サクラクラフトラボの原点を比較する【001の初回限定モデルと通常モデルの比較】
皆さんこんばんは。
日中が随分と暖かくなってきました。
春はもうすぐそこ、といった感じです。
さて、2017年以来 この季節になると毎年ある記事を書かないと…、と思いながらずっと別の筆記具を取り上げて、タイミングを逃し続けてきたペンがあります。
言わば、私にとって約6年越しの記事。
というのも、この筆記具のイメージが強烈に「春」を連想させるから、という理由からです。
だから、この記事を書くなら春だな…とずっと思っていました。
「サクラクラフトラボ 001」
このボールペンの発売は2017年8月7日に遡ります。
発売元はご存じのサクラクレパス。日本における高級筆記具というジャンルに、文字通り火を付けたと言っても過言ではないかと思います。
それまで、国内で使われるボールペンというと、コンビニで買えてコスパがすごぶる高い「ジェットストリーム」が主流でした。
大人が仕事で使うボールペンは、仕事内容を問わずほぼ数百円のジェットストリームだったと記憶しています。
そう、高級筆記具というジャンルが出てくるまでは。
私のようなマニアックな筆記具フリークからすると定価5000円+税の筆記具は、高級筆記具の価格としては中くらいの値段という認識ですが、一般的に5000円も出して単色のボールペン1本を買おうという人は稀有な存在です。
モンブランでもパーカーでもペリカンでもない、誰もが知っている「サクラクレパス」というメーカーが高級筆記具を出したことが何より大きかったのでしょう。
2017年の8月はその第一弾である001と、同時発売の002が発売された年。
特に001は当時攻めた価格であったにも関わらず大ヒット。
それ以降、サクラクレパスは毎年サクラクラフトラボの新作を発売し続け、去年の11月に出た007で7作目となります。
本来であれば、007をレビューするところでしょうが、私の手元に約6年も眠っていた初代「001」をレビューせずにサクラクラフトラボを語ることはできないでしょう。
ということで、今回はサクラクラフトラボのボールペン001。
初代にして至高という言葉がピッタリな一本。
発売の年に買って少し使い、その後 時が来たらレポートしようと思っていた001のブラウンブラック(通常モデル)と、初回限定モデルを比較していきたいと思います。
それでは、どうぞお付き合い下さい。
サクラクラフトラボ001のデザイン
サクラクラフトラボ001のデザインは、どちらかというとクラシックな趣があります。
グリップ部からペン先にかけては一体形成の真鍮素材。
ペンの上部は、磨りガラスのように上品に加工されたアクリルが使われています。
カラーラインナップは、手元にある写真のブラウンブラックの他、ブラック、ブルーブラック、ボルドーブラック、グリーンブラックの全5色展開。リフィルもまた、ボディカラーと同じ色が装填されているという粋な仕様となっています。
現在までのサクラクラフトラボシリーズの発売時期と特徴をまとめると、
001…2017年8月7日発売。真鍮+アクリルのモデル
002…001と同時発売。パステルカラーが美しいライトモデル
003…2018年9月発売。オール金属のショート軸。太字リフィル仕様
004…2019年11月発売。複合ペン
005…2020年11月発売。ABS樹脂軸のサクラ型ボールペン
001s…2021年2月発売。創業100周年の001オール金属モデル
006…2021年11月発売。パーツを自由に組み合わせて作るボールペン
001(アルミ)…2022年3月発売。001派生のアルミエディション
007…2022年11月発売。001のスピリットはそのままに、モダンデザインに生まれ変わったボールペン
001は2017年の発売ですが、もちろん今でも現役で購入することが可能。
5色のボディカラーは老若男女、誰にでも合う絶妙なカラーとなっています。
かく言う私も、自分用にブラウンブラックを買いましたが、母にグリーンブラックをプレゼントするほどデザインに惚れたボールペン。
大切な人へのプレゼントにも良いかと思います。
001のデザインを語る上でトレードマークとなるのが、この天冠の形状ではないでしょうか。
クラシックカメラの操作ダイヤルのような、私的にはオーディオのボリュームツマミのようにも感じるこの天冠が、ペン先を繰り出すという重要な役割を担っています。
この部分が他でよく見るようなローレットであったなら、このボールペンはヒットしなかったかも知れません。
