新感覚の書き心地!コクヨの高級筆記具「KOKUYO WP」限定モデルを試す【KOKUYO Limited Edition 2024 木軸/ウワミズザクラ レビュー】
皆さんこんばんは。
当ブログでは、メインとしてビジネスシーンに適した「心躍るデザインの高級筆記具」をレビューしています。
そのため、取り上げる筆記具は(私の好みもありますが)国内外の高級筆記具をラインナップしているメーカーが多く、その中でも過去モデルを含めた海外メーカーの万年筆・ボールペン・メカニカルペンシル(シャーペン)が中心となっているのです。
しかしながら、今回の筆記具のレポートは当ブログでは初めて取り上げる どちらかというと普及文房具のラインナップで有名なメーカーの「コクヨ」。
しかもレポートするその筆記具は 私の想像を遙かに超えた製品となります。
「コクヨの予告♪」のCMが耳に残っている方も多いのではないでしょうか?
コクヨは日本国内ではお馴染みの文房具・事務用品メーカーで、創業は1905年。学生時代にはCampusノートやレポート用紙等、コクヨの文房具に大変お世話になったものです。
特に、親しみやすいデザインのジャポニカ学習帳(ショウワノート株式会社)から、お洒落なCampusノートへの切り替えは、自分の背が少し伸びたような感覚があったものです。
コクヨの文房具についてはリーズナブルかつシンプルというイメージが強く、おおよそ高級筆記具のイメージはなかったのですが、それを見事に打ち破り、いよいよ正式に高級筆記具市場に参入したと言っていいでしょう。
今回取り上げるコクヨの高級筆記具ライン「WP(Writing Products)」というモデルが発売されて1年。それを記念して2024年11月にリミテッドエディションとして2つのモデルが数量限定で発売されました。
WP 木軸/ウワミズザクラ(300本限定)
WP 金属軸/オールブラック(700本限定)
ウワミズザクラについては、9月にXにて先行100本の抽選販売キャンペーンを知り、一応 応募したものの連絡がなく落選。(なんと1500を超える応募があったそう)
11月に入って一般販売から数日が過ぎた頃に、ふと思い出したようにコクヨのHPを覗くと奇跡的に買えるようだったので反射的にポチリ。
その後間もなく特設サイトを覗くと売り切れになっていたことから、奇跡的なタイミングで運良く入手することができたと言えます。
あとは実店舗でどれだけの数が販売されているか…。
レギュラーモデルのWPの価格が4,400円に対して、リミテッドモデルのウワミズザクラが33,000円、オールブラックが22,000円とかなり攻めた価格でしたが、ウワミズザクラは少なくとも11月15日の200本の一般発売後、ECサイトは5日ほどで完売。
オールブラックについては11月29日午前に発売され、翌日の午前には売り切れであったことから、ECサイト分は1日足らずで完売したことが分かります。
この結果からも、世間の高級筆記具に向ける感心は拡大してきていると言え、かつ「コクヨのWPファインライター」の人気や書きやすさが証明された、とも言えるのではないでしょうか。
見事に高級筆記具の上位モデル販売を成功し、コクヨが注目すべき高級筆記具ブランドとして一般的に認知されたことは言うまでも無い事実となったわけです。
さて、前置きはこれくらいにして、注目のコクヨ高級筆記具ライン「KOKUYO WP」のリミテッドモデル「木軸/ウワミズザクラ」をレポートしていきたいと思います。
普段はデザインに惚れた廃番モデルを買うことが多いので、新品を買うのは久しぶり。
開封の儀からのスタートとなります。
それでは見ていきましょう。
KOKUYO WPリミテッドのパッケージ
それではまず、パッケージ開封から。
高級筆記具ラインだからこそ拘りが見られるWPのパッケージ。
シックな黒いボックスに「KOKUYO WP」「Limited Edition 2024」のマーク。
ボックスは通常モデルと共通ですが、よりシンプルなロゴのみの印刷で高級時計のようなボックス。
パッケージの中はこのようになっています。
取説に、手元に届いた一本のシリアルナンバーが印刷されたリーフレット類、ファインライター(ブルーブラック)リフィル、白い紙に丁寧に包まれたWP。
中でも「一筆目のための紙」はなかなか洒落ています。
(なんだか勿体なくていつもの紙に一筆目を書いちゃいましたが…)
リミテッドエディションは、ローラーボール(初期装填)とファインライター(追加リフィル)の2本のリフィルが付属しているところもポイント。
ローラーボールの書き味は想像できますが、ファインライターの書き味やいかに…!気になります。
白紙の中には筆記具本体とカラーを合わせたブラウンの本革のペンシース。
リミテッドエディションの木軸/ウワミズザクラは、家具メーカー「カリモク」とのコラボ商品。
ジェットストリーム4&1の限定モデルもそうですが、最近なにかと筆記具業界との積極的なコラボがみられるカリモク。この事からも、筆記具の木軸ブームが今尚健在であることがうかがえます。
樹皮をイメージしたランダムパターンのキャップがお目見え。
胸が高鳴る瞬間…!
