胸ポケットに栄えるボールペン!【モンブラン シニアム ボールペン】
みなさんこんにちは。日に日に寒くなってきましたね。個人的に寒さは苦手で一日中布団にくるまっていたい派なのですが、ボールペンのトリムや金属軸の筆記具を使うときのヒンヤリ感は嫌いではないです。
さて、今回は前回に続きボールペンのレポートです。
前回も触れたとおり、仕事ではもっぱらジャケットの胸ポケットにマイスターシュテュック164×2本、内ポケットに万年筆1本なのですが、胸ポケットのボールペン1本をパーカー75にしたりオプティマにしたりオタントットにしたり、たまにデルタのヴィア・ヴェネットにしたりと気分によって持ち変えています。
時にボールペンはビジネスマンの顔になる場合もありますので、先方にお貸しした時に使いやすいもの、そして自分が使っていて気持ちが良いものをその都度選びたいものです。
モンブランやパーカーのボールペンは何が良いのかというと、スーツのジャケットの胸ポケットに挿したときに収まりが良いうえに、ポケットから絶妙に覗く天冠やクリップのデザインにより胸周りの見栄えが違ってくるところだと思います。モンブランならホワイトスター、パーカーなら矢羽クリップがジャケットの胸ポケットに合うのです。
その点、天冠が平べったく黒一色のオプティマなどは胸ポケットの中では地味になりがちですが、ポケットから出したときの華やかさや意外性があるわけです。モンブランやパーカーの、胸ポケットに収まっているときから放たれる存在感というものは、自分の背筋を伸ばさせるというか、仕事に対しての緊張感を持たせてくれるアイテムなのです。
さて前置きはこのくらいにして、その胸ポケットに挿すべき珍しいボールペンを入手したためレビューしていきたいと思います。
そのボールペンとは、「モンブラン シニアム」。
何が珍しいかというと今はもう廃盤になっているボールペンというだけなのですが、それ以外にも比較的新しい世代のモンブランボールペンでありながら極細の金属軸、マットブラックのカラー、そしてノック式という伝統モデルとは真逆と言える仕様の珍しいボールペンなのです。それではモンブランのシニアム ボールペンをみていきましょう。
【シニアムのスペックとデザイン】
まずはそのスペックとデザインから見ていきます。
前書きでも触れたようにシニアムはブラスベースの金属軸。かなり細身のボールペンでありながら手に取るとズッシリとした重みを感じます。スペックはペン先を出した状態で全長13.5mm、軸径が8mm、重さが25g。
見た目は非常にシンプル。胴軸やキャップはブラス素材にマットブラックの塗装が施され、クリップのシルバーとの組み合わせは爽やかな印象です。
シニアムのデザインコンセプトは「究極のミニマリズム」ということでデザインを極限まで磨いでいることがうかがえますね。
キャップは胴軸と比べて少し太めとなっていて、その先にはお馴染みのホワイトスター。このシニアムのホワイトスターがなんともお洒落なのです。
触ったときの温度から天冠は樹脂製と判断。一見プリントしてあるように見える小ぶりのホワイトスターですが、拡大するとしっかり別パーツとなっていることが分かります。マットブラックの天冠にグロスブラックのサークル、その中に若干アイボリーなホワイトスター。
マイスターシュテュックとはひと味もふた味も違ったミニマリズムの中にも遊びのあるデザインです。これを拝むだけでも買う価値があるかも知れません。
最後にクリップを見てみると、樽型で大きめのクリップリングにはお馴染みの字体で「MONTBLANC」と3本のライン。「SCENIUM(シニアム)」というモデル名やシリアルナンバーは刻印されていません。
クリップはかなり長細くクリップエンドには半円の止めが付いています。この止めですが、胴軸を傷つけないように胴軸に触れる部分には密かに黒い小さなクッションが付けられています。この部分の耐久性は不明ですが、ポケットに挿すうちにとれてしまわないか心配です。
どうでもいい話ですがペン先の方を持ってクリップが見えないように写すと魔法の杖のように見えなくもないですね。
【シニアムと他の細軸ボールペンとの比較】
細軸で金属軸のボールペンと言えば、私は真っ先にCROSSのクラシックセンチュリーが思い浮かびます。
ということで、クラシックセンチュリーと大きさ・持ちやすさ・筆記感を比較しつつ、同じモンブランの定番マイスターシュテュック164や部分的に他のボールペン等とも比較していきたいと思います。
まずはCROSSのクラシックセンチュリーと比べてみます。長さは4mmほどシニアムが長いですが軸径は同じ8mmで素材も金属製(シニアムは真鍮、こちらのクラシックセンチュリーはスターリングシルバー)です。
