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モンブラン マイスターシュテュック ソリテール ドゥエ #1441 万年筆 比較レビュー 【モンブランの偽物を回避するための情報】

2024年2月4日

令和になって早一ヶ月が過ぎました。
巷では新元号記念筆として筆記具を買ったという話が絶えませんが、私も例外なく令和記念筆を入手しましたのでレポートしていきます。
 
今まで筆記具は結構ベーシックなモデルばかりを買ってきたわけですが、記念となり得る筆記具は何かを考えた時、やはり大好きな万年筆にしようと。
そしてどうせなら仕事で一番利用率の高いモンブランで、まだ#144を持ってないし#144にしようかななどと色々考えていたのですが、単に#144では面白くないのでどうせなら前々から憧れていた上位モデルのマイスターシュテュックソリテールドゥエに!となったわけです。
なんだか響きもお洒落ですし、ソリテールドゥエ…。
 

 
ソリテールと言えば、スターリングシルバーの軸に豪華な装飾を施したものがイメージされますが、ここはシルバーとゴールドのキャップに樹脂軸であるドゥエがスマートで良いかなと思い、#144からの派生である#1441の購入に至りました。
 
ソリテールというとその価値の高さからコピー品も多数出回っていますので、手元にあるソリテールドゥエを細かく分析して詳細を共有することで、偽物を掴まないようにしよう!という記事にしていきます。
それでは早速見ていきましょう。
 

 

 

ソリテールドゥエのサイズ感とスペック

マイスターシュテュックソリテールドゥエ#1441は、ベースモデルが#144となっているためサイズが非常にコンパクト。ペンケースから出して使うというよりは胸ポケットに挿して持ち運ぶのに適したサイズとなっています。
 

 
マイスターシュテュックで一番使われている方が多いであろう、ボールペンの#164とサイズの比較をしてみるとこの通り。長さや軸径もほぼ同じで、さしずめ#164の万年筆ラインといった感じです。
残念ながら#1441含む#144シリーズは2000年初頭に廃番となっているため新品で手に入れることは難しくなっています。
 

 
天冠のサイズやホワイトスターの大きさも同じ。ソリテールということで天冠にはシルバーの装飾が施されていて見た目の豪華さがグンとアップしています。
これはストライプモデルですがこのデザインの密度感がたまりません。
 

 
左から#164(ボールペン)、#1441、#145。
#144シリーズが廃番となって、現在は#145が後継にあたります。全長や軸径が若干サイズアップしており、大きく違うところはキャップが嵌合式からスクリュー式になったこと。
#144シリーズはインク漏れの症状がしばしば報告されていたらしく、インク漏れやペン先の乾燥に強いスクリュー式にアップデートされたようです。手元の個体は今のところインク漏れの症状は確認できていません。
 

 
持ってみた感じですが、慣れ親しんだボールペンの#164とほぼ同じ感覚で握ることができます。
キャップがスターリングシルバーのためリアヘビーは否めません。しかしキャップを外して書くには軸が軽くて落ち着かないため、#144シリーズはキャップを尻軸に差して使うのが一般的です。
 
ソリテールの場合、指の股にキャップを乗せてそこでバランスをとりペン先を動かすと使いやすいです。軸が細いためリアヘビーと言ってもペン先が浮くような引っ張られ感はありません。
 

 

ソリテールのキャップの刻印詳細

ソリテールはスターリングシルバー製キャップということもあり、あちこちに刻印が見られます。
刻印は製造年代やモデルによって様々かとは思いますが、とりあえず手元にあるソリテールドゥエの刻印を片っ端から確認していきたいと思います。
 

 
まずは一番分かりやすい所として、キャップの横にある「925」のマーク刻印。スターリングシルバーにはお馴染みの刻印で、銀の含有率が92.5%ということですね。
ソリテール偽物の見分け方としてこの925刻印の他にシルバー部分に「くすみ」があるかも有力な判断基準です。磨いてあるものを除き廃番品のほとんどは何かしらのすくみ(硫化)は見られるはずです。
しかしシルバー925(シルバープレート?)を使ったコピー品もあるようなので油断はできませんが…。
 

 
キャップリングの刻印やリングの間隔なども偽物と本物ではまるで違います。(よく見かける分かりやすい偽物は文字刻印の上下が黒いラインの溝になっている)
90年代からのマイスターシュテュックの文字の刻印は太めの字体で「U」のウムラウトも2つ。文字をじっくり見ても細かな斜め線の彫刻が美しいですね。
 

 
続いてクリップリングの刻印はどうでしょう。
クリップの右側にシリアルナンバー、クリップ反対側に「GERMANY」、そして左側に「METAL2」の刻印があります。
この「METAL2」という素材?の刻印がどういった意味なのかは分かりませんが、通常モデルのマイスターシュテュックには無い刻印ですのでソリテールならではの刻印と言えそうです。
 
というところでキャップの刻印は以上かな、と思いきや…
クリップの裏にも気付きにくい小さな文字で刻印がありました!
 