木軸モデルの「堪らないポイント」として、天然素材ならではの杢目による表情で、一本一本が異なるデザインとなること。
ウワミズザクラも同様に、切り取られた樹木の部位によって茶色が濃いめ、白っぽいなどの色の違いや杢目の柄など様々な表情の違いが愉しめる他、カリモクによる表面の切削パターンの違いも愉しめるのです。
それではパッケージ開封が終わったところで、次項ではデザインを詳しく見ていくとしましょう。
WPウワミズザクラのデザイン
レギュラーモデルの胴軸とキャップは、アルミ無垢材削り出しにブラスト加工。
レギュラーのフラットなデザインに対して、リミテッドは樹皮をイメージしたランダムパターンが施されたチャコールグレーのアルミニウム製キャップに、マットブラック塗装のクリップ、そして天然木ウワミズザクラの胴軸というカラーコーディネート。
樹皮をイメージしたキャップに天然素材の胴軸という組み合わせが何ともニクい演出です。
杢目の模様に加え、ランダムなパターンで削り出されたライン、一本一本異なる色味。
木軸部分だけでも表情豊かで相当愉しめます。
写真に写すとどうしてもオレンジみが強い色合いになりますが、実際の色はもう少し落ち着いた色となります。
キャップは嵌合式。パチンと嵌合する手応えが心地良い。
首軸の凹みが嵌合に噛んでおり、なんと言いますか普段使っている廃番モデルの嵌合式ペンと比べて安心感があります。キャップが意図せずクルクル回るということもありません。
首軸はブラックスモークの樹脂製で、中のリフィルが透けてみえるデザイン。
クリアではなくブラックスモークになっている事で、口金の金属部分とのカラーマッチングが練られており非常によくできたデザインです。
後ほど詳しく書きますが、リフィルがデザインの一部になっているペンというのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
初期装填されているリフィルは、ローラーボールで字幅は0.5mm。
金属部分は円錐を浅めに三面カットしてある疑似的三角錐となり、グリップ部である首軸にかけて良好な握り心地となっています。
首軸の形は正面から見ると分かりやすいですね。
ペン先にかけて完全な三角軸ではなく、丸軸と三角軸が合わさったような感じ。
寸胴ではないため握る位置によって軸径は変わります。太軸・細軸という概念に囚われない、自分の持ちやすい位置で軸が握れるのは良いこと。
ちなみに数量限定モデルには付きものの「シリアルナンバー」については、首軸と胴軸を分かつネジ切りの部分に密かに刻印されています。
ウワミズザクラは300本限定。
「S/N:IV○○○/300」という表記となっています。
続いてキャップを見ていきましょう。
素材はアルミニウム。キャップ表面には縦溝がランダムに刻まれる「シェーパーカット」と呼ばれる技法が使われ、胴軸の天然木と対をなすように樹皮をイメージしたデザインとなっています。
そして、シンメトリックなキャップと胴軸のシルエットにアクセントを添えるクリップ。
鉄製のクリップにはザラッとしたマットブラック塗装が施されています。
このクリップがバネ式による開閉機構を備えていることと、垂直になるようにデザインされているところに注目したい。
バネ式のクリップは、例えるならファーバーカステルの伯爵コレクションに近いテンション。
最大で5mmほど開き、あらゆる生地に対して難なく挟み込めるという設計です。
そして、天冠に向けて細く絞られていくキャップのシルエットに反して、立てたときにキャップエンドと垂直になるように設置されたクリップの妙がここにあります。
クリップ先の生地を挟む部分には穴が空いており、クリップ先の出っ張りがうまく収まるように設計されているのです。
クリップの凸にキャップの凹。
これにより、しっかりと生地を挟み込むことができつつ、クリップのシルエットも垂直になるようコントロールされているという拘り。シルエットに妥協がありません。
クリップの付け根には「KOKUYO」の刻印。
