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ファーバーカステル エモーション ピュアブラック ボールペン 【木軸エモーションと比較レビュー】

2024年10月17日

皆さんこんにちは。なぜか増えてしまうボールペン。
 
記念すべき当ブログの第一号記事でいまだにアクセスを頂いている「ファーバーカステル エモーション ペンシル」の記事ですが、同じシリーズで以前から気になっていた漆黒のボールペン、「ファーバーカステル エモーション ピュアブラック」を手に入れたためレポートしていきたいと思います。
 

 
ファーバーカステルのエモーションと言えば、ペンシルは以前記事にしたように人間工学に基づいた設計でコロンとした太めの軸でありながら握りやすく、クラシカルな芯の装填方法と繰り出し方法が魅力の筆記具でした。
 
ピュアブラックというエモーションの上位モデルになることで持ちやすさや所有満足感はどのように変わるのか、ペンシルとのデザインの違いは何なのか、ボールペンの使い勝手はどうなのかを他の筆記具と比較しながらじっくり見ていくとします。
 

 

 

 

エモーションペンシルとピュアブラックボールペンのデザインの違い

まずは通常の木軸エモーションとのデザイン比較です。
 

 
軸径や大まかなシルエットはペンシルもボールペンも同じなのですが、木軸×クロームのエモーションに比べでかなりシックな印象のピュアブラックです。
キャップとクリップとペン先はブラックマットクロームコーティングが施されていて、セミグロスブラックの鈍い輝きを放ちます。
 

 
胴軸を見てみると梨の木の横っ腹にあったファーバーカステルのロゴはピュアブラックには無く、これまたマットなギロシェパターンのみ。ピュアブラックを実際に触るまでは、このギロシェパターンの胴軸はラバー素材だとばかり思っていました。しかし実際は、アルミ素材を陽極酸化させているらしく非常に滑りにくい構造になっています。
 
陽極酸化は電気分解によってアルミニウムの表面に皮膜をつくる表面処理で、特性として高耐食、高耐摩耗、高硬度化などがあります。握った感じの滑りにくさは陽極酸化のたまもの。この表面処理はギロシェパターンとの相性も良さそうです。
 

 
ファーバーカステルのロゴはどこへいったかというと、ペン先に移動していました。
通常のエモーションではドットの装飾がされているペン先ですが、ピュアブラックは目立たぬ小さめの刻印で「FABER-CASTELL」と社名ロゴが入ります。
 
ボールペンとペンシルでペン先の形も若干違っていて、これによりペンシルはボールペンに比べ全長が数ミリ長くなっています。ちなみにペンシルは1.4mmの芯を装填します。
 

 
キャップはどうでしょう。ピュアブラック(ボールペン)にはペンシルにあるような謎の穴が開いていません。いったい何なんでしょうかこの穴は。ボールペンには穴が無いことから、消しゴム格納質が湿気らないようにするための通気口かもしれません。
 
ボールペンもペンシルと同様にキャップを回して芯を繰り出します。キャップは軽やかに回り、回しきるとクッとペン先が小気味よくロックされます。
 
最後に重さですが、ピュアブラックは胴軸の中のボールペンユニット以外は全て金属製ということもあり重量が39g。けっこうズッシリしています。しかし、重心は中心にありペンの両端に向かって細くなる樽型デザインのため、筆記中はスペックほど重さを感じにくくなっています。
 

 

人間工学に基づいた設計は握りやすさだけではなかった

人間工学に基づいた設計は伊達ではありません。実はボールペンを使ってみて初めて気付いたことなのですが、クリップがものすごく使いやすい。
 

 
ペンシルの時は筆箱から出す・筆箱に片付けるを繰り返していたため、ポケットに挿すことがなかったのですが、ピュアブラックは仕事で使うためスーツの胸ポケットあるいは内ポケットに挿すことがほとんどです。
 
