタン周りのデザイン。
基本的なシルエットは通常のLAMY2000を踏襲していますが、総金属ということでエッジの効いたラインとなります。
クリップはモデルにより表面処理が異なり、プレミエステンレスは鏡面仕上げ。
通常モデルはペン先と同じヘアライン加工。
タクサスとブラックウッドの2モデルは梨地加工となります。
ボディの質感に合わせて捻りのあるコンビネーションを見せてくれるLAMY2000のクリップ。
プレミエステンレスのクリップは右サイドに「LAMY」の刻印はありません。
ちなみにクリップ根元の分割線はクリップ分解用のネジ切りがある部分だと思われますが、かなり硬くて外すことができませんでした。
(私の気合いが足りないものと思われます)
ノックボタン付近のクリップ対面には「LAMY」ロゴ。
レーザー刻印となっています。
これ、よく見ると「LAMY」の「M」は「IVI」のイタリックで構成されているのでは?ということに気付きます。
実際どうかは分かりませんが…。
ブラックウッドボールペンとのロゴ比較。
ロゴひとつに至っても、ボディカラーとのマッチングが練られていそうな気がします。
流石はデザインのLAMY。
ノックボタンの天面には字幅を表す「7」の数字のレーザー刻印。
これまた美しい表面加工です。
もともとプレミエステンレスのペンシルは海外のみのラインナップらしく、日本向けの発売はなかった模様。
そのため、0.5mm幅のプレミエステンレスは無く、対応芯幅は0.7mmのみとなっています。
個人的に0.5mmのLAMY2000が手に合わなかったため、0.7mmのペンシルばかりが手元にあります。
通常モデル2本とプレミエステンレスで合計3本の0.7mmのLAMY2000。
樹脂製のノックボタンは経年使用により、指で角が削られていきますが、プレミエステンレスは美しいエッジを維持してくれそうです。
ノック時、丁度ボディとノックボタンの形が合わさるようにできています。
このピタッと噛み合うシルエットも、LAMY2000が堪らなく格好良いと感じるポイントではないでしょうか。
ノックボタンの重量は、プレミエステンレスが2g、通常モデルが1g以下となっており、ノックボタンひとつ取っても満足感の高い仕上がり。
精密に削り出されたパーツは道具としての信頼性も高いです。
お馴染み、クリップの裏側を見てみると「GERMANY 1」の刻印。
このGERMANYの後に付く数字は謎で、手元のペンシルとボールペンを見てみると、現行モデルのペンシルとブラックウッド(BP)が「GERMANY 1」。
タクサス(BP)が「GERMANY 2」となっています。
同じLAMY2000木軸モデルのボールペンでも「1」と「2」がある不思議。
ちなみに1980年代の初期型ペンシルは、クリップ裏に刻印は無し。
いったい何を表す数字なのでしょうか?
内部機構の比較と書き味について
続いては、ペンシルにおいてプレミエステンレスと通常モデルの内部機構を比較していきます。
狙いとしては、0.7mmのみのプレミエステンレスの内部機構を分解できれば、通常モデルとの互換性によって0.5mmのプレミエステンレスを造ることもできるのではないか、ということ。
個人的に0.5mmのLAMY2000を使う予定はないのですが、これも検証のため。
早速、分解して並べてみると…。
まあ、薄々気付いてはいましたよ。ボディの分割線の位置が違いますからね。
ということで、パーツ構成の違いから互換性があるかは雲行きが怪しくなってきました。
通常モデルに対して、プレミエステンレスの分割はクリップ寄りです。
しかもネジ切りパーツの構成は全く逆ですので、軸パーツの互換性はありません。
それにしてもプレミエステンレス側、いかにも「回せますよ」と言わんばかりのローレットがついていますね。これはさらなる分解が可能である予感…。
力一杯捻ってもびくともしません。
このローレットは何なのか。
メンテナンスや修理の観点から、おそらく専用の工具等で分解ができるようになっていると思われますが、人間の指の力だけでは無理そうです。
(私の気合いが足りないだけかも知れません)
細いノック機構の部分だけでも外れないかとトライしましたが、回せず引き抜けず。
諦めざるを得ません。
正直、全力で捻ったり引っ張ったりしてどこかが壊れてもいけませんので、ひよったと言っていいでしょう。
さて、肝心の「滑るか」という点についてですが、結論「季節柄にもよる」といったところでしょうか。
冬場の指が乾燥している状態では、正直かなり滑りやすく指に余計な力が入りやすいと感じます。
これは筆記モードも関係しているものと考えています。
ペンシルやボールペンは筆圧を要する筆記モードですので、指先に力が自然と入り、それによって筆記時はペン先へと指が滑っていくことになります。
一方、万年筆やローラーボールはというと、筆圧をそれほど使わない筆記モードのため、ペン先への滑りはペンシルやボールペンより緩和されると考えています。
※プレミエステンレスの万年筆・ローラーボール・油性ボールペンは持っていないため、憶測になります。
▲握る位置についても、ペン先ではなく軸の中寄りを握ると書きやすい印象
また、指が潤っている場合は、良好なグリップ感が得られたことも付け加えておかなければならない要素です。
風呂上がりまたは手を洗った後など、若干指に潤いがある場合は滑りは気にならず、むしろ重みが心地良い筆記感を与えてくれました。
そういったことから、湿度が高まる春夏にかけては活躍してくれそうなペンシルというのが結論です。
