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ガチニブだけではないウォーターマンの万年筆【ル・マン 200 ラプソディ リザード レビュー】

皆さんこんばんは。
今回は少し前に入手したユーズド万年筆のレポートです。
 
最近また万年筆への興味が復活してきており、引き出しから過去に使っていたモデルやペンケースに長期保管している万年筆などにインクを入れ愉しんでいるこの頃。
 
過去に持っていたけど既に手放してしまった万年筆の中に、ウォーターマンの万年筆があります。
ウォーターマンは以前にカレンとフィリアスを使っていましたが、ガチニブ系の万年筆が増えてきたタイミングで手放していました。
 
カレンは18金ペン先を搭載し、金属軸にラッカー塗装のズシリと重い万年筆。
フィリアスは真逆で、樹脂製の軽い軸にバイカラーのスチールペン先を搭載したモデル。
どちらも良かったのですが、18金のガチニブの場合アウロラの万年筆の出番が増え、スチールペン先の万年筆はカヴェコ スポーツの出番が増えてきたことから引退となりました。
 
それ以来、ウォーターマンの万年筆はガチニブ寄りであるというイメージが残りつつ、以降はウォーターマンの万年筆を進んで買うことがなかった、という形です。
 
そんな中、軸に一目惚れして買ったローラーボールの「ル・マン200 ナイト&デイ」。
それが久しぶりのウォーターマン筆記具となるわけですが、ナイト&デイの作りが思った以上に良く、ウォーターマンらしい直線的なシルエットと、クラシックなデザインがマッチしたル・マンにすっかり虜になってしまっていました。
 
いつかはル・マンの万年筆も…と考えてはいましたが、すでに廃番となっているモデルのため機会に恵まれず。それから数年経って、やっとの入手となります。
 

 
今回見ていくモデルが、ウォーターマンの「ル・マン200 ラプソディ リザード ブルー」。
そう、リザード柄の筆記具の魅力にすっかり取り憑かれている私です。
これぞ使いたかったウォーターマンの万年筆!
 
ということで、ル・マン200 ラプソディ リザードをレポートしていきたいと思います。
 

 


 
全体のシルエットとデザインから。
 
ウォーターマンのル・マンシリーズは1983年に発売が開始しています。
創業100年の節目にマスターピースとして「ル・マン100」が発売され、その後、1985年に一回りコンパクトな「ル・マン200」の生産・発売がスタート。
以降、記念モデルや過去の復刻デザインでしばしばル・マンが特別生産品として発売されています。
(なぜレギュラーモデルとして販売されないのかは謎…)
 
ル・マン200 ラプソディリザードは1990年代のモデルで、キャップと胴軸にトカゲ革を模したデザインが施されておりダンディズムを感じます。
カラーはリザードブルーの他に、ホワイトに近いグレーの「ラプソディ キャビア」もあります。
 

▲左から、チャールストン(BP)、ル・マン200ラプソディリザード(FP)、ル・マン200ナイト&デイ(RB)
 
手元にあるウォーターマンの筆記具は現在この3本。
チャールストンのボールペンはその独特なデザインから、なかなか手放せずにいます。
 
ル・マン200は2本目となりますが、今回は万年筆。
ナイト&デイの時も思いましたが、相変わらずコンパクトで取り回しやすい筆記具です。
 
サイズは、
全長(携帯時):145mm
全長(筆記時):128mm
重量:30g
軸径:胴軸が11mm、首軸が10mm
 
私が持っている万年筆の中では細めの軸ですが、程良い重さがあり好みにピッタリ。
いやー、こうなると一回り大きな軸のル・マン100も気になるところ。
 
続いては、軸のデザインを詳しく見ていきます。
 

 


 
ウォーターマンといえばこの中抜きクリップ。カレンやフィリアスも何かしらクリップには中抜きがありました。
もはやこのクリップは、ル・マンのような伝統的なモデルのアイコン的存在ではないでしょうか。
クリップはバネ式ではなく、クラシカルなクリップリングとの一体型。
クリップの先には細かな刻印があります。
 

 
天冠にはWATERMANの「W」のマーク。
各種記念モデルや特別生産品の天冠には、それぞれに応じたロゴやマークが付いているようです。
 
ル・マン200の万年筆については、キャップの内側からマイナスネジで簡単に天冠を取り外すことができるようになっており、メンテナンスは比較的容易。
キャップ・天冠・インナーキャップ・クリップというシンプルな4つのパーツに分解することができます。
 

 
尻軸はサイズの違う2つのリングがあり、少し長めの黒樹脂パーツという構成。
これはル・マンシリーズに共通しており、後でも書きますがキャップをポストし保持しやすい構造となっているのです。
 
この長い尻軸が何ともエレガントで、細身のベスト型万年筆として ひとつの完成されたデザインのようにも感じます。
 

 
インクの吸入機構はカートリッジ&コンバーター両用式。私はもちろんコンバーター派ですので、純正のコンバーターをセット。
首軸のネジ切りとの接続は硬め。首軸には気密性を高めるパッキンが設置されています。
 

 
ナイト&デイのローラーボールと。
この2本、どちらもル・マン200かつ万年筆とローラーボールのため、首軸入れ替えで使えないかと思って試してみましたが、残念ながら互換性はなし。
 
首軸と胴軸の接続部分の形状(パーツ)の違いと、キャップ内のインナーキャップの違いから、入れ替えることが不可能でした。
うーむ、願わくばナイト&デイの万年筆も作れるかと思いましたが、残念…!
 

