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堅牢性、ギミック、存在感、三拍子揃った木製ペンケース 「コンプロット(工房 楔)」レビュー

皆さんこんばんは。
 
前々回の記事で木軸万年筆の記事を出したのですが、木軸万年筆を買うとそれ用に持ちたくなるのが「木製ペンケース」。
というより、海外製の木軸万年筆は軸径が太めに作られており、私がいつも使っているレザー製ペンケースには入らない…という問題があったというのもあります。
 
ひとえに木製ペンケースと言っても、それほど種類があるわけではないのですが、木製ペンケースと言ってとりあえず思いつくのがこのペンケースではないか、ということで今回のレポートに至ります。
 
ということで、今回レポートするペンケースは、
工房 楔の「Conplotto(コンプロット)ウーノ」
 

 
工房 楔(せつ)のコンプロットは様々な希少木材を用いて作られる、筆記具ファン憧れのペンケース。
「木製のペンケース」というとこちらを想像される方が多いのではないかと思うほど、もはや有名なペンケースではないでしょうか。
コンプロットは木軸の筆記具が好きな方に止まらず、ペンケースとしても堅牢且つ造りも細部にわたり計算された万年筆好き、筆記具ファンにはたまらない設計となっています。
 
木製のペンケースというと、レザーペンケースやナイロンのペンケースと比べて 形状の変形(しなやかさ)がないという点で扱いにくく感じる方もいらっしゃるかと思いますが、外からの影響(圧迫や衝撃)を一切受け付けない、この換えようのない安心感は他のペンケースでは味わえない最大のメリットだと感じます。
 
大切な筆記具を守りながら持ち歩くという点で、これ以上頼もしい存在はありません。
 

 

前置きが長くなりましたが、まずはコンプロット-1(ウーノ)のデザインと仕様から見ていきましょう。
 

 
Conplotto(コンプロット)はイタリア語で、秘密計画や陰謀と言った意味があるそう。
堅牢な木製のシェルに囲まれた、まさに自分だけが知る秘密の道具。そうしたコンセプトのもと作られているコンプロットは、思わず手に取りたくなる魅力に溢れています。
 
手元にあるのは、1本差しの「ウーノ」。コンプロットは収納本数によりイタリア語の数字を表す呼び名が付けられており、
 
1本差し:ウーノ
2本差し:デューエ
4本差し:クワトロ
6本差し:セーイ
10本差し:デュエーチ
※イレギュラー製品で3本差しの「トレ」等もあるようです。
 
と種類は豊富。
また ウーノからクワトロまでは、収納する万年筆のサイズに対応できるよう縦幅の長いモデルも用意されてます。
 
コンプロット-1(ウーノ)のスペックは、
全長(縦):160mm
横幅:43mm
高さ:30mm
重量:107g
 
一本差しのペンケースとしては大きめですが、このペンケースのコンセプトはコンパクトなことにあらず。
 
カラー(樹種)ラインナップは、花梨こぶ杢、ウォールナットちぢみ杢をはじめ、ブラックウッドやパープルハート、ハワイアンコア等多岐にわたり、その他 木材好きなら聞いたことがある希少木材も使われます。
 
私が手にしたのはオーソドックスかつ落ち着いた色合いのウォールナットちぢみ杢。
明るめの「花梨こぶ杢」や、私が大好きな樹種「ブラックウッド」も気になるところ。
 

 
オーバーサイズの万年筆もしっかりと収納できるキャパシティ。
ウーノの通常サイズは、内側の収納スペース長が150mmとなっており大型の万年筆も問題なし。それを超える全長の万年筆の場合は、さらに10mm長い「ロング」モデルが適合。
 
ウーノ通常サイズの収納スペースは、
 
長さ:150mm
横幅:17mm
深さ:10mm×2(上下)
※クリップを含め約20mmまでの軸径の万年筆に対応していますが、クリップを斜めに倒して収納することで、さらにクリップが出たデザインの万年筆も収納可能。
 
となっており、十分な収納力。
つまりは、全長150mm、軸径(クリップ含む)20mmまでの万年筆に対応しているということになります。
 

 
内装はピッグスウェードやエクセーヌ(合成繊維)が使われていて、万年筆の表面を傷つけず優しく保護してくれます。
 
高級なロールペンケースの内装にもエクセーヌが使われることが多く、私が愛用するナガサワ キップレザーロールペンケースもエクセーヌ。素材として信頼感があります。
 

 
閉じたときの蓋の固定はマグネット式。
二箇所で留められるようになっており、パタンと心地良い嵌合具合い。
 
硬質な素材(木材)がピタリと合わさる心地よさ。
加えて、開閉の際に指を挟まないデザイン設計がなされているのです。
 

 
私がコンプロットでもっとも感動した部分。それがこの開閉金具。
有機的な木材という素材と対をなす、無機質な機械ギミック。
 
通常の開閉式ペンケースは、ジップなりベルトなり紐なりがペンケースの外部に露出しているのですが、コンプロットは開閉部内部に金具が組み込まれているため、外観は木材の塊。
 
本体に使われる木材は、パーツの組み立てではなく刳物(くりもの)と呼ばれる、木材の塊を刳り抜いて作る製法により 物としての一体感、存在感が半端ないのです。
 

 
前面左右に大きく空いた溝により開閉がし易く、マグネットによる手応えと機械式開閉金具が開いていく様は、なんとも男心をくすぐります。
 
木材の暖かな手触り、角度によって表情を変える美しい杢目。
そして堅牢な作り。堪りませんな!
 

