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IJ Instruments のPG5 type pencilをPMGカスタムして使う【0.5mmペンシルを0.3mm化】

2024年9月29日

皆さんこんばんは。
 
去年、当ブログでは珍しいぺんてるのメカニカルペンシル「P205」の内部機構が使える「IJ Instruments」の「Number9 pencil」をレポートしました。
その流れで、もう一本あるIJ Instrumentsのメカニカルペンシル「PG5 type pencil」で遊んでいきたいと思います。
 
なぜこのタイミングでのレポートになるかというと、検証ネタとなる「ぺんてる PMG」の入手が難航したため。
 

 
IJ InstrumentsのPG5 type pencilはその名の通り、ぺんてるのグラフペンシルPG5を参考に造られたオール真鍮製の軸で、内部機構はグラフペンシルPG5と完全に互換性があります。(というか同じものが使われています)
 
まあそれは前回のNumber9の流れからも読めるのですが、検証したいのはグラフペンシルの中でも人気モデルである「グラフペンシル PMG」との互換性はどうか、ということ。
 
ネットの情報からPMGとPG5はパーツ違いの製品だということは分かりますが、やっぱり自分で検証しないと!ということで、PMGを探すことになります。
 
しかしPMGは廃番となっているため、製図ペンとしての性能を遙かに超えて中古価格が高騰している…。
グラフペンシルはメカニカの廉価版と認識していたのですが、違うのでしょうか?
 
定価は1,300円くらいと記憶していますが、ユーズド市場の平均価格は5,000円以上。
某フリマサイトで、タイミングが良くて定価の2倍くらいの個体を手にできる場合もあるようですが、ユーズドで4,000円~7,000円台。新品だとそれ以上になることも…。
 
このペンの人気がいかに高いかということを物語っているのですが、Amazonでも新品が800円くらいで買えるPG5との違いは、0.3mmであることとペン先保護キャップがついているかどうか、あとはそれに伴い一部のパーツの形状が違うことくらいではないでしょうか。
 
そんなPMGが高くなりすぎて悲しい…と思いつつも、なるべく安いものを探していたら時間が経ってしまいました。
(それでも定価の3倍くらいしましたが…;;)
 

 
ということで、今回の記事はIJ Instruments PG5 type pencilのレビューと、他のグラフペンシルとの比較、そしてタイトルにもあるように0.3mm化を行っていきます。
 
長い記事になりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
 

 

 

 

存在感を放つオール真鍮製のPG5 type pencil

製図ペンと言えば、軽量で取り回しがし易く、固定式のガイドパイプ兼ペン先が筆記面の視認性も確保している人気モデル。
価格も当ブログで取り扱うような高級筆記具に比べ価格がリーズナブルなのも魅力です。
 
その使いやすさから、製図を生業としている方以外に、メカニカルペンシルを一番活用する中高生・大学生にも根強い人気がある筆記具。
製図ペンは様々なメーカーから発売されていますが、中でも日本人に馴染みがあり デザインも秀逸なのが「ぺんてる」の製品だと感じています。
 

 
そんなぺんてるのベストセラー製図ペンであるPG5にインスパイアされて過去に発売されていたIJ InstrumentsのPG5 type pencil。
 
PG5の特徴的なフォルムに近い、それでいて真鍮のシャープなデザインも取り入れた一本となっています。
 
真鍮製ということもあり、オリジナルのぺんてるPG5が10gに対して、重量は31gとずっしり。
重心はちょうどペンの真ん中のため、それほど31gの重さを感じることのない快適な筆記が可能となっています。
 

 
六角柱の真鍮無垢材を加工して造られているPG5 type pencil。
グリップ部は幾つか種類がありますが、手元のものは8ブロックの細かなローレットが刻まれています。
ベースとなる真鍮素材も、緩やかにかつ良い感じに経年変化中。
 

 
ぺんてるのP205にインスパイアされて造られた「Number9」と並べてみました。
グリップ部はこのような違い。(Number9にもローレットタイプはあります)
 
素材は真鍮(PG5 type pencil)とステンレス(Number9)。
PG5 type pencilにもステンレスタイプの軸がラインナップされていましたが、それを今入手しようとすると相当な数の諭吉を積まなければならなそうです 笑
 

 
IJ Instrumentsのペンシル2本と、それぞれのオリジナルであるPG5とP205を並べています。
左から、ぺんてるPG5、PG5 type pencil、Number9、ぺんてるP205。
将棋やポケモンにも金と銀があるように、やはり銀の対は金ですね。
 
Number9がP205のシルエットをほぼ踏襲しているのに対して、PG5 type pencilをよく見るとクリップの位置がPG5にくらべてペン先寄りに配置されていることが分かります。
 
グリップ部もローレットで絞られており、素材を生かしたデザインに仕上げていることが伝わります。
PG5の上部が細長い特徴的なシルエットがうまく取り入れられていますね。
 