縦に深く入った溝は見た目にも美しく、回転の操作性も抜群です。
ねっとりとして手応えのある天冠は180°回転させることでペン先を繰り出します。
グリスがたっぷりと塗布されている印象で、最初は多少硬くても使っていれば馴染んできます。
慣れてくると片手の捻る操作でペン先出しも可能。
素材には真鍮が使われていて、ズッシリとした重みは高級感に繋がっています。
見た目はグリップの真鍮が目立つため フロントヘビーに見えますが、実際は磨りガラスのようなアクリルの内軸にも真鍮が使われており、ペンの重心はクリップの下(ペンの真ん中)という拘りよう。
いつかカランダッシュのレマン(ボールペン)のレビュー時にも書きましたが、重量30gを超えるようなペンでも重心バランスが良いと、思った以上に重さを感じないものです。
通常モデルのスペックは、
全長:131mm(携帯時)
重量:34g
軸径:10.5mm
となっています。
グリップ部の素材が真鍮ということで、否応なく経年変化が楽しめる仕様。
金属のグリップとなりますが 予想に反して滑らず、酸化することでさらにグリップは良くなっていきます。
私の手元のブラウンブラックは、6年前に開封して少し使ったあと 本格始動が去年末ですので、まだ経年変化が部分的にしか進んでいません。
今後が楽しみな一本です。
初回限定モデルのデザインとリフィルの書き味について
それでは通常モデルを見てきたところで、次は「初回限定モデル」を通常モデルとの比較を交えながら見ていきましょう。
通常モデルが真鍮×アクリルなのに対して、初回限定はアルミ×アクリルです。
どちらのモデルの金属も素材削り出しのソリッドな仕上がり。
丁度一年ほど前の2022年3月に、初回限定モデルと一部仕様を同じくしたアルミ×アクリルの「アルミニウムエディション」が数量限定で発売されました。
ほどなく店頭で見かけることはありましたが、おそらく今は完売。
(まだ残っているところがあるのでしょうか…?)
ここでも001のデザインの人気が覗えます。
アルミニウムエディションと001初回限定モデルの違いは、カラーラインナップと天冠のデザイン、そして全長。
初回限定モデルの天冠は002に似た、オーディオの操作部のような形状となっています。
これが堪らんのです。
向かって右側面にサクラクレパスのマーク。左側面はフラットとなっています。
こちらも通常モデルと同じく、180°回転させることでペン先を繰り出します。
ペン先が出た状態の時は、サクラクレパスのマークが左側面に来るという仕様。
正面から見るとこのようになっています。
ところで、サクラクラフトラボ001のクリップはまるで眼鏡のような形状で、ポケットから出たクリップが良い仕事をしてくれます。
ボディ素材が真鍮のモデルはブラウンのクリップ、アルミモデルはシルバーとなっていて統一感あり。
アルミエディションを持ち合わせていないため通常モデルと並べてみます。
初回限定モデルのスペックは、
全長:133mm(携帯時)
重量:21g
軸径:10.5mm
となっており、真鍮のモデルに比べると幾分ライトです。
実はこの21gという重量、毎回毎回反応して恐縮なのですが、個人的に素晴らしく書きやすいモンブランのマイスターシュテュック クラシック#164と同じ重量。個人的には筆記具が重いかどうかを感じる分かれ目の重さだと思っています。
※感じ方には個人差があります
それにしてもシルバー×ブラックの筆記具は爽やかでいて洗練されたオーラを持っていますね。
シルバー×ブラックのコントラストに軽快なペン捌きがプラスされます。
初回限定モデルのカラーラインナップ(アクリル部分のカラー)は写真のブラックとホワイトの2色。
アルミニウムモデルがブルー、グリーン、レッドですので、色被りがないところも素晴らしい。
アクリル部分はサンドブラスト製法でしょうか、ザラッとした手触りで金属のソリッドな質感とは対象的なマットで落ち着いた雰囲気。
初回限定モデルにはボディーカラーと同じブラックのインクが装填されています。
さて、続いては多彩なリフィルをレポートしていきましょう。
001は各ボディーカラーに合ったリフィルが購入時から入っていますが、違う色のリフィルに変えて使うのも良いでしょう。
特に万年筆好きなら使っておきたい「ブルーブラック」があるところも大きいです。
私が使い分けるリフィルは、「ブルーブラック」と「グリーンブラック」。
いずれのカラーもブラックをベースにした調合で、気持ち青みが強い、緑みが強いという感じ。
何となくお分かり頂けるでしょうか?
