ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
たまーに気になったガジェットのレポートも。
物欲のままに手に入れたアイテムをレビューしたりしなかったり。

実はペリカン M215がM400を超えているかも知れない、という話 【ペリカン トラディショナル M215 ブルーラッカー 万年筆 レビュー】

2021年6月13日

皆さんこんにちは。

 

さて、以前からペリカンの万年筆に熱心になっているのですが、その理由は「吸入式」「ペン先交換が簡単」ということに他なりません。

特にコンパクトなスーベレーンM400やエントリーモデルのクラシックM200あたりがコンパクトで使いやすく、非常に良いなと思っているのです。

 

やはり万年筆の醍醐味はインク瓶からのインクを吸入するという一手間。

そして、敷居が高いはずのペン先交換がユーザー自身で行える。

 

それらが手軽に行えるペリカンの万年筆があるというのは、これから万年筆を使ってみようかというビギナーの手助けにもなり、結果として万年筆界隈の賑わいにも一役買っていると言って良いでしょう。

 

そんなこれから万年筆を持ちたいという方や、すでにスーベレーンM400等を常用しているユーザーにもお勧めなのがペリカンクラシックM200シリーズ。

 

M200シリーズというのは、言ってみればペリカンの入門モデルなのですが、その分価格がリーズナブルで買いやすいうえコンパクトなので老若男女を問わず使いやすい。

軸も可愛くて集めやすい。

 

さらに注目なのはエントリーモデルと言えど、フラッグシップモデルのスーベレーンM400とペン先以外は同等の機能を備えているところ。

 

私も実際、後輩にペリカンM205をプレゼントしたことがありますが、万年筆のいろはを体感することができ非常に喜ばれた覚えがあります。

 

ということで、ペリカンM200シリーズはこれから万年筆始めよう層にはうってつけのモデルなのです。

 

 

今回記事にするのは、そのペリカンM200シリーズの中でも異端()なモデル。

「ペリカン トラディショナル M215 ブルーラッカー」です。

 

 

 

もともとトラディショナルはクラシックの前身モデルで、トラディショナルからクラシックへと名前が変わったことで軸に使われていたマーブルレジンの質が上がったり等の変更点がありました。

 

今回取り上げるトラディショナルM215は「ブルーラッカー」ということで、購入前は頭の中に「?」が浮かんでいたことを覚えています。

 

ペリカンM200やスーベレーンM400は樹脂軸なはずなのにラッカー塗装?

ラッカー塗装は通常、金属軸に対して行われる表面処理のはず…。

 

 

疑心暗鬼を生じながらポチリ。

 

そして手に入れてみてなるほど、と。

 

M215の仕様が明らかになり、また、M215ならではのメリットやお勧めのポイントが見えてきましたので書き記していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ペリカンM215のブルーラッカーの正体とは】

さて、早速核心に迫るのですが「ブルーラッカー」の正体。

 

ペリカンM215の胴軸素材は金属でした。

金属軸にブルーラッカー塗装。

 

 

ツヤのある少し厚めの、紺色に近いブルーの塗装が美しい。

縦溝にはシルバーの塗装が施されていて、都会的でスタイリッシュなイメージの万年筆となっています。

 

しかしこれはどういうことでしょう。

金属軸で吸入式の万年筆というのはあまり見かけたことがありません。

 

インク窓はどうなっているのか?

 

 

 

見てみるとちゃんとありました…!

(画像は分かりやすく水を吸入してあります)

 

 

胴軸の構造としては樹脂軸の外装に真鍮が使われているようです。

そのためインク窓も用意できるわけですね。

 

ただ、ブラックスモークのインク窓のため視認性が良くないのと、キャップの着け外しを繰り返すことでなぜかインク窓の部分に傷が付くこと。(インク窓のキズは個体差かも知れませんが)

 

 

これは少し残念な部分です。

※キズ対策としてはサンエーパールがお勧め!

 

おそらく無色透明のインク窓にしなかった理由は、全体的なデザインを踏まえてのことだと考えます。

 

そのデザインの詳細とM400M200との違いについては次項で検証しましょう。

 

 

 

 

M200M400とのデザインや仕様の違い】

前項の金属製胴軸をはじめクラシックM200とスーベレーンM400との違いをまとめていきたいと思います。

 

まずは胴軸の違いから。

 

 

比較するのはこちらの4本のペリカン万年筆。

左から、M400(青縞)M215M205M400(緑縞)です。

 

 

軸の素材について、M400M205は樹脂製でM215が真鍮。

 

 

 

M400は職人が手作業で透明な樹脂とカラーマーブルの樹脂を重ねて作るという、とても手の込んだ樹脂軸。

ペリカンのフラッグシップモデルというのも頷けます。

 

M205はシンプルな樹脂軸。写真のものはイエローデモンストレーターのためクリアイエロー一色ですが、クラシックM200はグリーンやブルーの美しいマーブル軸をよく見かけます。

 

そしてM215の真鍮にラッカー塗装。

M215のラインナップとしては、ブルーラッカーの他にダイヤライン、レクタングル、ブラック(リング)があります。

 

一見ファーバーカステルのアネロを彷彿とさせるブラック(リング)にしようか迷いましたが、黒を基調とするM215の中で唯一紺色にシルバーのラインという珍しさに魅力を感じてブルーカッラーに。

 

 

続いて、地味なところですがM215M400M200と明らかに違う点。

 

 

