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イタリア発、ビスコンティの美しいマーブルレジン大型万年筆 【ビスコンティ ヴァン・ゴッホ マキシサイズ ブラウン タートル】

2024年10月21日

前回に引き続き、今回も万年筆のレポートをしていきます。
 
今回の万年筆は手に入れて間がない一本。やはり新しい万年筆に出会うとわくわくしますね~。
しかも新しく手に入れた万年筆は、自身初めてとなるマーブルレジンの樹脂軸。実に美しい!
 

 
ビスコンティから、ヴァン・ゴッホ(ファン・ゴッホ)シリーズの万年筆。
「ビスコンティ ヴァン・ゴッホ マキシ ブラウン タートル」
 
前回のアウロラ、イプシロンに続きイタリアの万年筆です。このブラウンタートルというモデルは現在は販売されていない?ようですが、ビスコンティの魅力がひしひしと伝わってきます。
 
ビスコンティは1988年に2名の万年筆コレクターによって設立され、歴史としてはまだ若いブランド。そのため同じヨーロッパ出身のペリカンやモンブランやアウロラに比べると、万年筆に詳しい方以外にはマイナーな筆記具メーカーに感じるかもしれません。
 

 
しかしながら生み出される筆記具のデザインの美しさ、インパクトはメジャーなブランド以上のものがあると言っていいでしょう。
特に様々な色が混ざり織りなす樹脂軸のマーブル模様は、デザインのモチーフを余すことなく表現しています。ビスコンティからは様々なシリーズがラインナップされていますが、その中でもこのヴァンゴッホと比較的手が出しやすい価格のレンブラントは、目に触れる機会も多いのではないでしょうか。
実際に手にしてみてその美しさたるや…。熱心なコレクターがいるのも頷けます。
 
それでは美しいブラウンクリアレジンの万年筆、ヴァンゴッホを見ていきましょう。
 

 

 

 

ビスコンティ/ヴァン・ゴッホのスペック

まずはスペックを見てみると、
全長:145㎜
重さ:32g
軸径:13㎜
 
名前にマキシ(MAXI)と付くだけあって、万年筆としては大きめで存在感があります。
キャップを尻軸にさして使うとリアヘビーとなるため、好みではありますがキャップは外した状態で使うのがいいかもしれません。
 
以前レポートしたパイロットのカスタム74も比較的大きな万年筆というイメージでしたが、ヴァンゴッホはさらに2㎜長く、私のペンケースの中でも一番の大きさを誇っています。
 
握ったときに大きな万年筆ほど満足感が上がるのか、ペンケースを開いて何か書こうとしたときにビスコンティに手が伸びます。
モンブランのマイスターシュテュック#149等の太軸万年筆に人気が出るのも分かる気がしますね。太い万年筆をどっしりと構え、ゆったりとした筆記を愉しめる。これぞ本来の万年筆の愉しみ方なのかもしれません。
 

 

美しいマーブルレジンの胴軸


 
ヴァンゴッホはネジ式キャップの万年筆。まず目が行くのは琥珀のようにも見え、べっ甲のようにも見えるクリアブラウン×ベージュのマーブル模様です。(タートルなのでべっ甲イメージでしょうか)
樹脂軸のなかでも、特にマーブル軸はその複雑で唯一無二の模様が魅力で、正に「たかが樹脂と思うなかれ」という美しくも堂々たる風貌。
 
私は万年筆を使い始めた頃、ウォーターマン等の金属軸の万年筆を好んで使っていました。万年筆は自重でペンを走らせるため適度な重さが必要と考えていましたし、安い買い物ではないので素材は断然高級感のある金属でしょ!と思っていました。
しかし、いろいろな万年筆を使っていくうちに考えは変わり、樹脂軸こそ万年筆の醍醐味と考えが変わりつつあります。そう思うきっかけとなったのが、デルタの万年筆「ドルチェビータ」や「スクリーニョ」です。
 
マーブルレジンの塊を職人が一本一本削って磨き上げられる軸には透明感があり、同じ模様が2つとありません。光の当たる加減で色が変わり、さながら小宇宙の星雲が手の中にあるような錯覚に陥ります。
ビジネスで使うのは黒い樹脂軸が多いですが、デスクで作業をする場合、色の変化を伴う樹脂軸の万年筆を使うと なんとも言えない高揚感と満足感が得られるのです。
仕事では素早くペンを走らせなければならないシーンがいくつもありますが、そういった速記からは離れて、ゆったりと文字を書いてみる。
そう思わせてくれる魅力が、レジンの美しい万年筆にはあるように思えて仕方がありません。
 
それらの樹脂軸を使った感覚は私の主観ではありますが、そういった理由で今は樹脂軸の利用がメインとなっています。
このビスコンティも例外ではなく、万年筆を持つ喜び、使う喜びを感じさせてくれるのです。
 

 

