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書くことへのモチベを爆上げするモンブランの銀軸ボールペン【モンブラン マイスターシュテュック ソリテール レビュー】

2025年2月13日

皆さんこんばんは。
今回は2025年になって初のモンブランの記事です。
 
毎年は新年筆か忘年筆のどちらかに必ずモンブランのペンをレポートしていましたが、今年(去年?)は大枚はたいてオマスの万年筆だったため、モンブランネタとしては随分と遅くなってしまいました。
 
しかも今回のモンブランのボールペンは、2021年4月に同じモデルのメカニカルペンシルをレビューしていて、デザインが好みにハマりすぎて どうしてもビジネス用途(ボールペン)で使いたかったモデルなのです。
 
やはり仕事上でメカニカルペンシルを使う機会が少なく、いくらお気に入りのデザインだからといって強引に仕事に持ち出すことはできないため、私としては待ちに待って入手できたボールペンということになります。
 
そのボールペンとは、モンブランの「マイスターシュテュックソリテール シルバーファイバーギョーシェ」。
 

 
このボールペンこそ、私にとって「マイスターシュテュックソリテール」のアガリ(のうち)の一本。
 
銀軸のマイスターシュテュック(#164、ミッドサイズ、#161ベース)は私が把握しているだけで5種類。
※軸の大半がシルバー925で構成されているモデル
 
・スターリングシルバー(ストライプ):#164サイズ
・スターリングシルバー(バーレイ):#164サイズ
・シルバーファイバーギョーシェ:#164サイズ
・シルバーバーリー:#161サイズ
・マルトレ:ミッドサイズ
 
もしかしたらまだ他にもあるのかも知れませんが、いつかは手にしたいモンブラン マイスターシュテュックの銀軸5本と言えるでしょう。
 
2024年末には憧れのマルトレのボールペンを入手する機会があったのですが、予想以上にキラキラしたデザインだったため 自分がビジネス用に使っているイメージができず見送り。
その時の予算の一部でシルバーファーバーギョーシェを入手する形となりました。
 
上に列記した銀軸マイスターシュテュックはいずれも過去のモデルとなっていて、手に入れるにはオークションやフリマを巡回するしかありません。
 
たまに中古市場に出てくる、マイスターシュテュックのシルバーファイバーギョーシェ。
じっくりと見ていきましょう。
 

 

 

 

MSTシルバーファイバーギョーシェのデザインと素材


 
シルバーファイバーギョーシェは今から約20年前の2005年に発売されたモデル。
同時期の発売モデルとして、ゴールド&ブラック(写真右)のソリテールとソリテールドゥエがあります。
また、作家シリーズでは「ミゲル・デ・セルバンテス」が発売された年。
ドネーションペンでは、私も大好きなモデル「ゲオルグ・ショルティ」も発売されています。
 

 
2005年のマイスターシュテュック ソリテールはストライプがトレンドだったのでしょうか。
もう20年前のモデルなのですが、まったく古さを感じさせないデザインではないかと思います。
 

 
シルバーファイバーギョーシェのキャップを拡大。
シルバー部分は刻印にもある通り、シルバー925(スターリングシルバー)が惜しみなく使われ、ギョーシェ模様の部分は、ファイバーグラスを用いてブラックエナメルで仕上げた 実に手の込んだ仕様。
 
上品であると同時にただの銀素材一辺倒ではない洗練されたデザイン。
「Ag 925」の刻印の位置も絶妙で、自分が握って書くときも視界に入るようになっているところがまた堪りません。
 

 
以前、マイスターシュテュックソリテールのレビューをした際、ペン先部分のデザインは通常のマイスターシュテュックのような口金があった方がよいのでは、と書いたことがあります。
 
しかし今となっては…と言うより、デザインがシルバーファイバーギョーシェだからなのかも知れませんが、この宇宙船のような流線型デザインからくる一体感が 良い意味でクラシックなイメージのあるマイスターシュテュック離れをしており、何ともいえず美しい。
 

