ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
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実はコンバーター使用可能!? カヴェコ アルスポーツ(ALスポーツ) ストーンウォッシュ ブルー 万年筆のレビュー

2024年10月28日

皆さんこんにちは。
 
筆記具の沼には様々な種類があります。それが万年筆なのかボールペンなのかペンシルなのか、はたまた廃番沼なのか。その沼の向こうにはメーカーごとの沼があったり、横にはインク沼があったりと…。
筆記具沼はいくつも枝分かれしていて、とてつもなく広くて、容易くは知り尽くすことのできない奥深さがあります。
 
今回はそんな広い沼の中で、また新しい沼みつけてもうたー。という記事です。
「新しい沼」と言ってもそれは私個人の話で、沼は何十年もずっと前からそこにあって、ずっとその沼に浸かっている方もいらっしゃるわけですね。そこがまさに面白いところ。
 
今まで培ってきた私の万年筆への考え方を180°覆すパンチがある沼でした。
その沼の名前は「カヴェコ(Kaweco)」。
 

 
そうです。私も過去に一度その沼に入ったことがあります()
しかし今回の沼は、その時気付かなかった真横の沼です。まさに灯台もと暗し!
 
マイスターシュテュック#149を手にした日から、大きく太い万年筆が書きやすく、豪華で煌びやかな軸ほど価値があると思い込んでいましたが、カヴェコを触って、そして書いてみてそんな考え方ばかりではないという事に気づけました。
 
カヴェコはドイツのメーカーですが、一般的にモンブランやペリカンやファーバーカステルほど名が通っているわけではありません。でも昔からある筆記具メーカーなんですね。
ものすごくシンプルにカヴェコの沿革を書いてみると、1883年にドイツで創業され社名は創業者2名の名前をとってつけられました。1976年に一旦廃業するも、1995年にグットバレット社により復刻、現在に至る。
 

 
ということで今買えるカヴェコの筆記具は復刻版ということになります。
しかし単なる復刻版ではなく、現代にアレンジされた新しい筆記具が今も生まれ続けていて、そのデザインや多様性が今も多くのファンを惹きつけてやまないのです。
 
それではカヴェコの筆記具の中から「ALスポーツ ストーンウォッシュ ブルー」をレビューします。
夏にピッタリの爽やかな万年筆です。
 

 

 

 

筆記具の「小さな巨人」カヴェコスポーツ

イギリスのローバー・ミニを知っている方なら、この「小さな巨人」という言葉にピンとくるかも知れません。(ローバーはBMWに買収され、現在ミニのブランドはBMWの所有となっている)
 
カヴェコのALスポーツを使ってみて、真っ先に思い浮かんだのがローバー・ミニでした。
コンパクトで機能的な面が、私が昔乗っていた青いローバー・ミニ・メイフェアとリンクします。
コンパクトだけど密度感があり、キャップをポストすれば書きやすく、そしてカスタマイズ性がある。小さくてもしっかり万年筆しているところが◎。
 

 
用が無くても手の中でついつい転がしてしまうサイズ感。
例えば同じドイツはのペリカンスーベレーンM400と比べてもこの小ささです。
 

 
ただ小さいのでは書きにくいだけですが、カヴェコスポーツはキャップを尻軸にポストすることで通常サイズの万年筆に早変わり。
この辺りからも非常に良くできた万年筆だということが覗えます。
 

 

次に質感を見ていきましょう。
カヴェコのスポーツシリーズでALスポーツはアルミ製です。ALスポーツの中でもストーンウォッシュと呼ばれるものはエッジの塗装が削られており、爽やかな色味の中にも使い古したヴィンテージ感がある珍しい仕上げとなっています。このアルミのヒンヤリ感もたまりません。
とにかくこの表面の仕上げが美しく、ずっと触っていたい衝動に駆られます。
 

 
キャップはネジ式で精密感あり。先にも書いたようにキャップを尻軸にポストすることで書きやすい長さになります。
天冠にはカヴェコのマーク。ALスポーツはキャップのメーカーロゴとマークとニブがシルバーで統一されています。
 

 
デフォルトで装着されているニブはスチール製の中字(M)。モデルによってゴールドとシルバーの2色があります。「デフォルトで装着されている」と書いたのは、ペン先の交換が比較的「安価」かつ「簡単」にできるため。
正規取り扱い店舗で交換してもらうか、ネットでペン先だけを買って自分で交換できます。
 
例えば字幅はEFでニブ色はゴールドといった組み合わせも簡単にできるのです。これは面白い仕組み!
※ペン先交換が可能なのはブラス・ALACといった金属モデル。樹脂モデルはペン先ユニットの交換となる
 

 

魅力はカスタマイズ性とサイズ

現代に蘇ったカヴェコスポーツの面白いところは、そのカスタマイズ性にあります。
先に書いたペン先交換については、スチール(シルバー・ゴールド)の他、14金ペン先(ゴールド・バイカラー)も用意されていて、しかも字幅もEFFMBBBと幅広い選択肢。
しかもしかも、カリグラフィーのような特殊なペン先もあるのです!これは楽しい!
 

 
また、今回レビューするALスポーツにも着けていますが、クリップも選択式なのが嬉しい。
ペンにクリップはいらぬ、という方からペンはクリップがないと使えない、という方どちらにも対応可能。
 

▲左がエイトシェイプクリップ、右がクリップN
 
デフォルトはクリップ無しのフォルムですが、オプションでクラシックな趣のクリップNとシンプルなエイトシェイプクリップから選んで着けることができます。
しかもカラーも、クリップNはシルバー・ゴールド・ブロンズ・ブラックの4通り、エイトシェイプクリップはシルバー・ゴールドの2種類から選択可能!
 