橋がモチーフの特徴的なクリップ


 
クリップには「VISCONTI」のブランドロゴが。
また、このクリップの形はイタリアにある「ポンテベッキオ橋」がモチーフにされていて、“デザインの出会い”を意味しているそうです。
 
その特徴的でもあるクリップは、バネ式のため挟む力は申し分ありません。
クリップの形状は、正面から見るとキャップの太さに対比して薄いため生地に挟み込んで保持する際 安定性に欠けるように感じたのと、クリップのデザインがデザインだけに指では摘まみやすいものの、大きく出っ張るため収納の際は使い勝手が良いとは言えません。私はこの万年筆をポケットに挿して持ち歩くことはしないので気にしませんが…。
 

 
クリップの反対側にはクリップを止めているマイナスネジがあります。実際にドライバーで回すこともでき、クリップ挟み込み強度の調整にも使えます。
デザイン的にも面白いアクセントになっていますね。
 

 

まるで琥珀のようなキャップ


 
続いてキャップ全体。見れば見るほど美しい模様をしています。
クリアブラウンのキャップ越しに、中の銀色に輝くニブが見えます。マーブルでありながら全体的に透け感があるため、ぱっと見はデモンストレーターのような面白さも併せ持つ、珍しいデザインではないでしょうか。
 

 
キャップリングにも豪華なデザインが施されています。
正面には「VISCONTI」、裏面は「VAN GOGH」、文字間にVマークが施されています。
この太いシルバーのキャップリングがこの万年筆の豪華さを際立たせていますね。
 

 

ヴァン・ゴッホのニブ/コンバーター


 
ニブとコンバーターのデザインを見ていきます。
ニブはモンブランの#149に迫る勢いの大型ニブ。(モンブラン#146より大きく、#149よりは少しだけ小さいサイズ)
ニブ自体のデザインも美しく、ミュシャの絵画を思わせる美しい柄が描かれています。ビスコンティのヴァンゴッホは、製造時期やサイズによりニブのデザインが異なるのも面白いところ。
 

 
刻印は「VISCONTI 14K 585 F
ペン芯のフィンは細く、ペン芯の先にもVのマークが見られます。
ビスコンティの万年筆の特徴として首軸パーツの美しさもあります。金属の首軸にVマークの装飾が豪華ですね。
このニブのデザインと主軸デザインの調和は、さすがイタリア軸。気分が上がります。
 

 
コンバーターはつまみの部分も金属製です。この部分はモデルによって樹脂製の場合もあるようですね。
こちらにもビスコンティのVマーク装飾があり、同時にローレットも刻まれているため操作性が良いうえに、この銀色のコンバーターがクリアブラウンの軸から透けて見えるというニクい演出です。
 

 

14金の滑らかな筆記感


 
文字を書いてみました。各社の万年筆との字幅の差はこのような感じです。
先ほど書いたように、ペン先はF。こちらは海外製品らしいというか、しっかりとした字幅のFです。(一番上がビスコンティ)
紙の上を走らせてみるととても滑らかで、紙面へのタッチを含めペリカンの筆記感に似ているような気がします。前回のアウロライプシロンやガチニブと言われるウォーターマンとは正反対の筆記感。
 
手元にビスコンティが届いた時に試し書きで入れたインクはブルーブラックでした。上の写真でビスコンティとパイロットは同じインクを入れています。
同じブルーブラックのインクを入れたパイロットのカスタム74と比べても文字の色が濃く、インクフローが潤沢であることがうかがえます。
 

 
今回、私の筆記具の師匠から届いたモンブランのトフィーブラウンを入れて書きました。
色がブラウンということもあり濃淡がはっきりと出て、ペン先Fと相まっていい味の文字が書けます。これはかなり私好みの発色!
ブラウンの軸からブラウンのインク。このまとまりもヴァンゴッホ ブラウンタートルでこそなせる業でしょう。
 

▲ダークブラウンのレザーステーショナリーやインク瓶との親和性も抜群
 

 

ビスコンティ/ヴァン・ゴッホまとめ

ビスコンティの軸はとにかく美しいの一言。
マーブルレジンの軸は様々な色が解け合い唯一無二の模様となっています。一本一本が職人の手作業で削られ、仕上げられている。それだけでもかなり満足感の高い万年筆となっています。
 
ペン先も14Kで紙面へのタッチ含め書き味はとてもなめらかでした。書き味が好みだと文字を書くのが楽しくなりますし、文字が気持ちよく走ると、それにならってアイデアも浮かんできます。考えを言語化することは重要だと思わせてくれるペンですね。
インクフローも潤沢で、それはすなわち インクの濃淡も楽しめて万年筆の醍醐味を味わえるという事に直結しています。
ブラウンのインクとともに私のメインの一本になりそうな予感。
 
今のところは発症していないですが、他のシリーズも欲しくなる病にかかる危険性が十分。(笑)
様々な色の軸や他の魅力的なシリーズのラインナップもありますので、気になられた方はビスコンティを検索してみるのも良いかと。
 
それでは今回はこの辺で。
また沼の淵でお会いしましょう。

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