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クロス タウンゼント ローラーボールに万年筆の首軸を着けてシステム化!【CROSS タウンゼント 万年筆のペリカン比較レビュー】

2024年9月23日

皆さんこんにちは。
随分と前、まだこのブログが出だしの頃に「クロス(CROSS)クラシックセンチュリーボールペンのシステム化」というのを書きました。
クロスの筆記具は私が中学生の頃から使っているという事もあり、非常に思い入れのある筆記具。
それから、時を空けてちょくちょくとクロスの筆記具は増えることになります。
 
その後、クロスについてはタウンゼントスターリングシルバーのバリエーションについての記事もやりつつ、いつかはタウンゼントの万年筆も使ってみたいなーなどと考えていました。
 

 
私の中でローラーボールが流行りだした頃、クロスタウンゼントスターリングシルバーのセレクチップローラーボールを使っている時、ふと、クラシックセンチュリーをシステム化していた事を思い出し、セレクチップローラーボールのゲルインク・油性インク・ポーラス芯以外に、その胴軸には「万年筆の首軸」も適合するのではないかと思うようになっていました。
 
ネットで調べてみても具体的な記事がないため、いつかは試してみたいなと思っていましたが、この度タウンゼントの首軸を入手できましたので、満を持して検証しレポートしていこうと思います。
 
それではタウンゼント万年筆のペン先(首軸)はタウンゼントローラーボールに使えるのか。
検証していきます。
 

 

 

 

手に入れたタウンゼント万年筆のペン先(首軸)

今回初めてクロスのペン先を入手し、その出来をまじまじと見ることができました。
 
クロス万年筆のペン先と言えば、ペリカンのペン先を造るメーカー(ヘラウス社)のOEM製品で有名。
やっと手元でそれらをじっくり比較する事ができます。
 
まず、現行のタウンゼントのペン先はステンレス、18金の2種類。
ペンのグレードによって付属するペン先とペン先の装飾/デザインが違います。
 
・マットブラック、クローム、メダリストはステンレスペン先。※メダリストのみステンレスに23金ゴールドプレート装飾
・ブラックラッカーと10金張は18(全金)ペン先。
・ブラックラッカーロジウムプレート、クオーツブルーラッカー、プラチナは18(ロジウムプレート装飾=バイカラー)
 
となっています。
※以前は14金のペン先もあったようですが、現在はラインナップから姿を消しています。
 

 
私が欲しかったのは、もちろん18金バイカラー。
個人的な好みの話ですが、性能の差はともかく見た目でいくと、全金→ステンレス→バイカラーの順で持ちたい欲が高くなります。
 
クロスのペン先はどちらかというとモダンなデザインで、以前にレビューしたクラシックセンチュリーはピッコロさん(の腕)のようなデザインが面白く、センチュリーはどこかアールヌーヴォーなデザイン。
 
そしてタウンゼントは曲線が重なった波紋のようなデザインのペン先で、軸全体のアールデコなデザインととても良くマッチしているのです。
 

 

クロスとペリカンのペン先を比較

前項でも触れたようにクロスとペリカンのペン先は兄弟みたいなものですので性能や見た目は自ずと似てくるはず…。
 
まずはクロスタウンゼントのペン先からじっくり見てきましょう!
 

 
シルエットは意外とスリムでニブの湾曲は深め。
タウンゼントというとクロス筆記具のラインナップではピアレス125に次いで大型のコレクション。しかしながらニブのサイズはさほど大きくありません。
 
サイズ比較については後ほど見ていくとして、ニブのデザインや刻印を見ていきます。
 

 
波紋が重なったようなデザインのニブ。
モダンなデザインにも見えますが、個人的にはニブを含めた首軸全体は中世の騎士的な雰囲気を醸しているように感じます。
 
刻印は上から、「M(字幅)CROSS」「18K 750」。
18金ですのでもともとは金色ですが、ロジウム装飾が施されていて非常に見栄えが良いです。
 
首軸の黒い部分は樹脂のため、握った時に滑らない良好なグリップ感。
スリムな横幅でシュッとしたニブのシルエットと、それを受けるシルバートリム、そして黒い首軸というまとまったデザインが実に格好いいではありませんか!
 