それはキャップ上部にある天冠の金属リングのカラー。

 

通常、ペリカンM○○○シリーズは、モデル名の末尾が0(例えばM400)の場合ゴールドトリム、5(例えばM405)の場合シルバートリムという仕様で、天冠の金属リングのカラーもそれに合わせたカラーとなっています。

 

しかしながらM215とM200の一部のモデルのみ、この金属リングのカラーがブラックなのです。

 

 

M215を俯瞰して見た時、M200M400に比べデザインがまとまっているように思えます。

その要因として、尻軸やキャップリングに見られるシングルラインのシルバートリムといった点もありますが、この「天冠のブラック」の役割が大きいと感じるのです。

 

シルバーでもゴールドでもなくブラック。

筆記具においても、やはりブラックには引き締めるという視覚効果がありそうです。

 

 

続いてはペン先について。

 

M200シリーズはエントリーモデルの位置づけですのでペン先の素材はスチール。

これはM215も同様で、軸の違いはあるもののM200と全く同じペン先が採用されています。

 

 

手元にあるM215に装備されていたペン先はB(太字)

シンプルなニブはペリカンのシンボルと字幅表記のみという潔い仕様。

 

 

横から見ると丸々としたペンポイントが確認できます。

 

ペリカンのスチールペン先の書き味は嫌いではないのですが、M400とも首軸・ペン先ユニットに互換性があるということで、最後の項ではペン先を入れ替えて楽しんでいきたいと思います。

 

 

 

 

M215が金属軸であることのメリット】

なぜペリカンM215は金属軸なのでしょう。

 

「答えはペリカンのみぞ知る」といったところですが、自分なりの考えをまとめていきたいと思います。

 

 

M215を使っていて一番感じることが、軸の重みがしっくりくるということ。

これは同じサイズの上位モデルであるM400よりも優れていると感じるところです。

 

それもそのはずM400の重量は15g程度となっていて、他メーカーの同クラス(値段等)の万年筆がだいたい20g前後なのに対して少し軽いです。

 

重量のスペックを比べてみると、

 

トラディショナルM21520

スーベレーンM40015

 

となっています。

 

言ってみれば、我々の脳内の(と言っても筆記具にハマっている人だけですが…)万年筆に対する重量の感覚と一致するのがM215

 

個人的にも最初にM400を持った時に、予想を超えて軽すぎると感じた方ですのでM215の重みがちょうど良いと感じるのかも知れません。

 

 

また、このM215のサイズ感で20gというのは、実際に握った時の重量バランスがとても優れていると感じるのです。

 

数年連続で「趣味の文具箱のペン・オブ・ザ・イヤー」に輝くペリカンスーベレーンM800

M215からはそのM800の重量バランスをそのまま小さくしたような印象を受けます。

 

▲ペリカン スーベレーンM800

 

M800は胴軸内部の金属製ピストン吸入機構によりその絶妙な重量バランスが保たれていますが、M215は胴軸の外装(?)によって素晴らしい重量バランスを実現しているのです。

 

 ▲M800(左)とM215(右)

 

また、同じデザインで素材が樹脂だった場合はどうだったか、というのを考えてみると…、ブラック一色やブルー一色のレジンにシルバーのラインが入った胴軸…。

重量も15g程度になっていたことでしょう。

 

軽く想像してみるだけでもチープに思えて仕方ありません。

 

 

ペリカンの万年筆に使われるレジンのイメージは高級感のあるストライプか美しく輝くマーブルレジン、または重厚感のあるブラックかです。(カジュアルラインのM200は別として)

 

と考えると、このデザインとカラーで金属素材というのはまさにベストなマッチングではないかと思うわけです。そういえばトレドの胴軸にも金属(シルバー925)が使われていましたね!

 

金属軸は高級感と重量確保には打って付けの素材なのです。

 

 

 

 

M400の金ペン先と交換してカスタムM215として楽しむ】

スチールペン先も万年筆のトリムの色と合っていて捨てがたいのですが、やはりここは金ペン化しておきたいところ。

 

 

早速、お馴染みのペン先交換を施しました。

※やり方は前々回の記事をご参考に…。と言っても少し気を遣いながらペン先を回してユニットごと交換するだけであります。

 

手馴染みの良いラッカー軸に程良い重さ、そして書き味に定評のあるペリカンの14金ペン先。

 

こうした独自のカスタムがしやすいのが、冒頭でも書いたペリカン万年筆の醍醐味!

 

 

ちなみにM400を使う場合、軸の軽さからキャップを尻軸にポストして使うのですが、M215の場合はキャップをポストせずともなかなか良い塩梅の重量バランスと書きやすさです。

 

 

 

もちろんキャップをポストしても持ちやすいのがペリカンの万年筆ですが。

 

 

 

さて、今回は「ペリカン トラディショナル M215 ブルーラッカー」をレポートしました。

リーズナブルな価格で手が出しやすいM200派生の吸入式万年筆でありながら、軸のバランスはM400を上回るほど。

さらにM400とのペン先交換も楽しめる、一粒で何度もおいしい万年筆と言えます。

 

M400のサイズ感やM800の重量バランスが好きな方にもマッチする万年筆ではないでしょうか。

廃番品ではありますが、どこかの文房具店で出逢った際は、一度その素晴らしい軸の重量バランスを試されることを強くお勧めします。

 

 

それでは今回はこの辺で。

最期までお読み頂きありがとうございました。

スポンサーリンク