モンブランの歴史が凝縮された一本! 【モンブラン ヘリテイジコレクション ルージュ・エ・ノワール ボールペン 比較レビュー】
皆さんこんにちは。
前回の記事に続き、今回もモンブラン ヘリテイジコレクション ルージュ・エ・ノワール スペシャルエディションについて。
ローラーボールとセットで買った油性ボールペンの方を比較レポートしていきます。
やはり仕事のメイン筆記具でボールペンを使っていることもあり、フットワークの軽い油性ボールペンも手元に置いておきたい…と思い入手。
額が額なのでこういったモデルは頻繁に買うものでもないので今回くらいはいいかな、と。
しかもプライベート専用ですし。(と、言いながら仕事にも持っていくのですが…)
ローラーボールも満足度の高い本モデルですが、手軽な回転繰り出し式のボールペンモデルもまあよく出来ていること。
ヘリテイジコレクションルージュ・エ・ノワールの中でも一番派手さを抑えてあるブラックモデルは、持ち出しやすくマイスターシュテュックさながらに出番の多い一本となりました。
当記事ではヘリテイジコレクションルージュ・エ・ノワールのマイスターシュテュッククラシックP164比較をメインに、ローラーボールとの違いも見ていきたいと思います。
【油性ボールペンとして完成度の高いルージュ・エ・ノワール】
まず全体像ですが、ブラックのボディにインパクトのある蛇クリップと朱色の天冠がこのモデルの特別感を演出しています。蛇の目に石が入っているコーラルやトロピックブラウンと違い、良い意味でゴージャスさの抜けた無石の蛇が可愛い。
動物モチーフのシンプルなボールペンというのはチープになりがちです。
このルージュ・エ・ノワールがチープにならない要因として、蛇の色(合金にヴィンテージ加工)とペン先の金属部分の色合いを落ち着いたシルバーで合わせてあることが挙げられます。
もし蛇や口金がクロームのようなキラキラした輝きのある加工であったなら、こうも高級感と深みのあるペンにはならなかったことでしょう。
キャップにはスミ入れ無しの控えめな旧ロゴ。
各部の刻印(シリアルナンバーやクリップ裏刻印)は前回のローラーボールの記事で詳しくやっていますのでそちらをご覧頂くとして、やはりこの旧ロゴと蛇クリップ、天冠は雰囲気があります。
ホワイトスターを収める天冠のローレットはアールデコを感じるデザイン。
同じくドイツで歴史の深いカヴェコの天冠も、このようなローレットがあるモデル(ペンシルスペシャルやDIA[ディア]等)があり当時の流行デザインを感じることができます。
ちなみにホワイトスターの6時の方向に位置する蛇クリップの鱗のデザインは ホワイトスターの8時の方向までで、それ以降はつるんとしたデザインとなっています。
そしてこのヘリテイジコレクションルージュ・エ・ノワールの仕上げの素晴らしい点として、胴軸とキャップの一体感があります。
何が素晴らしいのかというと、ローラーボールと同じで胴軸は金属にラッカー処理、キャップはプレシャスレジンという異素材の組み合わせでありながら、色合いとツヤが完全に一致していて素材の違いを一切感じないところ。
こういった部分の拘りはさすが老舗の筆記具メーカーと言ったところでしょう。
【ヘリテイジコレクションとマイスターシュテュック#164の比較】
さて、ここからはマイスターシュテュッククラシックP164との比較です。
全長の比較から。
ヘリテイジコレクションルージュ・エ・ノワールはペン先を収納した状態で126mm、マイスターシュテュッククラシックP164は137mmで11mmもの差があります。
結構コンパクトなボールペンと言えます。
重量もルージュ・エ・ノワールは35g、クラシックP164は24gでこちらも11gの差。
デザインはヘリテイジコレクションの方がかなり先輩で、マイスターシュテュックが若く見えるほど。
先にも書いたようにヘリテイジコレクションのトリムは落ち着いたシルバーなのに対して、マイスターシュテュックはプラチナコーティングの眩しい輝き。
コンセプトの違いが感じられますね。
胴軸の太さはわずかにルージュ・エ・ノワールが細くできています。
握りやすさについては太めのマイスターシュテュックの方が私には合うのですが、ルージュ・エ・ノワールはペン先のデザインが細いため書いている文字が見やすいというメリットがあります。
2本の口金デザインの違い。
ルージュ・エ・ノワールはペリカンのスーベレーンのように小さな口金となっていて、よく見ると横向きの細かなヘアライン加工が施されています。
一方マイスターシュテュックはグロッシーな口金。
口金からのペン先の繰り出し具合も全く同じではなく、ルージュ・エ・ノワールは短め。
次にキャップと胴軸のつなぎを見てみます。
ルージュ・エ・ノワールにマイスターシュテュックのようなキャップリングは無く、胴軸との境目があるのみ。キャップが短いというのもありますが、キャップリングが無いことでこのボールペンのミニマルさが増しています。
ちなみに同じ蛇クリップのアガサ・クリスティにはキャップリングがあり「MONTBLANC-MEISTERSTÜCK-EDITION-」の刻印があります。
ということで、同じ蛇クリップを持つヘリテイジコレクションとアガサ・クリスティの大きな違いは、ヘリテイジコレクションは旧モデルを再現した先祖伝来モデルであって、アガサ・クリスティはマイスターシュテュックの流れを汲む作家エディションだということ。
マイスターシュテュックとのクリップ比較です。
定番中の定番であるマイスターシュテュックのクリップデザインは様々なメーカーが参考にするほど。
そして唯一無二の蛇クリップはマイスターシュテュックの3分の2ほどの長さ。
ちょっと気になって このキャップに巻き付く蛇の全長を計ってみたところなんと約127mmでした。
偶然か否か、このルージュ・エ・ノワールのボールペンの全長と一致しているのです!