 
真鍮の重みがあることで、ラインを引くときも指の余分な力が抜けて軽いタッチで扱えます。
グリップ部のローレットも◎。
私は普段定規を用いたライン引きはしないのですが、操作感は軽く良好。
 
通常筆記においてもやはり筆記面が見やすいというのは大きなアドバンテージだと言えます。
中身はPG5なので字幅も0.5mm。
とめ・はね・はらいが分かりやすく一番日本語が美しく書けると感じる0.5mm幅。
 

 
ペン先の真鍮パーツはオプション品で、実際はPG5とおなじクロームのものが付属。
なので、こうしてPG5とペン先パーツを入れ替えることも可能です。
 
字幅もPG5と同じですので気分転換で付け替えて、そのまま0.5mmを出して使えるのは便利ですね。
 
2023年現在、IJ Instrumentsのサイトで「PG5 type pencil」の販売はストップしていますが、同じ0.5mm幅の芯に対応した「Number9 pencil」は購入可能となっています。
 

 

IJ Instruments製品とグラフペンシルシリーズの互換性

さて、「PG5 type pencil」の0.3mm化に向けて、グラフペンシルシリーズのパーツの互換性について調べます。
 

 
先ほどの並びにPMGを追加してみました。
 
前述したとおり、PG5とPMGの外観的な違いはペン先のパーツとキャップの有無、あとはヘッド部分の形状と表面仕上げでしょうか。
 
硬度表記ノブの色は字幅によって違い、0.3mmのPMGはオレンジで0.5mmのPG5はイエローです。
写真にはありませんが、PG4はグリーン、PG2はピンクと言った具合い。
 

 
ペン先のパーツを比較します。
PG5 type pencilの真鍮ペン先パーツはPG5のデザインに近いですが滑らかな曲線を描いています。
 
PMGはキャップを固定するための溝があり、キャップ内側の出っ張りとピッタリ嵌合されます。
キャップによって0.3mmの細いパイプを保護できるというギミック付き。
 

 
そのキャップを取り付けた時はこのようになります。
まるで鉛筆の先を保護するキャップのよう。
 
こちらのキャップは筆記時にノック部へ換装しますので、ペン先にあたる部分は解放され筒状となります。
 

 
ヘッドの部分にもペン先のパーツと同じ溝が設けられており、そこにキャップを差し込みます。
これはよく考えられた機能ではないかと。
 
これができないと80%くらいの確立でキャップを紛失する自信があります。
 
落下が命取りとなる製図ペンですので、この便利なキャップは他のグラフペンシルにもつけてくれても良いのでは…?と思ってしまうのですがどうでしょう。
 

 
ペン先パーツを外してみました。
胴軸と繋ぐ形状も同じ、接続部の径も同じ、内部機構の出具合も同じ。
生産上の都合というのもあるでしょうが、ここまで互換性があるとパーツの組み替えも容易です。
 

 
外観的なパーツは付け替えが容易ですが、メカニカルペンシルの心臓部である内部機構は字幅によってチャックの内径が違いますので、ようは内部機構ごと入れ替えが必要となります。
 
PG5が0.5mm、PMGが0.3mmということで、芯を挟む部分の径が違うことが見て取れます。
 
PG5、PG5 type pencil、PMGをそれぞれ分解してみてパーツを見比べてみましょう。
 

 
パーツ構成は3モデルともほぼ同じ。
クリップは外す意味が無いので外していません。
 
ガイドパイプの芯詰まりを掃除する針金がPG5 type pencilのノックパーツには無いですが、スリットが設けられているため付けようと思えば自作して付けられそうです。
 
PMGはキャップの分だけパーツ点数が多いです。
ああ…、PG5にもキャップが着けられたらと思うのは私だけでしょうか。
 
問題の内部機構は、形状・長さ共に同じで、違う点は前述したチャックの内径のみ。
いや-、こういう統一感は弄る側からしても非常に有り難いですね。
 
それでは、いよいよ次項でPG5 type pencilの0.3mm化を行っていきます。
 

 

PMGの内部機構を用いて0.3mm化!

それでは、PMGの内部機構をIJ InstrumentsのPG5 type pencilに移植してきましょう!
 