 
蓋の中央には螺鈿細工。
「楔=くさび/せつ」という響きを象徴しているマーク。シンプルでさり気ない、しかし存在感のある印。
 

 
木材という硬質な素材と、エッジの効いた立体的な加工。
万年筆を優しく内包する内張と木材の厚み。この重厚感は他のペンケースには出すことができない、コンプロットのアイデンティティーに他なりません。
(中の万年筆はOMASのアルテイタリアーナ パラゴン)
 

 

さて、続いてコンプロット(ウーノ)のアレンジを含めた様々な使い方をご紹介していきます。
 

 
もともとコンプロットは大型の万年筆がフィットするように作られているように思います。
特にウーノは太軸万年筆一本用として広く認知されている製品。
 
私は様々な太軸万年筆を持っていますが、この中でも木軸であるスティピュラのアメリゴヴェスプッチ(左から2番目)が一番しっくりきていて、現在はこのペンケースに入れる万年筆として定着しています。
アメリゴのチーク材とコンプロットのウォールナットのマッチングはなかなかのもの。
 
他にも、セーラーのプロフェッショナルギアKOPやキングプロフィット、モンブランのマイスターシュテュック#149、ペリカンのM800やM1000、パーカーのデュオフォールド センテニアル、OMASのパラゴン、ビスコンティのマキシサイズ、デルタのドルチェビータ ミディアムオリジナル等、錚々たる太軸万年筆を収納することが可能となっていて、まさに太軸のための木製ペンケースというイメージ。
 

 
150mmを超えるサイズのプラチナ出雲や、NAMIKIの漆コレクション(ともに155mm)などはロングサイズのコンプロット(160mm)が適合します。
(写真はプラチナ 出雲を通常サイズのコンプロットに入れてみたところ)
 

 
モンブランの#149を入れてみました。こちらもピッタリ。
万年筆の王様と言われるモンブラン#149をお持ちの方は多いかと思われますが、このような収納イメージとなります。
 
ということで、#149をベースとした作家コレクション(ヘミングウェイやアレキサンドル・デュマ)もマッチするのではと思いますし、パトロンシリーズ等を入れてもお洒落かと思います。
 

 
もちろん、万年筆に止まらずボールペンも収納可能。
こちらはモンブランのグレートキャラクターズから、JFKモデルのボールペン。
 
ボールペンとしてはかなり大型で重いモデルですが、その重厚感に負けじと劣らずコンプロットが似合います。
 

 
入れるのは太軸だけには止まりません。
お勧めのアレンジとして、通常の細軸ペンシルを入れるペンケースとしても活用できます。
 
ぺんてるのPGやPMG、それをベースとしたカスタムモデルも2本がピタリと収まり、さらに蓋側には細めの消しゴムである「MONO smart」が丁度収まります。
左側のスペースにはシャーペンの芯ケースなども収納可能。
 
ただし、ペンシルのガイドパイプが内装を傷つける(または早期に劣化させる)可能性もあるため、ガイドパイプ側にレザーのハギレなどを噛ませる方が良いかと。
 

 
最後はペントレーとしての活用。
コンプロットは特殊なヒンジ金具により180°開く事ができ、この仕様を利用した使い方となります。
 
デスク上で大型の万年筆をしっかりと保持しながら、サッと取り出して書き始められる。
使わないときは万年筆(と美しいコンプロット)を眺めることもできる。まさに一石二鳥の使い方。
 

 
クリップを持ち上げて万年筆を取り出す、内装の凹みを使って万年筆を取り出す。
 
このように、コンプロット(ウーノ)は、アレンジ次第でも使う愉しさが広がるペンケースと言えますので、既にお使いの方はぜひお試し頂ければと。
そして、太軸万年筆は持っていないけどペンシルが好きという方は、ウーノに2本入れで消しゴム&芯ケースをインするアレンジも良いかと思います。
 

 

さて、今回は堅牢性、ギミック、存在感の三拍子揃ったペンケースとして、工房 楔の「コンプロット」をレポートしました。
 
もともとオマス(KRUGモデル)向けにと買ったコンプロットでしたが、それ以前から手元にあった木軸スティピュラ(アメリゴ・ヴェスプッチ)との相性が良すぎてそっち用となってしまっています…。笑
 
オマス用の別の木軸ペンケースはまた別途レポートするとして…、このコンプロットというペンケースはやはりもの凄い存在感で、作りの良さ、美しい杢目は目を見張るものがあります。
 
持ち運ぶ以外にデスク上での取り回しも効き、様々な使い方ができるうえ、ペンケースにおいて一番大切な「中の筆記具を守る」という部分もしっかりと担保しているコンプロット。
 
ペンケースとしては値は張りますが、まさにその価値に見合った一生モノのペンケースとして良き相棒となってくれることでしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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