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小は大を兼ねる!?ミニ万年筆を携帯する喜びとは【モンテグラッパ ミクラ 万年筆レビュー】

2024年10月2日

皆さんこんにちは。
最近、小型の筆記具にハマっていまして気付けば増えているという状態です。
 
よく「大は小を兼ねる」と言いますが、こと万年筆においては「小は大を兼ねる」という言葉が通用するのではないかと思うのです。
 
小さな万年筆のメリットとはどこにあるのでしょう?
逆に、大きな万年筆のメリットとは?
なぜ万年筆には様々な大きさのものがあるのでしょうか?
 
そんなことを考え出すと切りが無いのですが、小さな万年筆についてはやはり携帯性に優れることが一番のメリットではないでしょうか。
「好きな万年筆を制限なく持ち運べる」これほど楽しいことはありません。
 

 
小型で携帯性に優れる=何かの機能が省かれている、世の中にはそういうモノもあるでしょう。
 
しかし、万年筆はというと、小さいからと言って書き味が悪くなるわけではなく、万年筆としての機能・性能や書くという行為の何かが制限されるわけでもありません。
 
小さな万年筆は大きな万年筆でできることは全てできます。※
むしろそこに「携帯性」がプラスされているわけです。
※一部例外の万年筆があり、例えばモンブランのマイスターシュテュックはデザインは同じものの#114と#146(149)ではインク吸入方式が違ったりします。(その点、ペリカンはすごいかも…)
 
ですので、小型万年筆は「小は大を兼ねる」と言えるのです。
 
さておき、今回の小型万年筆はモンテグラッパの「ミクラ」万年筆。
この拘りが詰め込まれた万年筆を比較を交えながら見ていきましょう。
 

 

 

 

「小は大を兼ねる」

まずは小さな万年筆の魅力について迫っていきたいと思います。
 

 
ミクラは携帯時の全長が109mmの非常にコンパクトな万年筆。
キャップを外した時の全長も100mm程度です。
 
言わば、セーラーのプロギアスリムミニやモンブランのマイスターシュテュック#114、カヴェコスポーツのようなサイズ感の小型万年筆。
 

 
小型万年筆の良いところは、手のひらに収まるサイズで持ち運びが楽ということ。
筆記時にはキャップを尻軸にポストすることで しっかりと書きやすい長さにする事ができます。
 
冒頭でも書きましたが、小さいからといって機能面で劣ったり造りに手が抜いてあるわけでは無いのがポイントなのです。
 
ミクラはマーブルのアクリルレジン(明記は無いのですが触り心地がアクリルに近い)に金属部分はシルバー925という懲りよう。
そして小さいながらもカートリッジ/コンバーター両様式で18金ペン先。
 
詳細については次項で詳しく見ていくとして、モンテグラッパ ミクラは まさに万年筆において必要な快適に書くための要素と所有満足感の両方を満たす、全てを詰め込んだ小型万年筆と言えます。
 
それではサイズ感の比較をしていきましょう。
 

▲左からパイロットカスタム74、デルタドルチェビータスリム、モンテグラッパミクラ、アウロラオプティマ
 
ミクラ以外は一般的なサイズの万年筆。
全長約20mm30mmの違いですが、携帯性には大きく差が出ます。
 

 
所有満足感で言うとこの中ではデルタのドルチェビータに近いでしょうか。
美しいマーブルレジンにシルバー925の金属パーツ、ペン先についてはドルチェビータの14金に対してミクラは18金とむしろ素材はミクラが上を行っています。
 
続いて同じサイズ感の3本を比較します。
 

 
左から、モンブラン マイスターシュテュック#114、モンテグラッパ ミクラ、カヴェコ ALスポーツ。
携帯時のサイズ感はほぼ同じで、この3本の中ではミクラの胴軸径が一番太くなっています。
 