(本当にどうでも良いトリビアですが…)
蛇クリップはポケットへの差し加減も良好で、その絶妙な長さと蛇の弾力で差しやすく抜きやすいクリップです。
ホワイトスターのサイズもベーシックなマイスターシュテュックに比べるとかなりビッグ。
おそらく1920年代のオリジナルの万年筆もここまで大きなホワイトスターは携えていなかったのではないかと思いますが、コーラルにアイボリーの大きなホワイトスターがモンブランの歴史を語っているかのようです。
キャップと胴軸の構造の違い。
リフィル交換の際はどちらもキャップを時計回りに捻って行います。
回転繰り出し機構は同じ機構を採用していると思われますが、ヘリテイジコレクションのキャップを分解したわけではないので詳細は不明。
回転繰り出し感はヘリテイジコレクションの方がよりねっとりとしていて胴軸の重さともマッチしています。
繰り出されたペン先は「クッ」とロックされ口金と一体化されます。
マイスターシュテュックとの胴軸の違いとして、異素材というのもあるのですが、ヘリテイジコレクションはネジ受け側も金属製なのに対して、マイスターシュテュッククラシックは樹脂となっています。
言わばパイロットのカスタム74のように同じ素材を用いることでネジの精密さを確保しているのです。
マイスターシュテュックを初めて持った時の気持ちの高揚、満足感、使いやすさをまたひとつ上のレベルで感じさせてくれるヘリテイジコレクション。
同じモンブランのボールペンでもこうまで違うのかというのが正直な感想です。
【ボールペンとローラーボールを比較】
続いては同じヘリテイジコレクションルージュ・エ・ノワール同士で比較します。
携帯時のサイズはキャップ式のローラーボールの方が油性ボールペンよりも8mmほど長くなっているのですが、キャップの長さは全く同じ。
しかしローラーボールのキャップを外すと、サイズは油性ボールペンとほぼ同じとなり、重量も油性ボールペンが35gに対してローラーボールが30gと近しくなります。
実際の筆記感もどちらもフロントヘビーな軸のため、5gの重量差をさほど感じません。
前回の記事にも書きましたが、ローラーボールにキャップをポストするとかなりロングに。
油性ボールペンと比較しても約キャップ一個分くらいの長さの差となります。
油性ボールペンも昔ほどのインクの固さは無く程良く油性で柔らかい書き味。
このモンブランの油性インクは長持ちする上に書き味なめらかでクセになります。
水性は更にサラサラ。ペンの自重でペン先を走らせる万年筆のような使い方ができます。そしてモンブランの水性インクの性能もいいんですよねー。(それ何回書くねんというくらい書いてますが…汗)
それぞれのペンで書いた複雑な漢字。
ローラーボールのミステリーブラックは黒くクッキリとしています。
関係ない話ですが、画数の多い漢字って意外とバランスが取りやすいので試筆で書くと字がうまくなったように感じませんか?