さらにさらに、様々なカラーラインナップにより樹脂モデルなら樹脂モデル、アルミならアルミといった同じモデル同士でキャップ・胴軸・首軸の交換が可能なのです。
 
例えば、キャップはレッド+胴軸はホワイトにして日の丸カラーを楽しんでみたり、キャップはアルミ(グロス)+ゴールドのクリップN+胴軸はブラックでモンブランのソリテールっぽくすることも可。
オリジナルのカヴェコスポーツに仕上げることもできます。
 

 
もう一つの魅力としてそのコンパクトなサイズがあります。
一般的な万年筆だとキャップを閉めている時の全長が約130150mmですが、カヴェコスポーツは約106mmしかありません。本当に手の中にすっぽりと収まるサイズ。
 
カヴェコスポーツは携帯性とコレクション性の両方を備えた万年筆と言えます。
樹脂製のクラシックスポーツ、スカイラインスポーツ、フォロステッドスポーツ、アイススポーツは重量も非常に軽く約11g。値段も3240円と安いためついつい手が出てしまいます。
 
ペンケースに入れてもかさばらず、ポケットに挿してもさほど重さを感じない。

カメラ等と同じで「機動力」という非常に重要な要素が備わっているため、出番も必然的に増えていくのです。

 

 

実は使える?ALスポーツでミニコンバーター

ALスポーツを使う上で惜しい点が「カートリッジ専用」ということではないでしょうか。
しかしながら、スペック上はカートリッジ専用となってはいるものの腑に落ちない点があります。
 
それはペン先の対応モデルを確認すると顕著なのですが、ペン先交換の対応モデルが「ブラススポーツ/ACスポーツ/ルックス/アルスポーツ・アルミ/スチューデント/スペシャル/ストーンウォッシュ/DIA/リリプット」となっています。
ペン先とはニブの部分だけではなく、ペン芯のユニットが一体になった部分です。
 

 

次にミニコンバーター2の対応モデルが「クラシック/スカイライン/アイス/フロステッド/ブラス」です。ブラスはペン先交換とミニコンバーター2の両方に対応していることになります。
私が感じる違和感はここです。
 
ペン芯を交換できるブラススポーツはミニコンバーター2に対応している。ブラススポーツと同じペン芯に交換できる金属モデルのALスポーツシリーズはミニコンバーター2に対応していない。
ということは首軸内の構造をわざわざ変えている?そんなことがあるのでしょうか。
 
首軸内の構造はペン芯を緩みガタつきなく収めるために統一されているはずです。
ということは、ブラスで使えるミニコンバーター2はブラスと同じペン芯に対応する金属モデルのALスポーツにも使えるはず!
というのが私の理論です。
 

 
ということで、実際にALスポーツストーンウォッシュに差し込んでみたところ、普通に嵌まって、インクも吸入できて、インク漏れもなく使えています。
 
なんだ普通に使えるじゃないか…。
※スペック上はブラス以外の金属モデルはミニコンバーター2に対応していないため、あくまで自己責任となります。試される方はご注意ください。
 

 

小さいけど書きやすいのがカヴェコスポーツ!

コンパクトで携帯性に優れ、色々カスタマイズできるのはよく分かりました。
でも万年筆にとって肝心な「書き味」はどうなのか。
 
ということで最後は筆記感についてです。いくら機動力があっても万年筆として気持ちよく使えなければ意味がありませんからね。
 

 
結論から申し上げると…、素晴らしく書きやすいです。
カヴェコスポーツの万年筆はデフォルトで中字()が装着されていると前述したところですが、この中字が素晴らしく書きやすい。
 
スチールニブなのですがカリカリな感じはせず、とても柔らかなタッチ。
文字の太さは一般的なMといった感じですが、インクフローも良く書いている途中でかすれることもありません。この書き味も含めて「カヴェコスポーツの機動力」だということを思い知らされます。
 

 
ついでにニブの刻印は、上品な飾り細工の下に「GERMANY」と「since1883」、そしてカヴェコのマーク。その下に字幅(M)の刻印が続きます。
シルバーのニブも良いのですが、やはり最終目標はなんと言っても14金のバイカラーニブですね!
 

 
ペン芯はプラスチック製。字幅表記は無しでこちらにもカヴェコのマークがついています。
この辺のデザインも抜かりがなくお洒落。
 
キャップを外した状態(ペン先から尻軸まで)の長さが約100mm。このままの状態ではお世辞にも書きやすいとは言えませんので、尻軸にキャップをポストして使うのが良いでしょう。
 

 
キャップをポストした状態だと全長が約130mmで一般的な万年筆の長さになります。
ALスポーツはアルミでできているため程よい重量がありストレス無く書くことができます。これは本当に書きやすい!
 

 
さて、今回はカヴェコのALスポーツストーンウォッシュブルーをレビューしました。
 
非常にまずいことに、次なるモデルも気になり始めてしまっています。しかも、クラシックスポーツやスカイラインスポーツ、透明軸のアイススポーツのような3240円で手に入るモデルを何本か買って入れ替えカスタマイズしたい!などと思い始めてしまっています。
 
それもこれもカヴェコスポーツの楽しみ方なのですが、あまり増えすぎないように注意しながら、またこのコンパクトで魅力的な筆記具をレポートしていけたらいいなと思います。
それでは今回もお読み頂きありがとうございました。

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