ということで、LAMY2000プレミエステンレスのスベらない話としては、
① ペンシルやボールペンにおいては、なるべく余計な力が抜ける胴軸側をグリップポイントにする
② 指が潤っている時に使う(指が乾燥する体質の方はキツいかもしれません…)
※個人的な見解を含む
の2点になるかと思います。
LAMY226ボールペンのデザイン
さて、続いては2本目のヘアライン加工、「LAMY 226」ボールペンを見ていきましょう。
手元にあるボールペン、LAMY2000ブラックウッドと並べてみました。
サイズ感はLAMY2000とほぼ同じですが、重量は17gと見た目以上に軽め。
胴軸径は10mmとなっています。
こう並べるとブラックウッドがかなり太く見えますが、ブラックウッドの軸径には多少の個体差があるようで、この個体は太めのもの。
LAMY226の特徴は、ボディ全体に施されたヘアライン加工とクリップ先のサークル。
外観的に、樹脂部分はノックボタンとクリップ先のみで、胴軸はアルミ製。
1980年代のデザインですが、古めかしさは感じられず、むしろLAMY2000と同じく先進的にも見えます。
ノック音は大きめで、ノック感はパーカーのジョッターに近いものがあります。
マットな質感の胴軸とは対象的にグロッシーなクリップとクリップリング。
横から見た時のクリップ先の形状も面白い。
LAMY226のヘアライン加工は、プレミエステンレスに比べると目が粗いですが、透明感のある輝きを放っています。
キャップと胴軸のつなぎ目には「LAMY 226 W.GERMANY」の刻印。
さすがに金属の加工精度は現代には及ばず、LAMY2000のような継ぎ目がわからないという程ではありません。
その分割線のところを捻ってリフィルの交換を行います。
キャップ側の接合部。
外装はアルミニウム、内軸は樹脂となっています。
胴軸側の接合部。
金属部にさほど厚みを感じませんが、アルミの外装は樹脂の内径に隙間無く設置されているため強度は良さそうです。
リフィルは、現行品と同じ「M16」が使えるところがポイント高し。
ちなみに4C芯をLMAYのボールペンで使うためのリフィルアダプター「LM-16」は使えませんでした。
非常に格好良いデザインのLAMY M16リフィル。
1980年代当時のM16は表面が鏡面仕上げでなく、マットな加工なのも見所。
リフィルのシルエットとも相まって、こちらも宇宙開発をイメージさせるようなデザインです。
ノック部のギミックと書き味について
さて、冒頭でも書いたLAMY226ボールペンのギミックについて書いていこうと思います。
この1980年代の各メーカーのボールペンというのは、とかくペン先を出したままポケットに収納してしまうことを防止するギミックが付いたモデルをよく見かけます。
モンブランであれば、クリップをポケットに挿す際に強制的にペン先を収納させる「ハンマートリガー」や、ノブレスのようにクリップを開く動作と連動してペン先が収納される機構など。
油性のインクであるがゆえ、間違った操作でポケット内を汚してしまわないようにする、という粋な工夫が凝らされています。
LAMY226はどうかというと、強制的にペン先を収納するような機構ではなく、ポケットに挿す際に目印によってペン先が出ていることに気付かせるというもの。
LAMY226にはノックボタン天面に白いドットが設けられているのですが、実はこれ、ノックしてペン先が出ている状態だとノックボタン内に止まるようになっています。
すなわち、
・白ドットがある状態=ペン先が出ていない
・白ドットがない状態(黒)=ペン先が出ている
という目印となり、ノックボタンを上にしてポケットに挿す前に、ノックボタン天面が黒だとペン先が出ている、と気付くことができるわけです。
他のメーカーとはひと味違った、面白いアプローチではないでしょうか。
筆記感はというと、個人的にこちらはプレミエステンレスよりも滑る、と感じます。
アルミ軸にヘアラインというだけでなく、胴軸径が10mmと細軸であることも要因の一つかと考えます。
LAMY2000のグリップ感に比べ、細い分どうしても力を込めてしまいます。
筆圧をかければかけるほど、ペン先へと滑る指。
LAMY226の筆記感をひと言で表すとすれば、
「暴れ馬ですよ、あれは。」
しかし、ペン先の加工は見事なもので、LAMY2000以上の精度があるように見えます。
繰り出されたリフィルとペン先との間の隙間は無し。
こちらもLAMY2000プレミエステンレスと同じく、握る位置や指の潤いによって書きやすさは変わってきます。
扱いは難しいですが、慣れてしまえばギミックも含め面白いLAMY226。
LAMYのデザインがお好きな方なら、きっと愛着が湧く1本となるでしょう。
さて、今回はデザインや書き味が「気になる」筆記具。
ドイツはLAMYの「LAMY2000 プレミエステンレス ペンシル」と「LAMY 226 ボールペン」の2本をレポートしました。
ヘアラインの美しいデザインとシンプルモダンなシルエット、“これぞLAMY”が凝縮された筆記具ではないかと思います。
改めてLAMY2000通常モデルの扱いやすさを知ると共に、先進性と高級感溢れる上位モデルのLAMY2000の所有満足感を味わうことができました。
プレミエステンレスとLAMY226、LAMY好きには是非チェックして頂きたい逸品です。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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