高級筆記具にはこういった刻印が付きものですが、コクヨの筆記具に印刷ではないこうした刻印が付くことが感慨深い。高級筆記具ブランドとしての「KOKUYO WP」を感じる部分でもあります。
天冠は緩やかなドーム型。
筆記具の形としてはベスト形になるため、尻軸(木軸)も同様の形となります。
デザインとしてはモダンに分類される「KOKUYO WP」。
シンメトリックなシルエットに加え、キャップと胴軸でアシンメトリーな素材。そしてクリップを加えると3つの異なるテクスチャーが絶妙にマッチしています。
スペックは、
全長(携帯時):140㎜
全長(筆記時):124㎜
重量:27g(キャップは11g、胴軸は16g。リフィルの重量含む)
となり、キャップは尻軸にポストは不可ですが、これも筆記バランスを考えてとのこと。
コクヨの高級筆記具「WP」は、2024年リミテッド以降も派生モデルが期待されるところ。
それでは次はローラーボールとファインライターのインクについて裏抜け具合いを検証します。
リフィルの裏抜けテスト(ローラーボールとファインライター)
それではローラーボールおよびファインライターのインクを比較していきましょう。
▲左がローラーボール、右がファインライター
まずは前項でも触れた首軸のデザインにリフィルが絡んでいるという点。
スモークブラックの首軸の中、リフィルに描かれた模様でもリフィルの種類とインクの色を判別できるという仕組み。四角がローラーボールで、三角がファインライター。
もちろん、ペン先を見ても使っているリフィルの違いは分かるのですが、インクの色を模様の色に反映している点は非常に分かりやすいです。
インクの色は現在のところ、ブルーブラック、ダークグリーン、ブラックの3色ですが、渋めのレッドも書き心地としてこのペン先に似合いそうな予感。
(レッドがあれば赤ペン先生御用達になりそう…)
形態は違えど、いずれも水性顔料インクを使ったライティングシステム。
サラッとした書き味と引き換えに、粘度の低さもあり紙面への裏抜けが心配です。
実際、各社の水性インクはだいたいのもので裏抜けが発生。
裏抜けは次ページの見やすさに関わります。なるべく裏抜けのない(少ない)インクを使いたいところ。
使う用紙は当ブログではお馴染みのロディア(メモ)と、推しまくりのPLOTTER純正リフィル。
特にPLOTTERは手帳ですので、ページとして裏面も活用します。
さて、どうなるか。
まずはロディアの方から確認です。
ロディアへの筆記。上がローラーボールで下がファインライター。
どちらも付属していたブルーブラックインク。
目立った裏抜けは見られず、良好な結果といえます。
まず、ローラーボールは一般的な書き味で 濃いめの文字がかける反面、水分量も多いため表面に対しては若干の滲みも発生しています。(滲み具合いについては紙によって変わります)
一方、ファインライターは文字の輪郭がハッキリしていて、滲みもなし。
筆記感について詳しくは後述するのですが、これは新しい筆記感と言いますか、初体験の書き味。
これは凄いぞ…。
字幅については、ローラーボールが0.5mm。ファインライターも字幅表記がF(細字)ですので実質0.5mm程度と思われますが、使っていくうちに太くなっていくようなイメージを勝手ながら持っています。
※イメージであって、この字の細さでインク終了までチップ(ペンポイント)が維持されるとしたら、これまた凄い技術です
紙面を拡大してみました。
ここまで近づくと流石にローラーボールの方は滲みが目立ちますね。
これをローラーボールで書いた文字の「味」と考えられるかどうかは個人差がありそうです。
右のファインライターの文字はツルッとした細いマジックで書いたような筆跡に。
インクの量はローラーボールに比べてコントロールされている印象で、丁度良いインクフロー。
コクヨもこの書き比べをやってほしくて2本の異なるリフィルを付けたのでは?と勘ぐってしまうほど、ファインライターで書いた文字が優秀に感じ、同時にコクヨのファインライターへの自信の現れともとれます。
続いて、PLOTTERの手帳リフィルではどうかというと、これがまたファインライターは素晴らしい結果。