 
硫化したメカニカルペンシルと一緒に並べてみました。
メカニカルペンシルの方はしばらくロールペンケースの中で眠っていたため硫化が進み、ガンメタリックっぽいカラーに。
 
こうした経年変化も銀軸ならではの楽しみで、風合いの変化があっても汚く見えないというころも良い部分ではないでしょうか。
硫化したボディのまま使うも良し、再びピカピカに磨いて気分転換するもまた良し。
 
マイスターシュテュックのデザインを銀軸素材で愉しめるという贅沢。たまりませんな。
 

 
マイスターシュテュックソリテールのクラシックサイズのボールペンとメカニカルペンシルは、胴軸が同じパーツとなっており互換性有り。
ただ、ボールペンの胴軸にはペン先側にスプリングが仕込まれ、メカニカルペンシル用の胴軸にはスプリングがない代わりにペンシルユニットが入っているという具合いです。
 
リフィルはお馴染みモンブランの油性ボールペンリフィル。
これが油性ながら非常に滑らかに書け、一般的な低粘度インクのリフィルに比べてインクの持ちもよい。
私がビジネスでモンブランのボールペンを使う理由の一つでもあります。
 

▲左がボールペン、右がメカニカルペンシル
 
シルバーファイバーギョーシェのボールペンとペンシルを並べてみて、面白いことに気がつきました。
キャップリングの「MONTBLANC – MEISTERSTÜCK -」のフォント内の斜線の幅が違っています。
ボールペンは斜線の間隔が広く、ペンシルは狭いのがお分かり頂けるかと。
 
同じ年代のボールペンを見ても、ボールペンとメカニカルペンシルでの仕様の違いとは言い難く、もしかして職人が手作業で彫っている…?と思えなくもないです。
真意はわかりませんが、同じキャップパーツを使うマイスターシュテュックにおいて、金型による大量生産品ではないことが分かる違いではないでしょうか。
 

 

特別生産品のシリアルナンバーから製造年代を推測する


 
クリップリングの刻印は同じモデルということもあって、シリアルナンバー以外は同じ。
クリップに向かって左側面に「METAL」、クリップ背面に「GERMANY」、クリップリング右側面に「シリアルナンバー(9桁の英数字)」。
 
モンブランのペンには付きものの、この「シリアルナンバー」について少し調べてみましたので考察を交えて記しておきます。
 
基本的にモンブランのシリアルナンバーの構成や解読については、モンブラン自体からも公表されておらず謎に包まれています。
まず、モンブラン特別生産品のシリアルナンバーについて、現在私の手元にあるペンを片っ端から確認して発売年ごとに並べてみると、ある規則性に気付くことができます。
※下記一覧のMST=マイスターシュテュックの意。
 
【1990年代発売モデル】※はっきりとした発売年は不明
MSTラムセス2世BP:EI101260(1990年代)
MSTシルバー925ストライプBP:VG101832(1990年代)
 
【2000年代発売モデル】
MSTステンレススチールドゥエBP:BR2090120(2000年頃?)
MSTシルバーファイバーMP:BR1102893(2005年)
MSTシルバーファイバーBP:BL1639308(2005年)
MSTゴールド&ブラックBP:BL1883998(2005年)
MSTシグナムクラシックRB:MR2580187(2005年)
MSTプラチナファセットBP:KF2290985(2007年)
MSTシグネチャーフォーグッド2009BP:ED2605859(2009年)
ボエムサファイアFP:KZ1002084
ボエムシトリンBP:IR3121086
※ボエムシリーズは具体的な発売年を特定できず
 