黒を基調としながら、しっかりとブルーやグリーン、ブラウンの存在を感じる色味です。
各色のリフィルは200円+税。
気軽に色味を変えられる、それも万年筆使いもニヤけるようなラインナップが揃っているのは嬉しい限りです。
001の初回限定モデルと通常モデルの内部機構の違い
2017年の発売当時、001(初回モデル含む)と002が同時発売されました。
しかし、その後の他メーカーリフィル互換の情報をまとめていく上で、001通常モデルには互換性があるが001初回限定モデルには使えないという実態が見えてきました。
これは初回限定モデルと通常モデルの内部機構を比較しておく必要があると考えたため、ここに記していきたいと思います。
同じパーツ構成、同じリフィルを使う初回限定と通常モデル。
当然と言えば当然ですが、外観的な違い以外はないように思えます。
実際に、この2本においてグリップ部のみ交換するということも可能で、デザイン上のみならず使用も可能となっています。
胴軸部分を見ると接続部から見える金属パーツ(内側)の形状は違って見えますが、リフィルが入る部分の内径は同じ。
横に並べると樹脂の形状は同じ、金属が見える部分(接続部の形状)は違います。
しかし、内径は同じであるため、6mm以内の径のリフィルであれば収納することが可能です。
世の中に出回るローラーボール用のリフィルが差し込めるか試しましたが、結果は軒並みアウト。
純正のリフィルがほぼ隙間無く入る仕様となっており、これより太い径のリフィルを差すことは難しそうです。
更に比較すると、もう一方のグリップ部(金属素材部)の形状が予想以上に違っていました。
入れ替えが可能として有名な、ジェットストリームの替え芯(SXR-38)が入る001通常モデル(左)に比べ、室内が狭くなるのがネジ切り付近の001初回限定モデル(右)。
ジェットストリームのリフィルがグリップ内径(狭くなる箇所)に当たるまでの長さを測ってみると、
001通常モデル:28mm
001初回限定モデル:7mm
となっていました。
純正リフィルより径の太いリフィルが入る隙があるのが、グリップ部内側の7mmのところまでということは理解できました。
そうなると、ほとんどの他社リフィルは使えず、仮に純正リフィルより径の細い他社リフィルを入れたとしても、軸内でリフィルが安定しないため まともに使えないという状況が想定されます。
ということで、001初回限定モデルは事実上、純正のリフィル以外は使えないと考えて良さそうです。
同じアルミ削り出しのグリップ部を持つ「アルミニウムエディション」がどうなのかが気になるところ。
お持ちの方は情報を頂けると嬉しいです。
ジェットストリームを001で使う
それでは最後に、001通常モデルでジェットストリームリフィルを使う方法を検証していきたいと思います。
これからサクラクラフトラボ001を買おうと考えている方も、ジェットストリームのような細字のリフィルが使えるとなると心強いかと。
やり方も簡単ですので、是非お試し頂きたいと思います。
使うジェットストリームリフィルは、4Cタイプではない方の「SXR-38」。
5本入りで500円(税別)というコスパの高さ。
しかもプラ製の容器は、裏側にチャックがついており保管性能も抜群。
様々なメーカーの軸に使えますので、筆記具ユーザー必携のリフィルではないかと思います。
純正のリフィル(R-LGB05A)とジェットストリームリフィル(SXR-38)を並べてみました。
ジェットストリームリフィル(替え芯)の優れている点として、その形状が挙げられます。
ポイントはクリアブルーの部分。クリアブルーの部分があることで、軸内でリフィル自体の保持力が上がり、結果、筆記時のブレを抑制する働きがあると考えています。
また、太くする部分をリフィル全体ではなく先端のみに配置することで、一本あたりの材料費のコスト削減にも繋がっているのではないかと。
容量もたっぷりですし、本当に名リフィルだと思います。
リフィルの全長がこのままだと001に対して長いため、ジェットストリームのお尻の部分を14mmカットする必要があります。
ハサミでもいいですし、ニッパーでもOKです。
家にあるもので対応可能。
カットしたジェットストリームを001の軸内に収め装填完了です。
ペン先を出した状態で比べても遜色なく、まるで純正リフィルのよう…。
もちろんですが、純正リフィルおよびジェットストリームのペン先は、どちらもペン先穴に対して隙間無く繰り出されますので、筆記時のブレ等は心配ありません。
サクラクラフトラボ001で極細字を書きたい場合はコレしかないでしょう!
というくらい、手軽に装填できて利用が可能なジェットストリーム。
通常のリフィル(0.5mm)と比べても細さが際立ちます。
ジェットストリーム好きの方にも質感&使用満足度の高いサクラクラフトラボ001はお勧めです。
さて、今回はやっとのことで書くことができた「サクラクレパス」の名品「サクラクラフトラボ001」の通常モデルと初回限定モデルの比較を行ってきました。
まだ007が出たところですが、毎年の恒例行事のように楽しみなサクラクラフトラボのラインナップ。
サクラクラフトラボの新作発表および発売時期は、毎年9月~11月頃ですので、今年も楽しみに待ちましょう。
個人的に006(自由にパーツを組み合わせて作るモデル)が気になります。
そして、まだ出ていないメカニカルペンシルの登場も気になるところ。
(メカニカルペンシルが出るのかは分かりませんが…)
経年変化を愉しみながら、今後はサクラの咲く季節に更に使いたくなることでしょう。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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