 
続いて、クロスのペン先とペリカンのペン先を比較してきたいと思います。
 

 
左から、ペリカンスーベレーンM400、クロスタウンゼント、クロスクラシックセンチュリー。
並べてみて気付くことが、やはりタウンゼントのペン先は筆記具自体のサイズに対して小さめだということ。
M400とほぼ同サイズです。
 
ニブの形状は、どちらかというとクラシックセンチュリー(通称:ピッコロさん)のニブとM400が似ていて、タウンゼントのニブはM400に比べて横幅がスリムです。
 
ペン芯を比較してみます。
 

 
左がタウンゼント、右がペリカンM400
やはり似ていますね。クロスのペン芯は真ん中から付け根にかけて縦にスリットが入っています。
また、クロスは裏から見るとペン芯に対してニブの横幅がピッタリなのが分かります。
 
2本のペン先の研ぎの違いも面白いです。
(と言ってもクロスがM、ペリカンがEFですが…)
 
ペン先を横から見てみます。
 

 
M400と比較すると、ペン芯のシルエットなどはさすがOEMと言わんばかりに似ています。
ニブの形状はクロスが真っ直ぐ、ペリカンがお辞儀(ペン先が下がっている)と少し違いが見られます。
 

 
ペリカンスーベレーンM800のペン先とも比較。
同じ18金のペン先ですが、M800となると大型のペン先となりタウンゼントのペン先とのサイズ差もこのようになっています。
 
こちらではデザインや大きさの比較となりますが、最後の項ではクロスとペリカンの書き味や字幅の比較もしていきましょう。
 

 

クロスタウンゼントローラーボールのシステム化

さてここからが本題です。
クロスタウンゼントセレクチップローラーボールに万年筆の首軸は装着できるのか。
 

 
ベースとなるのは「クロスタウンゼントスターリングシルバーセレクチップローラーボール」
名前が長い…!
 
革製のペンケースに保管していたせいかシルバー特有の黒ずみが見られます。
タウンゼントスターリングシルバーは現行のモデルラインナップからは外れていますが、たまに某オークションやフリマサイトに出品されますので、スターリングシルバー好きの方はぜひ!
 

 
左が今回入手したタウンゼントの首軸、右がセレクチップローラーボールの首軸です。
首軸の黒い樹脂パーツは同じに見えますが、胴軸との接続部分の金属パーツには違いが見られます。
 
それにしても美しいデザイン…。
ローラーボールの首軸もペリカンと同じくトリムに円盤のような突起が付いていて格好いいです。
 

 
早速、万年筆の首軸をねじ込んでみたところ、やはりピタリと合うではありませんか!
接続部はガタつきやズレもなく、まるで元から万年筆の胴軸だったようなフィット感。
 
しかし、キャップをしてみたところ、ねっとりとした感触と共に根元まで収まるのですがキャップが固定されずくるくると回ってしまいます。
 

 
この万年筆首軸の主であるタウンゼントクオーツブルーラッカーのキャップをスターリングシルバーの胴軸に嵌めてみたところ、問題なく固定されます。何故なのでしょう??
 

 
スターリングシルバーとクオーツブルーラッカーのインナーキャップを見比べてみると全く同じですが、重量を比べてみるとスターリングシルバーが16g、クオーツブルーラッカーが18gと差がありました。
 
素材の違いから来る重量差とも考えられますが、嵌合部のキャップの厚みが違うという可能性もあります。
※キャップ内部及び首軸にマステを巻いても改善されず…謎です。
 
この結果から、ローラーボール軸と万年筆首軸において完全に互換性があるとは言い切れませんでしたが、キャップを付け替える(万年筆首軸+万年筆キャップ+ローラーボール胴軸)ことで使用可能でした。
 
もしかすると同じモデル(例えばスターリングシルバー万年筆×スターリングシルバーローラーボール)であれば完全互換の可能性もありますね。
 

 
タウンゼントセレクチップローラーボールのシステム化の図がこちら。
左側はローラーボールの胴軸に万年筆の首軸。インク補充システムはカートリッジ/コンバーターとなります。
※タウンゼントに使えるコンバーターはネジ式(8756)ではなく差し込み式(8751)の方ですので、購入の際は注意が必要。
 
そして右側がセレクチップローラーボール。
ひとつの首軸で、ゲルインクリフィル・油性ジャンボリフィル、ポーラス芯の3つの書き味が楽しめます。
 
2つの筆記モードで4つの書き方が楽しめる筆記具となりました。
あとはスイッチイットのようなペンシルリフィルが使えれば最高なのですが…()
 

 
ということで、キャップの色は変わりましたが、これはこれでオリジナリティがあって良いかと思います。
クラシックセンチュリーの時もそうでしたが、ある程度システム化できるのがクロス筆記具の醍醐味かも知れません。
 
筆記具の楽しみ方は自由ですので、皆様もお手持ちの軸が複数ある場合このように付け替えで楽しまれてみては如何でしょう。
 

 