重さはシニアムの方が重く、特徴的なキャップの分ややリアヘビー気味。芯の繰り出し機構はシニアムがキャップノック式、クラシックセンチュリーが回転繰り出し式となっています。
筆記感を比べてみるとクラシックセンチュリーの方が素材や表面処理もあってかやや握りやすい感じがします。シニアムは真鍮にマットブラックのラッカー処理のため指が乾燥気味だと滑りやすく、ウエットだと持ちやすくなります。
続いて同じモンブランのボールペンであるマイスターシュテュック164と比較すると、長さは約1mmシニアムが長めですがほぼ同じ。
重量はかなりの差があり、持ち比べると樹脂軸のマイスターシュテュックがものすごく軽く感じます。見比べてみると本当に同じメーカーなのかと思うほどデザインが180°違いますね(ホワイトスター以外は)。
左から、シニアム、マイスターシュテュック#164、146(万年筆)、149(万年筆)
そのホワイトスターを見比べてみると、シニアムのスターはかなり小ぶりだということが分かります。色の違いも一目瞭然。
操作感についてレポートすると、ノック感はかなり小気味よくスプリングの押し心地はなめらか。その感覚は慣れ親しんだパーカー75のノック感に近いです。
ノックのしやすさは大きな天冠が一役買っており、こちらはカヴェコペンシルスペシャルのような安定感のある押し心地。何かいいとこ取りのようなボールペンです。細軸だからといってすべてを細くせず、デザインと操作感をうまく両立させている気がします。
【シニアムのリフィル交換方法】
このシニアムを手に取って一番不思議だったのがリフィルの交換方法です。
通常、モンブランのボールペンのリフィル交換はキャップを時計回りにひねり外して中のリフィルを取り出すのですが、シニアムは短いキャップ部分をどちらの方向にいくら回してもクルクルと回るだけでキャップを外すことができません。
キャップを上に引っこ抜こうかとも思いましたが、少し力を入れただけでは外れそうもないですし、思い切りやって壊れては元も子もないと思い断念しました。ネットに情報も無く、小一時間ほどキャップの外し方で迷った結果、ここは恥を凌いでモンブランのサポートセンターに聞いてみることにしました。
問い合わせして事情を説明すると、廃盤品であるにもかかわらず確認して折り電していただけることに。モンブランサポートセンターの印象ですが、当たり前かもしれませんがすごく丁寧で、話した内容について確認を取りながら相談に乗っていただけたので安心して待つことができました。
しばらくして折り返しの電話があり、回答を伺うと…
キャップを上に力強く引き抜いてください、とのこと(!!)。電話で操作を聞きながら恐る恐る力を込めて上に引き抜くと…、
抜けました!
ノック式ボールペンはパーカー75で慣れていたのでノック式でもキャップを回して外すとばかり思い込んでいましたが、実際は「CROSSのように上に引き抜く」が正解でした!
キャップを引き抜くと中からブラス素材のノックユニットが顔を覗かせます。ノックユニットにも「MONTBLANC-GERMANY」の刻印がありパーツが精密に組まれていることが分かります。
さらにこのブラスのノックユニットを時計回りに回転させて外すとリフィルを取り出すことができます。この軸の太さにこのリフィル。胴軸内に余分なスペースは無くキッチリとリフィルが収まっています。この精密感…たまりませんな。
モンブランボールペンのリフィル交換にしてはこれはなかなか斬新でした。キャップを引き抜き、ユニットを外し、リフィルを入れ替える。言ってみればマイスターシュテュッククラシックのメカニカルペンシルのような操作となります。
【まとめ】
今回はすでに廃盤となってしまったモンブランのシニアム ボールペンをレビューしました。
クラシカルなモンブランのボールペンラインナップとはまた違った、シンプルで近代的な姿と、個人的に驚いたリフィルの交換方法を含め一風変わったモンブラン ボールペンに仕上がっていました。細軸のボールペンですので太軸好きな私的にはあまり頻繁に出番のあるものでもないですが、胸ポケットにそこはかとなく挿しつつ使っていきたいと思います。
シニアムのラインナップですが、ボールペン・ローラーボール・ファインライナーの3種類があったようです。いずれも廃盤となっていますので、中古市場やデッドストックを見かけたらコレクションに加えるのも良いかもしれません。
それでは今回はこの辺で。
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