上段がローラーボール、下段がファインライター。
かつ、左側が表、右側が裏となります。
PLOTTERは用紙が薄いため裏抜けの影響を受けやすくなっています。インクの水分量に応じて紙の繊維にインクが広がりやすい(滲む)ことはロディアと同じ。
裏面のアップ。
やはりローラーボールの方は点状にインクの裏抜けがみられるものの、ファインライターの方は裏抜け皆無。裏写りは一般的なレベルでありますが、水性インクでこの結果は凄いとしか言い様がありません。
うーむ…、コクヨのファインライター、恐るべし技術。
ファインライターの独特な書き心地を分析する
素晴らしい書き心地を体験させてくれたファインライター。
巷でよく使われるラッションペンや他のマーカーとの違いは何なのか。
▲上がローラーボール、下がファインライターのリフィル
実は構造的に似て非なるもので、一般的なマーカーに使われる所謂フェルトペンと呼ばれるものとは素材と構造が異なっていました。
公式HPにありますが、ファインライターのペン先(チップ)に秘密が隠されています。
ペン先のインクを含んだ樹脂製のチップには幾つもの細い縦溝が設けられており、その構造が毛細管現象での安定したインク供給とともに ペン先の柔らかさ(しなり)にも一役買っているというもの。
ペン先の球体をペンの運びに連動(回転)させてインクを乗せる構造のボールペンと違い、ファインライターはペンポイントの広さから、ペン先を立てて書いたり寝かせて書いたりといった筆記が可能となります。
よくPARKERの5th技術と比較されますが、インクフローが良く書き味が柔らかいコクヨのファインライターを称える声は多いです。
ローラーボールは油性ボールペンと同じペン先構造により、立てぎみで書く方がかすれが起こりにくい。
言わば、一般的なローラーボールと同じ感覚で書けるローラーボールリフィル。
幅広い角度の筆記に対応できるファインライナーのペン先。
三角錐の首軸と合わせ、非常に良好な書き心地となっています。
▲正面から見ると「ペン先全体がペンポイント」であることがよく分かる
ペン先に通る縦溝はあくまで微細で目視は難しく、まさに柔らかな書き味の秘密が詰まったペン先と言えます。
あとは前述したとおり、その特殊なチップの構造を抱えたペン先が、書き続けることでどのように変化していくのか。そこだけがポイントではないでしょうか。
素材がフェルトではなく樹脂ですので、もしかすると筆圧に耐え続けて良好な書き味と字幅を維持し続ける可能性も高いです。
(一年前から愛用されている方のペン先の変化についてのコメント、是非頂きたいです)
さて、今回はコクヨ「KOKUYO WP」発売一周年を記念した限定モデル「木軸/ウワミズザクラ」をレビューしました。
私にとってはこれが初のWPシリーズで、ペン自体の造りの良さと合わせてファインライターの繊細な書き味に良い意味で驚かされることとなりました。
まず軸は今までにないコンセプトで、ランダムなパターンがキャップと胴軸に配され それでいてシンメトリックなシルエットを有しているというもの。
ウワミズザクラに限らず、今まだ手元には届いていませんが金属軸であるオールブラックについてもランダムな切削が取り入れられています。
そしてファインライターの特殊な書き心地と裏抜けしないインクコントロール。
まだ体験していない方は是非とも試して頂きたい逸品です。
そこに感動があります。
▲モダンなペンとしてこの3本でまとめたくなります
今回のリミテッドエディションはECサイトこそ完売となっていますが、実店舗で見かけることがあったら迷わず「買い」だと思います。そして、次回の限定モデルにも期待が膨らみます。
何にせよ、高級筆記具としてのコクヨの位置が確立されることとなったWPは、注目のペンであることに間違いはありません。
それでは今回はこの辺で。
長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
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