 
リザード(爬虫類)柄の万年筆を並べてみました。
左から、ウォーターマン ル・マン ラプソディリザード、ペリカン M101N リザード、シェーファー レガシーヘリテイジ ルックオブレザー。
 
いやはや、格好良いです。リザード柄の万年筆。
軸の柄はペリカンのM101Nリザードと似ているようにも見えますが、ペリカンはより複雑な柄の層が重なっており、流石はペリカンのセルロース・アセテート素材と感心します。
ウォーターマンのリザード柄は透明感の少ない、ブルーとグレートブラックで構成されていて、これはこれで個性的。シェーファーは金属にラッカー塗装でレザーを表現。
 
ひとえに爬虫類柄といってもそれぞれのメーカーの解釈があり、とても面白いです。
しかも、色気すら感じるデザインは、日没以降に使いたくなること間違いありません。
 

 


 
さて、デザインはこれくらいにして肝心の書き味なのですが、これが目から鱗。
良い意味で私の中のウォーターマンのイメージを崩してくれました。
 
「ウォーターマンと言えばガチニブ」という私の中の固定観念。(といっても過去に2本だけ体験しただけなのですが…)
それを崩してきた柔らかいペン先。
バイカラーでクラシカルなデザインのペン先を詳しく見ていきましょう。
 

 
まるでオノト万年筆のペン先のような形状のニブ。小さめではありますが、しっかりと18金で作られたニブです。
刻印は、「WATERMAN IDEAL PARIS 18K 750 FRANCE」と、小さなペン先の中にこれでもかと詰め込まれた刻印。これからもウォーターマンの確たる自信が感じられるような気がします。
 

 
ペン芯には字幅(M)の刻印。万年筆を使う上で、字幅が明確に刻印されていると安心します。
ペン芯の素材は不明ですが、表面が非常になめらかなので樹脂でしょうか。
外側にフィン(溝)は見当たらず、つるんとしたデザイン。これも踏まえてクラシックなペン先デザインといえます。
 

 
ペン先を横から。
見えにくいですがフィンらしき溝が横に一本走っています。
 
ニブの形状は平たく、ペン芯の横に回り込むような「壁」はありません。
おそらくこの形状が柔らかさの秘密ではないかと考えています。
 

 
細めの軸に柔らかいペン先。
どことなくオノトの書き味をも彷彿とさせるウォーターマンのル・マン200。
さらに大きなペン先のル・マン100はどのような書き味なのか。気になりますね。
 

 
尻軸デザインの時に触れていた、キャップをポストした図。
とてもロングな万年筆になりますが、重量バランスが良く、これは逆にキャップをポストした方が私好みの書き心地になります。
 
柔らかなペン先のウォーターマン。どういうわけか不思議な感覚。
 

 
たまたまインクを入れていた3本の万年筆で書き比べてみます。
左から、シェーファー レガシーヘリテイジ、ウォーターマン ル・マン200、セーラー万年筆 プロフィット21。
シェーファーとウォーターマンは18金、セーラーは21金となりますが、むしろペン先の金の含有率はそこまで書き味に影響せず、注目はニブの形状と切り割りの長さです。
 

 
大人(オッサン)になった某○なかっぱのような酒呑みを書いて比較。
やはりウォーターマンはペン先が“しなる”感覚が強め。紙面へのタッチも柔らかさはペリカンに近いものがあります。
ニブサイドの「壁」がないことで、ペンポイントに加わった力は首軸の方へ真っ直ぐに伝わり、弾力を生んでいるような感覚。
 
シェーファーのレガシーは、独特なペン先の反りによりタッチが柔らかく、ニブのしなりは少なめ。
カッチリした芯のある書き心地。
私の筆圧がシェーファーに慣れてきたのか、以前に使ったときよりも字幅通りの線を書くことができました。
 

 
セーラーはペン先のタッチがかなり柔らかく、かつ“しなり”もあるという、ある意味化け物(良い意味で)のようなペン先。これは流石に21金の恩恵も受けているのでしょう。
ニブサイドの「壁」がしっかりとありながらこの柔らかな書き味。流石日本製万年筆。
 

 
字幅はどれも中字(M)ですが、ル・マン200とプロフィット21はより文字に抑揚がつけやすく感じました。
3本とも書いていてめちゃくちゃ愉しい万年筆。
ペン先の素材は似ていますが、書き味は十人十色。これだから万年筆はやめられません。
 

 
さて、今回はウォーターマンの軟ペン先万年筆「ル・マン200 ラプソディリザード ブルー」をレポートしました。
 
軸のデザインはダンディなリザード柄。これはもしかすると好みが分かれるところかも知れませんが、私のようにそれが好きな方にはドハマりするデザインです。
 
また、書き味についてはウォーターマン=ガチニブという私の固定観念や巷の噂を良い意味で払拭してくれた、柔らかなタッチと抑揚がつけやすい万年筆特有の“しなり”を持ち合わせた、素晴らしいペン先だと評価します。
 
これは使ってみる価値あり。
ル・マン100もいつかは手にして、是非この200と書き比べて見たいものです。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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