 
キャップを外したところ。
この状態の3本の全長はほぼ同じですね。三者三様の独特なデザインがあって面白いです。
 

 
それぞれの尻軸にキャップをポストしてみるとこうなります。
ミクラが一番長く、モンブラン#114が一番コンパクト。#114とミクラは尻軸にネジ切りがしてあるのですが、ミクラの方が尻軸先端寄りにネジ切りがありキャップの装着部も浅いのが特徴。
 
このようにモンテグラッパ ミクラは、コンパクトでありながらマーブルレジン・シルバー92518金ペン先、そして筆記時には十分な長さが確保されている、小型万年筆の中でも所有満足度の高い万年筆と言えます。
 

 

モンテグラッパ ミクラのデザイン

続いてミクラのデザインの詳細を見ていきます。
 

 
透明感のあるブラックのマーブルレジン。
ミクラは生産終了品ですが、他にもブルーやレッド、オレンジ、ホワイト、ピンクといったカラフルな色味でラインナップされていました。
 

 
寄ってみると見る角度によって表情を変える、粒子の細かい美しいマーブルレジンが確認できます。
軸の形が八角形と立体的になっているため多角的に光を反射する様が美しい…。
 

 
キャップリング等の金属パーツはスターリングシルバー。
刻印に「925 ☆1055VI」とあります。手元の固体はシルバーがかなりくすんできていますが、シルバー磨きクロス等で磨くことで美しさを取り戻すことができます。
 
万年筆の金属部分にシルバー925を使うのはモンテグラッパのお家芸で、古くからこのスタイルで筆記具が造られています。
このガンメタっぽく変化したままのシルバーもなかなか渋いのではないでしょうか。
 

 
キャップリングの反対側には「Montegrappa」の刻印。
丁寧に手作業で打たれたことがよく分かる刻印です。こういったさりげない刻印もお洒落。
 

 
クリップのデザインです。
イタリア軸っぽい形と言うと語弊があるかも知れませんが、アウロラのような優美な曲線を描いたクリップ形状です。クリップの素材もシルバー925
クリップ先にはポケットの記事を傷めないようにローラーが付いていますね。これはこれでデルタやレオナルドの万年筆のような特徴です。
 

 
ちなみにクリップで隠れた部分のキャップにはデュオフォールドのような穴があいています。
ヴィンテージの万年筆ではないので、これがあることでペン先が乾く事はありませんが気になる場合は塞いでも良さそうです。
 
ついでにクリップの形状を先ほどのイタリア万年筆3本で比較してみました。
 

▲上からアウロラ、デルタ、モンテグラッパ
 
クリップ自体の形はアウロラのようで、クリップ先はローラーが付いているデルタのよう。何だか2本がうまい具合にミックスされたような機能的で優美なクリップです。
 

 
天冠にはこれまたシルバー925のパーツが象嵌されていて、モンテグラッパの歴史を感じる1912という刻印。
筆記具の歴史としては古い部類に入るメーカーで、イタリア最古の筆記具メーカーとしても有名です。
 

 
尻軸にはキャップを収めるための太いネジ切りが施されています。
パーツの造りはかなり分厚く堅牢にできていて、ネジ切りもキャップの根元で止まるためグラつきがありません。
 

 

ミクラの書き心地を検証

それではミクラの18金小型ペン先の書き心地はどうなのかを見ていきます。
 
その前にニブのデザインやペン芯について見ていきましょう。
 

 
ミクラのニブは18金バイカラー。
このサイズで18金というだけでも珍しいのですが、さらにバイカラー仕様となっています。
うーむ、個人的に大好きなんですよねバイカラーニブ。
 
ニブのデザインはイタリア製万年筆らしい(?)グレカパターン。
刻印は、創業年の「1912」「Montegrappa」「ITALY」「M(字幅)」となっていて18K等の素材を表す刻印は無し。
 
それにしても複雑なグレカパターンが効いていて非常に良くできたニブのデザインです。
モンブラン・ペリカン・パーカーに匹敵する完成されたニブデザインだと個人的に思いますが如何でしょう?
 