【2010年代発売モデル】
MSTトリビュート ミッドBP:MBDD48WC7(2012年※クラシックサイズは2011年)
ジョン・F・ケネディBP:MBNF4BLB1(2014年)
MSTセラミックブラックプリズマBP:YR1960605(2015年5月)
スターウォーカーアーバンスピードRB:MBGF4JGZ7(2015年6月)
MSTジオメトリックBP:MBKG3JTD4(2015年9月)
ヘリテイジ ルージュ&ノワールBP:MBGJ6CPJ3(2016年)
ヘリテイジ ルージュ&ノワールRB:MBPG3GWH3(2016年)
MSTウルトラブラックBP:MBLG51LD8(2016年)
 
【2020年代発売モデル】
スターウォーカーブループラネットBP:MBCL42QK4(2020年)
ヘリテイジ エジプトマニアBP:MAJL921F0(2020年9月)
 
この一覧からも分かるとおり、約10年周期(厳密に10年かは不明)でシリアルナンバーの法則性が変わっています。
 
シリアルナンバーの傾向として、1990年代に発売された2モデルは桁数が8桁で、最初の2桁がアルファベット、続く6桁が数字。
2000年代になると、同じく上2桁はアルファベットですが、数字の桁数が1つ増えて、全体で9桁に。
ボエムシリーズについては、発売開始が2000年で 廃番となった年が不明のためいつ発売されたモデルなのか分かりませでしたが、おそらくシリアルナンバーの構成から2000年~2009年の間に発売されたものだということが推測できます。
 
そして、2010年以降に発売されたモデルは いずれも9桁ですが、アルファベットの割合が一気に増え、5桁目と9桁目が必ず数字という構成。(たまに6桁目も数字のナンバーや、2000年と同じ並びのモデルもあり)
最初の2桁は「MB」が圧倒的に多く、一部例外がある状態。
2020年以降に発売されたモデルも2010年と同じ構成に見えますが、数字が1桁増えたようにも思えます。
 
モンブランがリシュモングループの傘下に入った後も、筆記具はドイツのハンブルグで製造され続けています。
筆記モード(FP/MP/BP)でも構成に違いが見られず、この数字の並びが製造年月日を意味するのか、製造通し番号を意味するのか…。
アルファベットと数字の羅列にどのような意味があるのかは、それぞれの数字の並びや配置からは掴むことができません。
まさにモンブランのみぞ知る「暗号」となっているのです。
 
この英数字の羅列がシリアルナンバーである以上は、やはり製造時期やモデルを特定できる何かであることは間違いありませんが、通常の筆記具メーカーにあるシリアルナンバーとは異なった、一般には解読不能な独自の暗号となっているところが興味深いです。
 
皆さんのお手元のモンブランペンのシリアルナンバーはいかがでしょうか?
 

 

銀軸ボールペンの魅力

社会人であれば、毎日何かしらの理由でボールペンを使うことはあるかと思います。
いつも使うボールペンだからこそ、握った際に手応えを感じたい。高級筆記具は単なる娯楽道具ではありません。
書くモチベーションを上げることは自分の仕事のパフォーマンスにも繋がると考えています。
 
銀軸ボールペンの魅力とは一体何なのか、を再度確認していきます。
 

 
金属ながらに温かみのある色合いと触り心地。
ひとえにシルバーカラーの筆記具といえど、厳密には色温度の違いがあり、クロームプレートであれば青っぽく、ロジウムプレートは白く、そして、スターリングシルバー(シルバー925)は少し黄みがかった色合いをしています。
 
そして、スターリングシルバーやシルバープレート(シルバーコーティング)はその性質上、経年変化により表面変化と 若干のグリップ感の向上をもたらします。
 

 
硫化による黒ずみは、ボディに施されている柄や刻印を際立たせるという一面もあり、それがまたペン全体の渋さにも繋がる重要な変化。
特に溝の硫化はデザインにメリハリを付け、全体的な黒化は磨くなど将来的なメンテナンスの楽しさを提供してくれます。
 