クロスタウンゼント万年筆の書き味は

ペリカンの書き味は柔らかく、その虜になったユーザーも多い。
しかし、クロスの万年筆の書き味について書かれた記事や感想はペリカンほど見かけません。
 
それではクロスタウンゼントの18金ペン先の書き味はどうなのか。
早速書いてみましょう。
 

 
まず感じるのが、非常に紙あたりが柔らかいこと。
このあたりはペリカンの書き味に近いです。
 
これは素材が18金ということももちろんあるのでしょうが、細い首軸+胴軸が金属製ということもあり軸の重みで指先の力が抜け楽に筆を走らせることができる点も要因の一つかも知れません。
 
 
タウンゼントスターリングシルバーのキャップを除いた重さがちょうど20g。
同じ18金ペン先のペリカンM800の胴軸が22gということからも非常に似た重量バランスでの筆記感が味わえます。(軸径は全然違いますが…)
 
また、ニブの形状が深い湾曲であることも影響しているのかも知れません。
小さめのペン先に18金の柔らかさと計算された深い湾曲の形状、ペリカンと似たペン芯から運ばれるインク。
このペン先は素晴らしいバランスで成り立っていると感じます。
 
今まで使ってきたクロスの万年筆がすべてスチールペン先だったこともありますが、タウンゼントはクロスを代表する筆記具だけあってとても書きやすい万年筆です。
 

 
欲を言うなれば、私的にはもう少しだけ首軸が太くても良かったかなと思います。
まあ、そうだった場合、この美しいシルエットは崩れてしまうのですけど…。
 
タウンゼントは、細身の筆記具が多いクロスのラインナップの中で 女性男性どちらでも満足できるサイズと重量に造られているのではないでしょうか。
ホント、ペン先の書き味はすこぶる良いです!
 

 

次にクロスタウンゼント万年筆の書き味とペリカン万年筆の書き味の比較をしていきます。
 
比較するのはこの4本。
 

 
左から、クロスのタウンゼントとピッコロさん(クラシックセンチュリー)、ペリカンのスーベレーンM800M400です。
 
ペン先のスペックは、
タウンゼント:18金の字幅M
ピッコロさん:スチールの字幅F
M80018金の字幅F
M40014金の字幅EF
 
ピッコロさんのみスチールで他は金ペン。
早速書いてみます。
 

 
紙はお馴染みロディアの5mm方眼。
文字の太さですが、タウンゼントのMとペリカンのFが同じくらいの字幅。ピッコロさんもFですがクロスの万年筆は全体的に細めなのかEF並みに細い(ペリカンのEFより細く感じる)です。
 
確かにペリカンとクロス、特に18金同士では書き味が似ていると言えば似てますが、クロスはペリカンほどしなる感じはなく、芯がありながら紙へのタッチが柔らかい印象。
 
M400との書き味の違いですが柔らかさはタウンゼントの方があり、滑りも良く とめ・はね・はらいがしやすいです。
M400はEFということもあるのでしょうが、筆圧に対するペン先の反応は少なめで安定した細字が書けるという具合いです。
 

 
クロスとペリカンのペン先を前から見てみるとペリカンのペン先が横に広く、クロスは綺麗なアーチ型だということが見て取れます。前から見たペン芯の形状は同じ、ペン先の研ぎの違いもよく分かります。
 

 
最後に今回の4本のサイズ比較です。
左からタウンゼント、ピッコロさん、ペリカンM800M400
全長は圧倒的にタウンゼントが長いですが(というよりクロスの筆記具全般の全長が長い)、太さはペリカンに軍配が挙がります。
ペリカンの良さは軽さとこの軸径のバランスが良いことだと考えます。
逆にクロスは軸は細くても金属軸のため筆記が安定し、結果 使いやすく感じるわけですね。
 

 

さて、今回はクロス(CROSS)タウンゼントセレクチップローラーボールに万年筆のペン先は使えるのか?を検証し、その書き味についても比較してきました。
 
クロスの万年筆と言うと「ペリカンのOEMでしょ?」なんて声が聞こえてきそうですが、クロスはクロスで独自の味付けがされており、ペン先の格好いいデザインも相まってペリカンとは異なった個性が発揮されています。
 
クロスはアメリカの歴代大統領が使っている筆記具と言うだけあって伊達ではありません。
※トランプ大統領はセンチュリーⅡのセレクチップローラーボール、元大統領のオバマ氏はタウンゼントボールペン後にセンチュリーⅡ等
 

 
上記のようにボールペンが有名なメーカーですが、その陰に隠れながら 万年筆も素晴らしい出来です。
特にタウンゼントローラーボールは首軸を交換することで何役もこなせますので、そういった楽しみ方をされたい方や、荷物を少しでも減らしたい出張のお供に最適な筆記具かも知れません。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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