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デルタの万年筆レビューその壱 【ドルチェビータ・ミディアム・オリジナル】

2024年10月27日

さて、今回からあるメーカーの万年筆を継続的にレポートしていきたいと思います。
 
あるメーカーの万年筆とは数々の名品を生み出しながらも2017年の7月から中期休業、2018年の2月に廃業したイタリアはデルタ社の万年筆。
 
デルタといえばドルチェビータが有名ですが、その太陽のように輝くオレンジのレジンを使った煌びやかな万年筆がもう製造されないかと思うととても悲しい気持ちになりますね。
 
私がデルタ社廃業を知ったのがつい先月のことです。2018年の2月に廃業しているので随分後になってから知ったことになります。
 
デルタの万年筆はスクリーニョ、sea wood、ドルチェビータスリムを所有していて自分の中では満足していたためこれ以上デルタの万年筆を買い足すつもりはなかったのですが、遅ればせながらデルタ廃業を知り買わねばいけない(今買っとかないと後々買えない)思いに駆られてしまったのです。
 
以前から地元の文房具店のショーケースに並んでいるドルチェビータミディアムオリジナルの存在には気付いていましたが、デルタ社廃業+太軸好きになってきた病の併発もあり回収に至ったわけです。
 

 
ということでデルタ追悼の1本目はデルタ万年筆の王道、ドルチェビータ・ミディアム・オリジナルのレビュー。
比較の基点として一般的なサイズのドルチェビータスリムを使っていきたいと思います。
 

 

 

 

ドルチェビータの軸を比較

まずはそのお洒落な全体像と軸から見ていきましょう。
 
一発でドルチェビータと分かる煌びやかな佇まいです。
オレンジのレジンは職人が一本一本丁寧に削り出して作り出されています(いました)。
 
個人的にはモンブラン ヘミングウェイやペリカンスーベレーンM800バーントオレンジと並ぶ、黒×オレンジの代表格のような色合いの素晴らしい万年筆だと思います。
 
ドルチェビータコレクションは一番太いミディアム・オリジナルの他に、ピストン吸入機構を備えたピストン・フィリング、軸径の細いスリム、小さめサイズのミニ、デザイン性に優れたパピヨン、全オレンジレジンとバーメイルのオーロ、黒とオレンジのマーブルが美しいマスターピースがあります。
 

▲上がミディアム・オリジナル、下がスリム
 
ミディアム・オリジナルとスリムの軸を比較してみると、私の手元の個体ではスリムの方がオレンジの色合いが濃いです。こうしたひとつひとつの表情の違いがまた持つ喜びを増幅させてくれます。
 

▲左がミディアム・オリジナル、右がスリム
 
尻軸にも違いがあり、ミディアム・オリジナルの方は胴軸と尻軸の境がシルバーのリングにより段差になっています。これは胴軸のオレンジマーブル部分が寸胴のため、キャップを差す時の軸径調整によるものです(尻軸を寸胴の幅に合わせてしまうとキャップが差せなくなる)。
しかしながらこれもうまい具合いにデザイン上のアクセントになっていますね。
 

 
ちなみに太軸の代名詞、モンブランのマイスターシュテュック№149と並べてみてもほぼ同じ軸径となっています。
まさに太軸好きのための太軸万年筆!手のひらに収まった時の安定感というか安心感というか、太軸は書いてて疲れにくいのがいいです。
 

 

ミディアムとスリムのキャップ比較

キャップに焦点を当ててみましょう。
 
ドルチェビータと言えばこのシルバー925のキャップリングとクリップのローラーが特徴的。キャップリングの模様は職人の手彫りでひとつひとつ仕上げられていて非常に味わい深い仕上がりとなっています。
 
購入時は店のショーケースにずっと置かれていたこともありシルバー925の部分が硫化して真っ黒でしたので銀磨きクロスで磨きました。
ちょうどキャップリングの裏側にあたる部分に925の刻印とマークが入っています。
 
改めて見るとミディアム・オリジナルとスリムでかなりキャップの太さが違いますね。
ほんと太軸好きにはたまりません!
 