 
ついでに首軸の素材もシルバー925です。
首軸から胴軸にかけてのラインも美しく、ちょうどネジ切りの辺りを握ることになるのでグリップ感も良好。
 

 
ペン芯については年代によりエボナイトのものとプラスチックのものがあるようです。
ネットの情報ですとミクラのペン芯にはエボナイトが使われているとのことですが、こちらの個体は見るからにプラスチックなので年代により多少バリエーションがあるものと思われます。
 

 
ペン先を横から見るとこちらもなかなか美しいシルエット。
シルバーの首軸との相性も抜群で、不思議と書く意欲の増すペン先です。
 

 
筆記感は尻軸や首軸に使われたシルバー925のお陰もあり、重さは23gでズッシリと安定しています。
やはり尻軸にキャップを差ささないと書きにくいですが八角形軸のお陰でホールド感は良好。
 
小型万年筆で犠牲になりがちな重み・ホールド感・質感の融合は見事としか言えません。
 

 

チャコールグレーのミクラにグレーのインク

この美しい万年筆に何色のインクを入れるか迷いましたが、前々から気になっていたグレーインクを購入して入れてみることにします。
 
軸がチャコールグレーのマーブルですのでちょうど良いでしょう。
 
 
と、その前にモンテグラッパのミクラは小さいながらもカートリッジ/コンバーター両様式。
胴軸の軸の長さもカヴェコと同じくらいですので、カヴェコの「ミニコンバーター」が使えるか試してみたところ問題なく使えました。
 

 
コンバーターのハマり具合もカッチリと良好。インクを吸ったコンバーターを差し込むための尻軸までの空間も確保されています。
カートリッジはヨーロッパ規格のものが使用できますので、ブルーブラック系はモンブランやカヴェコを使っていこうと思います。
 
今回使用するのはグレーインク。
グレーインクというと色々ありますが、今回は私が絶大なる信頼を寄せているカヴェコのインクをチョイス。
カヴェコのインクは適度な粘度で裏抜けもなく、色合いもベーシックで飽きがこないのです。
 

 
ということで、高性能でお手軽なカヴェコのグレーインク「スモーキーグレー」を入れてみます。
インク瓶で買おうかとも思いましたが、まずは手軽なカートリッジで。
 
Amazonでポチって2日後、早速試し書きしてみました。
 

 
ふむふむ、これはドストライク。
字幅はMですが、適度な太さとペン先の柔らかさ。
ニブのサイズがサイズですのでふわふわとした書き味ではありませんがしっかりとペン先がしなります。
 
そして何より私の心を掴んだのがミクラがスタブ調の書き味だったということ!
グレーインクとの相性も抜群で濃淡が楽しめます。
 
右下の斜め線では特徴が顕著に出ています。
スタブ調のニブって「万年筆で書いてる感」があって楽しいんですよね。
 
横線は太めで縦線が細め。
濃淡が出やすい字幅のため グレーを使い終わったら、次は様々な色のインクをコンバーターで楽しみたいと思いました。
 

 
さて、今回はイタリアはモンテグラッパの小型万年筆「ミクラ」をレビューしてきました。
 
小さいので何かを省くのではなく、小さくても乗せられるものは全て乗せたと言わんばかりの盛りだくさんの魅力が詰め込まれた万年筆「モンテグラッパ ミクラ」。
 
マーブルレジンにシルバー925のトリム、尻軸にキャップを固定できるネジ切り、18金ペン先にコンバーター対応など、まさに「小は大を兼ねる」な機能が揃っています。
この機能満載な万年筆をフットワーク軽く持ち運べるというのは非常に嬉しいところ。
 
しばらくハマってしまいそうな小型万年筆。
また入手した時はレポートしていきたいと思います。
 
それではこの辺で。
今回も最期までお読み頂きありがとうございました。

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