 
組み替えたいパーツは、内部機構・ペン先パーツ・ヘッドの部分・キャップです。
グラフペンシルシリーズは分解手順も組み立て手順も同じ。
組み上げていく過程は楽しいです。
 

 
胴軸に内部機構を差したら、硬度表記付きの白い樹脂パーツを胴軸にねじ込んでいきます。
ネジネジして止まるところまでねじ込みます。
 
グラフペンシルの硬度表記は、4H、3H、2H、H、HB、B、の6種類。
通常筆記の範囲でHより硬い芯を使うことはあまりないですが、もともと製図ペンとして造られているためこの表記です。
 
テプラか何かでB以降の硬度表記を自作して貼るのも面白そう。
 

 
続いて、真鍮製の硬度表記窓を差し込んだら、キャップの装着に対応したPMGのヘッドパーツを付けていきます。
白い樹脂パーツの形状はPG5もPMGも同じですので普通に付けられます。
 
基本的な操作方法として、硬度表記を変更する際はこのヘッド部分を緩め、硬度表記窓を回します。
(ですので、硬度表記は常に上面ではないです)
 

 
ペン先パーツをねじ込んで完成。
加工不要のパーツの組み替えのみですので、字幅の変更は実に簡単です。
 
ベースのPG5 type pencilが真鍮のゴールド一色ですので、シルバーのパーツとの相性も良く、全体的にバイカラーの仕上がりとなります。
 

 
キャップも問題なく装着可能。
PG5 type pencilを0.3mmで使いたいということより、キャップを装着させて使いたいの方が強いかも知れません。
 
グリップ部のローレットのデザインとも相まって、どことなくメカニカのような見た目に。
金銀の見た目も良いですが、個人的にはいつか胴軸とノックボタンにブラックペイントを施して見た目をPG5に近づけたいなーと思っています。
 
クラシックカメラでも使われているブラックペイント(焼き付け塗装)は、経年使用で部分的に下地の真鍮が見えてきて非常に格好良いのです。
 

 
ペン先から外したキャップはPMGと同じようにヘッド部分へ。
グロッシーなヘッドがキャップを着けることによってマットな雰囲気に変わるのも格好良い。
 
ちなみにキャップをヘッドに着けるとノックボタンが少し隠れますが、ノックストロークは変化しません。
 

 
入れ替え後のPG5 type pencilとPMG。
PMGは内部機構(0.5mm)とペン先、ヘッドが変わりPMGと言うよりOMGな見た目に…。
 
ペン先とヘッドの部分がシルバーとなったPG5 type pencil。
さすがパーツに互換性があるだけあって、デザインのちがうパーツに組み替えても、ちゃんと全体的なデザインが損なわれないのが嬉しいところ。
 

 
今回の特に堪らないポイントは、筆記時のヘッド部分。マットなキャップの下にある上面仕上げのリングがチラリと見えて、シンプルの中にも捻ったデザインに。
また、硬度表記もちょうどクリップの上にHBが来るようになり嬉しい誤算となりました。
 
こういった遊び方ができるのもIJ Instruments製品の良いところ。
しばらくはこの仕様で使おうと思います。
 

 

重量感のある製図ペンは使いやすい

最後の項は重量のある製図ペンというジャンルについて。
 
製図ペンというと軸はピンキリですが、日本メーカーの製図ペンは軽量なイメージがあります。
製図ペンに重量が加わるとどうなるのか。
 
海外製だとロットリングの重量系製図ペンが思い浮かびます。
使った人なら分かりますが、これが結構使いやすい。
 

 
もともと私が重めのペンばかりを使っている という背景もあるでしょうが、ペン自体の重みに乗せてラインを引いたり文字を書いたりというのが、慣れていると疲れず書きやすいと感じるのです。
 
さらに重量=高級感とも言われるように、使っている時の高揚感が軽いペンに比べて高いのも「使いやすさの中の隠れた要因」の一つかも知れません。
 

 
また、金属素材のローレットの滑りにくさは樹脂のそれ以上と感じます。
 
製図ペンで滑り止めが着いていないプレーンなデザインはあまり見かけませんが、快適なグリップにとって重要なローレット、特に金属製のローレットとなるとその持ち味(本来の役割)が十二分に発揮されるように思います。
 

 
PMGカスタムは重量感のある軸に0.3mm字幅というギャップ。
金属製のローレットが指紋と噛み合い、通常の文字書きにおいても非常にコントロールし易いです。
 

 
おまけでデスク周りの真鍮製文房具紹介です。(一番右のブラックウィング以外)
左:KAWECO BRASS SPORT(万年筆)
中:IJ Instruments PG5 type pencil PMG CUSTOM(メカニカルペンシル)
右:サクラクラフトラボ001(ボールペン)
ペーパーウェイト:フタガミ(FUTAGAMI)
シャープナー:DUX製、KUM製
 
一番左のカヴェコブラススポーツはずっと使っている真鍮製万年筆。2019年から使い始めて4年ほど経ちますが、保管・携帯時に隠れる部分はまだそれほど経年変化が進んでいません。
こうした経年変化の楽しさが真鍮筆記具の醍醐味と言えるでしょう。
 
PMGカスタムとサクラクラフトラボ001はまだ若いため変化は少ないですが、今後まだまだ変化していくことを思うと 楽しみでなりません。
皆さんのデスク周りにも、真鍮製の筆記具はいかがでしょうか。時を重ねる相棒としてこれほどの適任はないかもしれません。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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