クリップにはスプリングが仕込まれているため軽く力を入れるだけで開くことができ、かつクリップのくぼみの部分に人差し指ないし親指がフィットするため、とてもつまみやすいのです。筆記字の握りやすさだけでなく、ペンの至る所に「人間工学に基づいた設計」が生きています。
 

 
しかしこのエモーションシリーズの一番の使いやすい点はそのグリップ感と言えるでしょう。
太い軸径はしっかりとペンを保持するのに適しているのですが、加えてピュアブラックは先にも書いたように陽極酸化皮膜×ギロシェパターンでさらに握りやすさを高めています。
ペン先のボールを転がすために必要な筆圧を逃がすこと無く、しっかりとペン先に伝えることができるようになっているのです。
 
ただ一つこのボールペンを使用するうえで注意することがあるとすれば、この陽極酸化皮膜軸はまるでヤスリのような手触りであるため、他のデリケートな筆記具と一緒にペンケースに放り込むと他の筆記具を傷つけやすいということでしょうか。
そのため私はスーツの内ポケットに単独で挿して使っています。
 

 

モノトーンな他のボールペンとの比較

続いて、モノトーンのプロダクト同士で比較していきましょう。
 

 
左からファーバーカステルギロシェボールペン、同じくエモーションピュアブラックボールペン、ラミー20004色ボールペンです。
 
左のギロシェに比べるとモダンな右2本ですが、ピュアブラックもラミー2000も樽型デザインという共通点があります。
樽型の胴軸は握った時のグリップ感が良好。直線的なラインに比べ樽型は指の腹にフィットする感じが何とも言えません。
 

 
軸のギロシェパターンは伯爵コレクションのギロシェと共有の模様ですが、表面処理の違いから見た目・触り心地はまるで別物。左のギロシェは樹脂に模様を削り込んでいるため光沢があり、触り心地もスベスベ。
エモーションピュアブラックは陽極酸化により見た目はつや消しとなり、全く滑らない最強のグリップ感を演出しています。
 

 

対応するリフィルと筆記感について

エモーション、というよりファーバーカステルの油性ボールペン用リフィルはパーカー規格となっているため芯の交換について選択肢が広いです。この互換性は色々と取り回しがきいて非常に有り難い。
 

 
リフィルの交換はペン先を回して行います。エモーションに最初に装填されているリフィルは太字(B)でぬらぬらとした筆記感。
 

 
同じファーバーカステルの中字(M)と比較してみると文字の濃さの違いがお分かり頂けるかと思います。
 
なんと言いますか、モンブランのマイスターシュテュック161の時もそうでしたが、太くて重量のある軸から太いインクが出てくるのは安心感がありますね。
太い軸は筆記時に余分な力が加わらないため手が疲れないのと、軸の重みが筆圧を助けるため本当に楽に書くことができます。
 
様々なリフィルを試した結果、エモーションはパーカーリフィルとの相性がいいと感じました。柔らかすぎず固すぎない適度な粘度をもつパーカーのインク「クインクフロー」はある程度力を抜いて書けるエモーションにピッタリ。私は仕事でエモーションにパーカークインクフローのブルーを入れて使っています。
 

 

パーカー規格と言えばジェットストリームも使うことができるのですが、私にはインクが軽すぎるため文字が暴れてしまいます。様々なボールペンを使ってきて、書く時に力が入る軽い細軸には少しでも力を抜ける低粘度系のインクを、自重の助けを得て力を抜いて書ける重い太軸には粘度の高いインクを入れるのが、一番疲れずに書き続けられると感じました。
 

 
さて、今回は木軸のエモーションとは全く異なる意匠のエモーションピュアブラックボールペンをレビューしました。
真っ黒のペンというのはなぜこんなにも格好いいのでしょうか。
 
シルエットもコロンとした存在感のある形で、モダンでありながらも操作感・筆記感を犠牲にしていないのがこのボールペンのすごいところ。握りやすさ・書きやすさ・クリップの使い勝手など一度使ってみれば病みつきになるボールペンです。
 
それではまた。
今回もお読みいただきありがとうございました。

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