インクは油性・水性どちらも乾きが良く、書いてすぐ書類を重ねるといった場合でも安心できるのが万年筆との違いでもありますね。どちらも仕事に使える頼りになるインクです。
【まとめ】
さて、今回は「モンブラン ヘリテイジコレクション ルージュ・エ・ノワール ボールペン」をレビューしてきました。
やはり文句なしに使いやすいモンブランの油性ボールペン。
ルージュ・エ・ノワールはそれにモンブランの歴史が乗った所有満足度の高いモデルとなっています。
コンパクトでありながらズッシリと手に馴染む重み、キャップのプレシャスレジンとマッチングされたラッカー軸の滑らかな触り心地、そして蛇クリップと天冠のバランス。
ヘリテイジコレクションを使う時に感じる重みは単に金属素材の胴軸だからではなく、これはまさに「モンブランの歴史の重みそのもの」ではないかと思うのです。
書きやすさや携帯性とともに使う者に威厳、知的な印象、さらにはミステリアスな色気も与えてくれそうなボールペン。
マイスターシュテュック#164の先にあるボールペンとして手に入れてみてはいかがでしょうか。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
たにけんさん
いつも楽しく記事を拝見させて頂いております。
先日、PARKERデュオフォールドとPILOTのカスタムurushiでどちらを購入しようか迷っていたshinです。その節はデュオフォールドのプレステージとそれ以外の違いについて、また「自分の手に合い、使いやすい」ボールペンを使うことについての重要性を教えて頂き、ありがとうございました。
その後、ネットで一目惚れし、実物を店舗で確認させて頂き、ネットで購入(笑)したボールペンがあります。それはデュオフォールドでもカスタムurushiでもありません…。購入したのは【モンブラン ヘリテイジ・ルージュ・エ・ノワール・ベイビー】のアイボリー色です。
その質、デザイン、握りやすさ…最高でした!私は中年の男性ですが、小柄で手も小さいのでこの短く可愛らしいボールペンがしっくり手に馴染みます。嬉しさで何度も眺め、触っています。
ただ欠点が二つあり、一つは専用のリフィルがかすれやすく、色味が薄い点。もう一つは当然と言えば当然ですがボールペンが短い為リフィルも短く、恐らくすぐにインクが無くなるという点。モンブラン専用のリフィルだけに、私の期待はかなり大きかったのですが、かすれやすい点が少し残念でした。ただ、これには続きがあり、購入した店舗がスワロフスキーのボールペンに標準装備されているシュミット社製の互換リフィルを付けてくれており、こちらに交換するとストレスのないスムーズな書き味に加え、インクの濃さもかなり私の好みにマッチしていました!
余談ですがモンブランのベイビー専用リフィルは3本で
¥2,600程と結構なお値段。(海外製のリフィルは大体お高めなんですけどね…)それに比べ、互換のシュミット社製のリフィルは1本¥270ほど。かなりお求めやすくなっています。
長文失礼しましたが、本当に満足のいくボールペンに出逢うことが出来ました。また、筆記具界の最高峰に位置するモンブランのボールペンを購入出来たことを大変嬉しく思っています。これからも大切に使っていきたいです。
たにけんさん、これからもいろいろな筆記具の記事を楽しみにしています!
shinさん
コメントありがとうございます。
「モンブラン ルージュ&ノワール ベイビー」のご購入、おめでとうございます!
そうきましたか!
実際に店舗でも触って決めておられるので、間違いなくshinさんの掌にフィットしたものと思います。
ベイビーはコンパクトなモデルで私も気になっていました。
モンブランのボールペンの中では珍しい、ノック式のボールペンですね。
近年発売された製品でノック式を採用しているモデルは、今回入手されたベイビーとエジプトマニアくらいではないでしょうか。
そういった意味でも、なかなかに気分が上がるモデルです。
4C芯を使うモデルということで、マイスターシュテュックのモーツァルトと同じリフィルですね。
確かに海外メーカー各社の4C芯はモンブランに限らずかすれやすいですが、幸いなことに国内メーカーも様々なカラー・粘度の4C芯を発売しており、インクのカスタマイズは容易です。
有名どころでいうと三菱uniのジェットストリームなども使えます。
※ブルーブラックのような万年筆カラーが豊富なゼブラの4C芯は、芯径が異なるため使えないので注意です。
確かに海外メーカーの4C芯は価格が高いので、安価で高性能な国内メーカーの4C芯を試してみるのも一興です。
使いやすいとレポート頂いたシュミット社のリフィルは、確かG2タイプのものもあったと思いますので 私も参考にして試してみます。
モンブランのペンは質感が良く間違いない選択だと思います。
満足できる一本に出逢われたこと、私事のように嬉しいです。
まずは最高の一本を指の一部として楽しんでください。
そして今後も購入のご報告と情報共有、楽しみにしております。