 
そして、個人的に銀軸が使いやすい理由としてその重量感が上げられ、ボールペンであれば細軸~中太軸でだいたい30g前後の重量となっているところ。
 
粘度の高い油性ボールペンにおいて、軸が極端に軽いと力みがちになります。
軸の重さの助けも得て ベストな力加減で快適に筆記できる、これこそが銀軸ボールペンの一番の魅力ではないかと考えています。
 
ほとんどの高級筆記具メーカーには、旧モデルから現行モデルまでの間で 必ずと言っていいほど銀軸モデルがラインナップされているため、少し重めなボールペンがお好きな方は、ぜひ銀軸のボールペンを試して頂きたい。
 

 

MST銀軸ボールペンも重量バランス調整

さて、重量が魅力の銀軸マイスターシュテュックにおいても、筆記時の重量バランスは重要。
ペン先側に重さがあればあるほど力を抜いた筆記が可能となりますが、マイスターシュテュックはデザイン的にも構造的にも、リアに重量が偏りがちです。
 
特に、ソリテールシリーズはノーマルと違って口金が真鍮別パーツではなく一体型のため、どうしても特殊素材を用いたキャップ側の方が重くなります。
 
マイスターシュテュックの銀軸モデルだと、スペック上はマルトレが一番バランスが良いのではと思います。
 

 
また、マイスターシュテュッククラシックモデルのソリテールは、胴軸内部が樹脂パーツのため胴軸単体でみても重量がありません。
ということで、シルバーファイバーギョーシェの重量を計ると、内訳は、
 
キャップ:22g
胴軸:8g
リフィル:4g
合計:34g
 
となっており、大半がキャップの重量。
(キャップだけで通常モデルのマイスターシュテュックとほぼ同じ重量)
 

 
そこで活躍するのが、2g増しができる真鍮パイプ。
長さ30mm、外径7.5mm、厚み1mm未満のパイプがピタリと胴軸内に嵌まります。
これで胴軸側の重量は10gになりました。
 
2g足したところで重量の数字はキャップに大きく負けていますが、2gを侮るなかれ 筆記感は大幅に変わるのです。
 

 
毎日使う道具だから、自分が使いやすいようにカスタマイズする。小さな改造で大きな効果が得られる。
これぞ指先で扱うコンパクトな道具である「筆記具」を使う上で、大切な心得ではないかと考えます。
 

 
最後に、皆さんはボールペンを携行する際どのポケットに挿していますか。
ジャケットの胸ポケット、はたまた内ポケット、ペンシースに入れてポケットに入れている方もいらっしゃるかも知れません。
 

 
冬場において、個人的にお勧めするのがジャケットの内ポケット。
油性ボールペンは特に、ペン自体が冷えていると書き始めにかすれるなどインクの出が悪かったりします。
 
内ポケットにボールペンを差すことにより体温でペン自体が温められるため、サッと取り出して書き始めた際かすれることなく、最初から非常に滑らかな筆記が可能となります。
 
クリップや天冠が外に露出していないため傷付きも防止できますし、一石二鳥。
冬場は外側ポケットからのチラ見せを我慢して、ぜひ内ポケットをお試し頂ければと。
 

 
さて、今回は私が2021年にペンシルを使ったときから絶対に買おうと決意していた、マイスターシュテュックのソリテールモデル「シルバーファイバーギョーシェ」のボールペンをレポートしました。
 
マイスターシュテュックのバリエーションは山ほどあれど、シルバー925素材のマイスターシュテュックは片手で数える程度。その数少ないモデルに秘められた魅力と、手に取った時の何ともいえない気持ちの高揚。
 
モンブランに限らずですが、銀軸の筆記具は良いモノだ!
 
金属軸の冷たさに鈍い輝き、確かな重み。冬に使うシルバー925の道具は代えようのない魅力に溢れています。
銀軸の筆記具を持っている方はもちろん、まだ持っていない方はぜひ検討して、冬のペンケースに加えてみてはいかがでしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂き ありがとうございました。

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