 
「LAITON」(真鍮)と刻印されています。
かなり小さい刻印なのでクリップ裏を綿棒で掃除しなければ気付かないところでした。これも素材の刻印ということになりますが、METALといいこの頃の(ソリテールの?)マイスターシュテュックには素材の刻印を入れるのが流行っていたのでしょうか。
 
マイスターシュテュックのクリップ裏の刻印には様々あって、現行品には「Pix®」、Pix®刻印が入る前は「刻印なし」が一般的に認知されています。
それ以外のパターンとして「Made in Germany」や「METAL」と入っているものもあります。私も今までに様々なマイスターシュテュック(主に#164ボールペン)を見てきましたが、この「Pix®」以外の刻印については並行輸入品に見られるように思います。
 
それが精巧なコピー品である可能性以外に、ドイツから日本以外への輸出の際に付けられる刻印の可能性もあります。何にせよ、一番安心できるのは信頼のおけるモンブランショップか行きつけの文房具店でしょう。
 

 
ついでに、キャップではないのですが胴軸にも刻印がありました。
胴軸の嵌合部分のリングにも小さく「METAL」の刻印。
この万年筆が発売された頃、金属パーツにはMETALの刻印を付けるよう義務づけられてでもいたのでしょうか。そのくらいあちこちに素材の刻印があります。
ここまでくると隠れミッキーでも探すような感覚ですね。
 

 

マイスターシュテュックで比較

続いてマイスターシュテュックでサイズの比較やペン先の比較を行います。
同じシリーズの筆記具でこれほど種類が多いのはモンブランのマイスターシュテュックかペリカンのスーベレーンかというところでしょう。
 

 
左から#1441、#145、#146、#149。
#1441を手に入れてこれがやりたかったというのも正直あります。全長の比較は見事に#1441から右に行くほど大きくなっていきます。あとここに無い万年筆はモーツァルトとトラベラーでしょうか。
 
以前の記事にも書きましたが、マイスターシュテュックの面白い点として、ペンのサイズは違えどクリップの長さが同じ、クリップリングや尻軸のリングの幅も同じということが挙げられます。※モーツァルトだけ例外
大まかに見て横幅が違うだけという、ここまで徹底されたシリーズの統一感は流石としか言い様がありません。
 

 
次にホワイトスターを並べてみました。
ペンのサイズは違いますがホワイトスターの大きさも同じ。唯一手元の個体では#149のホワイトスターだけ小ぶりです。(70年代後半~80年代にかけての#149の一部の個体に見られる)
ソリテールの天冠は豪華でいいですね!
 

 
マイスターシュテュック比較の最後はペン先です。
左から、#1441、#145、#146(1980年代)、#146(現行)、#149(1970年代後期~80年代初頭)。
なかなかいい絵面です。#144と#145のペン先のサイズは同じなのですが、14Kと18Kでニブの長さが少し違うようです。ニブの刻印が18Kの方が多いからでしょうか。
 
並べてみると手持ちのマイスターシュテュックでは18Kは#1441のみで、あとは全て14Kです。こうなると現行の白帯ニブの#149も揃えたくなってしまいますね。
 
筆記感ですが、この中では全金の#146(1980年代製)が一番書き味が柔らかく感じました。#146(現行)と#149はインクフロー良好。小さいニブの#145と#1441はインクフローは渋めで細い字が書けます。#1441についてはペン芯のクリーニングかペン先調整を行う必要があるのかも知れません。
 

 

#1441のペン先と書き心地について

最後の項は、ペン先を詳しく見ていきます。
 

 
小型だが非常に形の良い18Kペン先のニブ。刻印はモンブランお馴染みのマークに「4810 18K MONTBLANC 750」。
#144シリーズはバイカラーニブと全金ニブがあり、素材は14Kもあり。首軸のメッキ部分は長い間インクを入れたまま放置されていたのか、よくある腐食が見られます。
 

 
ペン芯はプラスチックペン芯。
大きな2本の縦溝が入っていますが、#144の初期型は溝がなくフラットなペン芯となっています。この#144のあっさりし過ぎのペン芯は個人的にはあまり好みではなく、#145のような横溝のペン芯の方が好きですね。このペン芯の形状は先にも書いたインク漏れの要因の一つだったのかもしれません。
 

 
インク供給はカートリッジ/コンバーター式。
私はもちろんコンバーター派のためペン先からインクをちゅうちゅうするためコンバーターを装着しています。コンバータにも「MONTBLANC GERMANY」の刻印。
インクの吸入量は海外メーカーにしては多めに入ると感じました。ペン先洗浄時のインク切れも良い感じです。
 

 
#1441、#146、#149で書き比べます。
マイスターシュテュックにはブルーブラックのインクを入れて楽しみたい。#1441の書き味ですが、ペン芯にインクの汚れが付着している可能性もあり少し渋めでペン先も少し硬め。
しかしかすれることも無く軽快な書き心地で、ペン自体の軽さもあって非常に取り回しがよい万年筆となっています。
 
対して全金#146は柔らかいタッチでインクもスルスルと出てきます。流石は一番使いやすいマイスターシュテュックと言われるだけはありますね。#149はペンドクターの川口先生に調整して頂いたため言うこと無しのインクフローと書き心地!
ちなみにインクは#1441がペリカンのブルーブラック、#146がモンブランのブルーブラック、#149がモンブランのミッドナイトブルーです。
 

 
今回はモンブランマイスターシュテュックソリテールドゥエをレポートしてきました。
 
キャップや軸をじっくり見ていくと様々な刻印があり特別なモデルだということがうかがえます。ソリテールは様々な模様のものがありますが中古市場で一番良く見かけるのがストライプとバーレイ。
生産が終了しているモデルということで、ネットで探す際は今回の記事のキャップの刻印を参考にしていただけたらと思います。
 
この#1441の「#164ボールペンと同じサイズ感」というのが個人的にはかなり使いやすく感じています。キャップの嵌合もしっかりしており今のところペン先が乾くということやインク漏れもありませんので、スーツのポケットに挿して仕事でどんどん使っていきたいと思います。
 
長い記事になりましたが最期までお読み頂きありがとうございました。
皆さんも良い新元号筆に出会えますよう!それではまた。

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