 
デルタ万年筆の特徴としてキャップにシリアルナンバーとコレクション名が入れられていることが挙げられます。クリップリング下にコレクション名、キャップリング上にはシリアルナンバー。
 
ドルチェビータミディアムの方にはミディアムやオリジナルの表記はなく「DOLCEVITA」とのみ記されていますね。
 

▲左がミディアム・オリジナル、右がスリム
 
デルタというとこの「ニブのマーク」。天冠には金属製のマークが配置され、ニブにも同じマークが刻印されています。
 
クリップの形状はどちらも同じでクリップ先のローラーはポケットの生地を傷めないようにする配慮であると同時にデルタ万年筆のアイコンとも言える存在となっています。
 

 

ペン先を他の万年筆と比較

ペン先を見てみましょう。
 
ペン先は14K-585の大型で、ちょうどペリカンのスーベレーンM800と同じくらいのサイズのペン先です。
太軸と相まってしっかりと筆圧を受け止めてくれる感じ。
 

 
デザインを見ると全白のニブでデルタ社のマークが刻印されています。
 
注目はハート穴がハートであること!
私が持っている万年筆ではプラチナセンチュリー#3776や出雲(プレジデントニブ)に続いてハートのハート穴です。ハート穴はこのドルチェビータという甘い?名前にもピッタリではないですか!
 

▲上がミディアム・オリジナル、下がスリム
 
ペン芯をミディアム・オリジナルとスリムで比較してみます。形状がかなり違っていますね。
 
ミディアム・オリジナルのペン芯はデルタの大型ニブ共通のペン芯で素材はプラスチック。フィンは細めで横から見た形状も非常に美しい形をしています。
 

 
ちなみにドルチェビータのペン先は何年かの製造を境に18金から14金に変更されています。
 
現在は製造されていない万年筆だと考えると、ペン先18金のドルチェビータはかなりのレアものということになりますね。
 

 

筆記感について

字幅はFです。
 
気になる筆記感ですが、弾力があり筆圧を受け止めてくれるような安心感あり。ペリカンほど柔らかくもなく、かといってスチールニブほど硬すぎず。万年筆慣れしていない方でも使いやすいと感じるのではないでしょうか?
よくデルタのペン先は個体差が激しいと言われますが、私が持つもう一本のドルチェビータ・スリムと比べてもさほど大差は無いように思います。
 
どちらも適度なしなりがあり日本語にも適した細い字が書けます。デルタと言いアウロラと言い、どうもイタリア万年筆は細字の傾向にあるようです(ビスコンティは当てはまりませんが)。
 
筆記感とは全く関係が無いのですがハート穴のトリオ+ペリカンM800で字幅を比較してみます。
 

 
個人的には細字が好きなので、このミディアム・オリジナルの極太軸に細字のペン先がなんとも書きやすいです!
 
現在インクはモンブランのトフィーブラウンを入れています。
最初はオレンジのインクを探していたのですが、仕事でもどんどん使いたいので明るいオレンジは一旦置いといてやっぱりブラウンでしょ、ということで。これがなかなかのマッチングでビジネスにも使いやすい。いい色ですトフィーブラウン。
次なるインクは明るめのエルバン/インディアンオレンジでも入れてみようかと思います。
 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。
 
今回からデルタ追悼の意味も込めてデルタ万年筆をフィーチャーしていきます。
 
一本目はデルタの顔とも言えるドルチェビータ・ミディアム・オリジナルを同じくドルチェビータのスリムと比較しながら見てきました。やはり美しいオレンジのレジンと太軸の存在感は所有欲をこれでもかと満たしてくれます。
 
字幅はFですが書き味もイタリア万年筆らしく細字に仕上げられていて、非常に日本語が書きやすい!
細字好きだけど海外メーカーの万年筆は字幅が太めだからと海外メーカーを敬遠されている方にもデルタ万年筆はお勧めできます。
悲しくも廃業してしまったデルタ社ですが、日本の市場からデルタの万年筆が一気に消えたわけではありません。デルタならではの美しい軸を見かけたら、まだある内に回収してコレクションに加えるのも良いかもしれませんね。
 
それではまた。

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